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原田智亜美さん ワンマンライブ「江ノ島サンセットライブ」@江ノ島 虎丸座 (2024年3月17日)

原田智亜美さん ワンマンライブ「江ノ島サンセットライブ」

@江ノ島 虎丸座 2024年3月17日

原田智亜美さんが「念願」と言っていた江ノ島でのライブがついに実現しました。

2024年3月17日の江ノ島は、春らしく暖かな晴天。だけど風がすごく強かった。遠く和歌山から、遥々このライブのために遠征してきてくれた新しいファンをはじめ、お馴染みのファンの方も皆が待ち焦がれたライブ。

(注)


【セットリスト】

1. あなたがここにいて欲しい

2. 見えない星に照らされて

3. シグナル

4. ホタル

5. 透明になれなかった僕へ

6. スターチス

7. 八月のまぼろし

8. 春、静かに降る雨

9. 終わらない恋

10. 人魚 (新曲)

11. 青の狭間

12. 優しい夜とひとつの光

13. ブーケ

14. 明日の僕は今を生きる

15. spot light


【サポート】

AGt: 設楽博臣さん


「人魚になりたかった…」とレンガ色のドレスを身にまとい、穏やかな春の夕陽が差し込む窓を背にして現れた原田智亜美さん。そして陽が傾き始めた17時にライブが静かに始まった。


「1. あなたがここにいて欲しい」

設楽博臣さん作詞作曲。2023年4月18日「原田智亜美さん Oneman Live "3℃"@下北沢440」 にて智亜美さんに提供した曲。

この曲で始まるライブは多分初めてでは。

設楽さんの優しいギターが奏でる少しアンニュイなメロディに乗せて響く智亜美さんの歌声。夕暮れ時と相まって、この曲が持つ大切な人を渇望する世界観を増幅させたように感じた。

「2. 見えない星に照らされて」

いつもはピアノで奏でることが多いイントロを設楽さんが巧みにギターで再現。

テンポも少しだけピアノ伴奏のときより緩やかに抑えた感じの演奏は、たとえばピアノが冬の夜の寒い雨なら、ギターは春か初夏の優しく暖かな雨を連想させてくれる。この雨の中なら、智亜美さんの歌で見えない星に照らされて歩いて行けそう。

「3. シグナル」

この曲のアレンジも季節が色濃く漂うのを感じた。歌詞の中にある風景は、まるで春の陽だまりの中を駆け抜ける風の中で歌っているかのよう。まさにこの日、晴れているのに風の強い天気に良く似合っていると思った。

「4. ホタル」

ホタルの季節にはまだ少し早いけど、ギターのリズムはまるで、点滅する光が舞うホタルの姿を先取りでしたかの如く。それを思い浮かべながら優しくクラップ。智亜美さん唯一と言っていいアップテンポナンバーは今日も楽しかった。

「5. 透明になれなかった僕へ」

いつもはピアノで奏でられる、大好きな独特で綺麗なイントロのフレーズを、設楽さんが綺麗なアルペジオでアレンジ。ピアノ伴奏とはまた違う透明感を纏う智亜美さんのボーカルがとてもとても素敵だった。

「6. スターチス」

智亜美さんの後ろの窓には、刻一刻とまさに沈みゆく太陽が。このサンセットライブのセトリを組むうえで一番のクライマックスを任された曲は、スターチス。その歌詞とシンクロして緩やかに沈む夕日を見ながら歌を聴く。至福の時間を堪能した。

「7. 八月のまぼろし」

続いて八月のまぼろし。この曲は「八月」だけに夏の曲なんだけど、またもや設楽さんの魔法に掛けられて、なんとなく少し霞の掛かった春の空と月のような印象で聴いていた。おぼろ月が金星や木星と追いかけっこするのも悪くない。

「8. 春、静かに降る雨」

突然スリーフィンガーで始まるギターに合わせて歌い始めた智亜美さん。ピアノの時より少しだけ早いリズムに乗った軽快な歌声は、まるで春風に乗って舞い踊る桜の花びらのよう。後半は軽いストロークを中心にクライマックスまで盛り上がる。こんなアレンジの 春、静かに降る雨 を聴いたのは初めて。この日飛び切り驚いたギターアレンジ。とても素晴らしかった。

「9. 終わらない恋」

続いてこちらの定番曲も実にしっとりとしたアレンジで聴かせてくれた。終わらない恋 も多くの人に愛される曲であるけど、このギターアレンジは、切なさをMaxで増幅するアンプのようで初めて聴く人でも好きになるのは間違いないと思う。

