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暇と退屈の倫理学 國分功一郎

これまでに読んだ哲学や現代思想の本を感じながらページをめくった。

僕の肌に「現代思想」は合わないと感じていたけれど、引用される哲学者の概念たちが、スッと結びついていくのは気持ちがよい。



國分功一郎による「暇と退屈の倫理学」は、暇で退屈なときに感じる「なんか面白いことないかなあ」という気持ちを深く掘り下げていく本だ。


時節柄、室内にこもって生活する人がきっと多いと思う。アウトドアな人にとっては、暇で退屈な時間になってしまうだろう。

やりたいことができない、つまらない時間が過ぎていく。忙しすぎるのも辛いけれど、暇で暇で仕方ない時間が続くのも、それはそれで辛い。


ここで、ちょっとひねくれた人はこう考えるかもしれない。
そもそも「退屈」ってどういうことだろう?
そして、どうしたら「退屈」じゃ無くなるのだろう?


この本には、その問いを考える材料が揃っている。


書評的には、ここから本のエッセンスを紹介して、自分の生活にも光を当てて考えていきたい。


ただ、今の僕の頭をどう捻っても、この本をまとめあげることができない。一部を紹介してもいいのだけれど、それだとこの本の良さが失われてしまう。


マルクスやハイデガー、ラカン、ドゥルーズといった人たちの名前を使えば、かなり簡単に要点を紹介できる気がする。

専門用語を並べて通じる相手なら、一言で説明できるところ、「あの概念をまず説明して、この言葉は一般的な意味ではなくて…」と注釈をつけて説明するのはとても労力がかかる。書くのも読むのも。


平易な例を使えば、誰にでも分かりやすく伝えられる。実際「暇と退屈の倫理学」にも豊富な具体例が載っていて非常に分かりやすい(のでぜひ読んでみてください)。

その考え方に辿り着くまでには、高度に抽象的な思考を要しつつ、伝えるときには具体的で卑近な例を活用する。そして受け手に次の思考のステップへの入り口を開いていく。

國分功一郎氏は、そういう誘導がとても上手いと思った。


今の僕に具体と抽象を行き来して、國分氏の議論を再現するエネルギーがないので、是非とも本を入手して読んでもらえたらと。
何なら貸すので。



ちなみに先日紹介した「みんなのわがまま入門」も貸せます。こちらは、とにかく読みやすく、かつ専門知に支えられた文章が味わえます。

本を読むのは、最高の暇つぶしですよ。

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