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福島のソウルフード:凍餅のドーナッツ「凍天(しみてん)」との出会いと別れと再会

忘れるために書く。

凍天(しみてん)との出会い

楽天にいた2002年くらいの時、楽天で一番売って欲しいものが「ドーナツ」でした。ドーナツならおやつにもなるし食事もなる(と思っていた)。美味しいドーナッツが欲しい!と言ったら、当時ECC(店舗様のサポート役)だった森谷氏が「凍天(しみてん)があります!」とおしえてくれました。

して、そのページを見に行ったのですが、正直「何言ってるかわからない」くらいの衝撃でした。だって、ドーナッツの中身が「凍餅」ですよ!!あんことかクリームならわかるんです。それが餅! 理解不能! と思いつつ楽天で買いました、いただきました。

なんとまぁ、美味しいことでしょう。夢のようでした。それからおりある毎に冷凍でまとめて送っていただき、いただいていました。世の中には不思議な食べ物があるものだとしみじみ思いました。

凍天(しみてん)とは何か?

実は、自分はずっとこの販売されていた「餅の木乃幡」さんの製品だと思っていました。2023年の今になって福島のローカルフードだったんですね!
もともとは「凍み餅の天ぷら」で、これを木乃幡さんが「凍天」として登録商標をされたということを今知りました。

凍天の凍餅は蓬(よもぎ)でした。

福島第一原発の事故によって生産ができなくなった

この凍天が、2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災し福島第一原子力発電所事故で南相馬市の本社工場が避難区域となり、生産が不可能になってしまいました。この時はとても悲しかったです。

その後、九州のお餅屋さんもち吉さんが生産を助けてくださり、生産は再開され、一時期は仙台駅でも凍天が販売されていました。仙台駅に行ったら凍天を購入するのが楽しみでした。しかし、その喜びも束の間、2019年4月20日に木乃幡さんは倒産となりその喪失感は自分にとってとても大きなものでした。あの唯一無二のドーナツがもう食べられない、、、・

凍天との再会

時を経て2023年春、いつもお世話になっている渋谷ヒカリエのd47食堂のモーニングに訪れた時に「ごぼう葉の凍餅」というのを見かけまして、ごぼうの葉っぱ?!と謎に思い持ち帰ったのがきっかけでした。

↓ここに出てきてますね!

寄り道:ごぼう葉とは?

この凍餅にはいっている「ごぼうっ葉」は、雄山火口(オヤマボクチ)という種類で、アザミ科の仲間で一般的にはいわゆる「ヤマゴボウ」と言われている種類のものだそうです。火口(ほくち)は、火を起こす時に使われたことによる由来というのも面白い。

わが国本州岐阜県以北から北海道西南部に分布してます。山地明るい草地に生え、高さは1~1.5メートルになります根生葉長さ30センチになり、「ごぼう」のに似てます。9月から10月ごろ、ずんぐりした大きな頭花を咲かせます。総苞片堅くて尖り、外苞片反り返ます。の裏には白い毛が密生していて、これを集めて火打ち石火花移しとる火口(ほくち)にしたことが名前の由来です。別名で「やまごぼう」とも呼ばれ根は漬け物に、若葉草餅作るのに使われます。の裏繊維お湯でもどすと、蕎麦繋ぎにもなるそうです

https://www.weblio.jp/content/%E9%9B%84%E5%B1%B1%E7%81%AB%E5%8F%A3

凍餅のドーナツは福島のローカルフードだったことを知る

そして、その「ごぼう葉の凍餅」をいざ食べてみようとレシピを見てみたら、、ぬぬぬ?! 水に戻してホットケーキミックスのタネを付けて揚げてドーナッツにとあるではありませんか!!!

これは、凍天!!!

まさか、凍天が家で作れるなんて、自分が作る日が来るなんて夢にも思っていませんでしたが、作りますとも。作りましたよ。凍餅を水で戻して、ホットケーキミックスの衣をつけて油で揚げる!!

紙に包まれたまま水で戻した状態
油で揚げる
あがったー!
ほんとに凍天だった!

久々の凍天との再会

ごぼう葉の凍餅ときいて、どんな味や香りなのかな?と思いましたが、どうも蓬(よもぎ)との互換性が高く、いただく分には普通においしいお餅でした。色はよくないですが、味は凍天😭これは感動。

凍天復活を知る

それで、d47食堂に行った時にこの話をしましたら福島出身のスタッフの方がいて前日ちょうどその話題がでて、いま復活しているとおっしゃるのです。えええーーー?!と探したらあった!!

2020年に復活しているそうです。ご主人だった木幡さんにお伺いしたところ、現在の販売会社さんにお父様が製法を伝授し商標引き継いで製造販売を再開されているそうです。ロゴも同じ!

よくみたら、東京は有楽町でも販売はされているようです。
こんな記事も発見!

餅にケーキの衣つけて揚げてあるので、食べ物としてはハイカロリーなんですけど、この「おいしい」はもはや文化です。こうして復活していたことをしり、心に空いていた穴をようやく埋めることができました。そして、はじめて福島の食文化としての凍天のことも知ることができて満足な2023年の春でした。凍天にかかわってくださっているすべての人に感謝を捧げます。

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