「10. 人魚 (新曲)」

設楽博臣さん作詞作曲で、またもや智亜美さんに提供された新曲「人魚」。この日のために!を狙ったわけではなく、以前、智亜美さんが物販で販売していたトートバッグの「海に沈む月」のイラストにインスパイアされて作った曲とのこと。

導入からエフェクターを効かせたギターのイントロが、深く深く潜っていく海を連想させる。全体的には独特な浮遊感に包まれながらも、サビに情熱的な表現が施された感じの曲。この曲もほかの設楽さん提供曲同様、智亜美さんの持ち歌として全く違和感ないのがさすが。これからもたくさん歌って欲しい。

「11. 青の狭間」

この江ノ島のライブで個人的に一番聴きたかった曲の一つ。江ノ島の夕暮れとこの曲の持つ世界観がとても合うように思っていたら、なんと智亜美さんは江ノ島の浜辺で泣きながら作った曲だそうだ。すっかり陽が落ち海の藍と空の青が混ざる景色の中で聴けたことが最高に幸せだった。

「12. 優しい夜とひとつの光」

某ライブハウスの名物の「新曲書き下ろし企画」で昨年 智亜美さんが書いた曲。この短い曲の中に、紛争や災害で苦しむ人。病気や不安で眠れない夜を過ごす人。そんな世界中の人々に対して安寧を祈る思いが宇宙規模で詰め込められていると感じるほど慈しみに満ちた楽曲。この曲を聴くたびに目頭が熱くなってしまうけど大好きな曲。設楽さんのギターが本当に優しく奏で、智亜美さんの透き通った声にとても癒された。世界中の人々が安心して眠れる夜が来ることを祈りたい。

「13. ブーケ」

設楽博臣さん作詞作曲で智亜美さんの 2020年12月29日「10TH ANNIVERSARY ONE MAN LIVE "1.5℃"」の時、提供された超人気曲。頑張った人すべてへの応援歌。すべてを慈しむように優しく歌ってくれた。

「14. 明日の僕は今を生きる」

この曲も、普段より少しテンポを緩めゆったりと表現された。漆黒の闇の中でも前に進むべき道が標されているようで、その道を一歩ずつ前に進む智亜美さんが目に浮かぶようだった

「15. Spot light」

アンコールなしでこの曲で終わりたい!との願いで選ばれた曲。やっぱり今回も Spot light が締めの曲となった。ライブが終わってしまうのを惜しむかのように、ありったけの伸びやかな声で歌う智亜美さん。最高に素晴らしかった。

自分の中では Spot light はいつも、灯台が海を灯す光を連想してしまう。江ノ島の灯台の灯を見ながら聴けたのは最高の贈り物をいただけたような気がした。

(注)


【全体を通して】

設楽さんのギターアレンジは、イントロからギターならではのアレンジを加えつつ、曲の肝となる部分の印象は不動のものとして変えない。それでいて、テンポを少し緩やかにして優しさを強調したり、逆に少し速めて軽やかさを出すなどまさに魔法のような巧みさが印象深かった。

そしてギターの演奏は、ほんとうにジェントルで優しかった。ストロークで強調するところも、ピアノ+でサポートするときとは異なる弾き方で敢えて力強さを削いで、智亜美さんの歌を際立たせる演奏がもう素晴らしいの一言じゃ語れないほど。

全15曲の素晴らしいサポートお疲れさまでした。

智亜美さんは、途中 設楽さんを海にたとえた話をしたほど信頼して身を任せ気持ちよく歌っていたと思う。とてもリラックスした感じだけど、その中でも集中力を切らさず最後まで素晴らしいパフォーマンスを発揮した。もう、歌は本当に素晴らしかった。念願の江ノ島でのライブ。素晴らしい形で叶ったのではないかと思う。

遠いと思った江ノ島も、案外近かった笑。また、江ノ島でワンマンライブを開催してください。

ワンマンライブ。豪華なバンド編成とかもありだけど、自分は今回のようなプリミティブでシンプルな構成のライブがとても好き。信頼できる素晴らしいパートナーのサポートを受け何よりも歌が際立つライブ。そんな贅沢な時間を演出してくれた原田智亜美さん、設楽博臣さん、ほんとうにありがとうございました!

(注)2点の写真は、待つぼっくりさん(X: @_mtbkr)がXに投稿した写真をお借りしました。

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