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精神科の病名は、見えている状態に名前を付けただけ。

普通は、「うつ病」とか「パニック障害」とか「統合失調症」とか、診断基準もあって、これだけ周知されているのだから、ちゃんとした病名だと思いますよね。私も30年くらいそう思っていました。とりわけ、統合失調症という病名は、典型的なケースだと精神科医の8〜9割は診断が一致するのだから、これはちゃんとした病名だと思っていました。でも、診断する人(医師)に、どんな状態像が見えたか?そしてそのデータを、医師の情報源(眼の前の患者さんではなく、診断基準や教科書などの知識で診断する人が多い)に当てはめて出した答えですよ。だから病名は、医師によって違うし、同じ医師でも途中から変わったりするのです。
「見えている状態に名前つけただけ」で、何の問題があるの?精神科は、血液検査や画像で診断できないのだから、それで良いのでは?と思う人もいるでしょう。けれど、「見えている状態に名前つけただけ」には、致命的な問題があります。それは、薬以外の改善策を探さなくなることです。
つまり、「ひどく落ち込んで、何も興味が持てない」人に「うつ病」と病名を付ける。本来なら、なぜうつ状態になったのか、考えないといけない。つらい出来事があった?忙しくて睡眠や栄養がとれていなかった?自分らしさを出せない状況が続いていた?というふうに。ところが「うつ病」と名前が付くと、病気なんだからクスリ飲まなくちゃ。となってしまいがち。医師も患者も家族も。そうなるとほとんど「どうしてそうなった?」に目が行かなくなる。パートナーの当然の死で、仕事が手につかないひとが、精神科に行くように、と会社から言われて受診しますが、すぐに元気になるのが正常なの?
しっかり食べてしっかり寝たら良くなるかもしれない。栄養と睡眠が足りてなかっただけ。仕事辞めて人間関係も整理したら良くなるかもしれない。辛い環境なのに我慢しすぎていただけ。身体や心は、「我慢しすぎるなよ」「自分を大切にしろよ」「もっと健康に気づかってくれ」と合図を出してる。それを無視し続ける人には、自分の体か精神をおかしくするしかない。精神をおかしくする方法は、何かの発作(パニックとか解離とか)を起こすことかもしれないし、心的エネルギーを著しく低くすることかもしれないし、現実逃避させることかも知れない。そういう状態に、名前つけているだけ、ですよ。
精神科医なのに、何言ってるの?と思う人もいるでしょう。でも、こう考えるようになったら、たくさんの人が、治療を卒業していくようになりました。いや、病名ではないのだから、治療ですらない。単なるサポートですね。サポートだけで、勝手に回復していく。そりゃそうですよ、ただの状態だもの。そう伝えて、ストンと腑に落ちる人は、初診だけで復活することもある。「病気じゃない、自然な反応だと言われた」と怒る人は、なかなか回復に時間がかかる。

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