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房総一周紀行 Episode.1

 紅葉を見たい筆者とどこかに旅行したい友人。二人の欲望を詰め込んだ千葉旅行を今更ながら旅行記という形でお届けしたい。
 エピソード1には計画から1日目まで、エピソード2には2日目について書く予定である。長文になってしまうが、最後までお付き合いをお願いしたい。

いきさつ

 秋の風物詩である紅葉を見ないのは勿体ないが、しかし一人で見に行くのも寂しい。そこで友人(以下A)に話を持ち掛けたのが始まりである。Aもどこかに出かけたい気分であったようで「紅葉を見る旅行」の計画が立ち上がった。当初は神奈川に行く話であったが、Aが「サンキュー千葉フリーパス」という千葉県の鉄道やバスが大方乗り放題になるおトクなきっぷを見つけてきたので、なんならそれを使って千葉を楽しもうという話に。 
 参考:11月1日から「サンキュー❤ちばフリーパス」を発売します!/千葉県 (chiba.lg.jp) (筆者らが使った時期のサンキュー千葉フリーパスの紹介URL)

計画

  1. まずここで筆者とAの行きたいことろ、見たいところなどをまとめたい。
    ・筆者
      紅葉を見たい
      フェリーに乗りたい(サンキュー千葉フリーパスでは東京湾フェリー に乗ることができる)
      日没を見たい
    ・A
      日の出を見たい
      いすみ鉄道に乗りたい
      千葉をくまなく回りたい

  2. 色々話し合いが行われたが、以上から作られた最終的な計画は以下の通り
    1日目:久里浜港から東京湾フェリーで千葉県の浜金谷港へ。浜金谷駅から大原駅までJR線で移動。大原で昼ごはんを食べた後いすみ鉄道で上総中野駅まで。そこから「さとやまGO」というバスに乗車して弘文洞・養老渓谷へ。紅葉などを見た後は再び「さとやまGO」で上総中野駅に戻り、小湊鉄道で五井駅へ。五井駅からは千葉駅経由で銚子駅までJR線で移動。そこで一泊。
    2日目:なんとかして早朝犬吠埼に行き日の出を見る。その後は千葉県を外れるが、JR線を使って鹿島神宮駅まで行き鹿島神宮へ。鹿島神宮駅か佐原駅か銚子駅周辺で昼ごはんを食べた後、銚子電鉄に乗車し再び犬吠埼か犬吠埼周辺にある「地球の丸く見える丘」で日没を見る。その後は一直線に帰る。

 1日目に比べて2日目の予定が荒すぎるが、旅行中に考えればいい、外国じゃないし迷っても何とかなるという暴論で乗り切ることに。なんくるないさ~の精神である。

1日目

フェリー

 久里浜港を8:20に出発する東京湾フェリーに乗車するためにかなり早起き。眠い。Aとは京急線の京急久里浜駅で集合する予定であったが、運よく同じ列車に乗ることができたので車内で会うことができた。都心では珍しいボックスシート車だったが、Aとしゃべっていたこともあり寝られず。
 京急久里浜駅に着いたのは7:20頃だったと思う。コンビニで飲み物とか買って久里浜港まで歩く。

京急久里浜駅から久里浜港までの経路(多分このルートで歩いた)
30分くらいかかるので、余裕をもって駅に着くようにした。

 まだ朝早いし休日ということで町は静かだ。冷たい風に当たりながら歩くと眠気も冷めてきた。まだ時間に余裕があるので公園で休むことに。

ペリー来航を示す石碑
”1853年6月14日にペリー准将がこの地に上陸した”

 外国人の石像とか英語が書いてある石碑があるし、この公園タダモノじゃねえ。どうやらあのペリーが上陸した場所らしい。あの石像のおじさんもペリーというわけか。せっかくならサンドイッチでも食べたいところだが、さっきコンビニで買ってきたおにぎりを食べて再び久里浜港を目指す。

砂浜と海の組み合わせは久しぶりに見た気がする

 と言ってもあのペリーの石像がある公園、「ペリー公園」から久里浜港までは歩いて10分くらいである。ペリー公園から道路を挟んだ反対側は海だし、海を見よう。反対側の山々はこれから行く房総半島なのかな。波も静かだし、心が落ち着くね。
 ペリー公園と海で少し時間を潰しすぎた。速足で久里浜港まで向かう。本当に「サンキュー千葉フリーパス」でフェリーに乗れるのか不安であったが、改札のハンコを押してくれて、無事に乗船。久しぶりに船に乗った筆者は興奮していたが、船にそれなりに乗ってきたAはそうでもなさそう。それより「甲板に行こう」と筆者を連れ出した。

甲板からの風景(出発前)
写真では分からないが、風がかなり強い

 …風が、強い。強すぎる。おまけに寒い。こんなところにずっといたら凍えてしまいそうだが、それでもせっかくフェリーに乗ったんだし、暖かい客室でずっと過ごすよりも海を感じられる甲板の方がいい。

出発後の風景
風景が全体的に青いので中央の船の赤色が目立つ

 航行時間は約40分。相変わらず甲板で風に当たりながら風景を眺める。徐々に風景が変わっていくからのんびり旅行をしている感じがするね。客船はだいたいの席が埋まっていて、港の発着場所が多少不便だと思っていたが利用状況は申し分なさそう。車で使うならあまり関係ないか。

上陸 

 さて、船上でずっとまどろんでいたいところだが、今回の旅で一二を争う難所がさっそく待ち受けているので、浜金谷港に着いたらすぐに降りれる準備をしなければならない。

浜金谷港から浜金谷駅までは徒歩8分

 計画では、浜金谷駅9:10発の電車に乗る必要がある。これを逃したらいすみ鉄道に乗ったり養老渓谷に行く計画が流れてしまう。しかし港から駅までは徒歩で8分。港・駅での出入場の時間を考えたらもっとかかるし、そもそも船が本当に9時に港に着くかもわからない。間に合わなかったら大変だ。
 案の定船は9時に港には着いたが、降りれるまで1,2分待たされた。しかもそれなりに混んでいたから港の建物を出るのにも少し時間がかかってしまった。歩いてたら間に合わない。仕方が無いので走って駅に向かう。最近全然運動していないから息が切れきれ。Aに励まされつつだが、励ますなら荷物持ってほしいといったところ。
 駅の改札に着いたのが9分。田舎の無人駅にエスカレーターがあるはずないので走って階段を上ってホームへ。ちょうど電車が来るアナウンスが流れているところだった。はぁはぁ…なんとか耐えた。

何とか電車を撮影
E131系という新型車両らしい

 来た電車は2両編成の新しい電車だった。3年くらい前に房総半島を電車で一周した時は(その時もAと一緒だった)4両の古い電車だったから、ローカル線にも新車の波が訪れているのかと感心。しかし新車だからといっていいことばかりではない。ボックスシートの数がかなり減ってしまっているので、長距離乗り続けるのがしんどい。
 乗客は意外に多かった。空いている席が無くて筆者は最初立つ羽目になった。さっき走って疲れてるんだけどな。地元住民の利用が多かったが、ビジネスマンが途中の駅で忙しそうに降りて行ったのが印象的だった。窓から社葬を眺める。房総の風景は、まばらな家と畑、小高い山、そして果てしない海と、想像できる田舎要素を詰め込んでいるのが素晴らしいと思う。
 さて、乗車中の電車は安房鴨川駅行き。勝浦か大原に行こうという話になっているので乗り換え。また同じ電車が来たが、今度はボックスシート席を確保。

大原駅

 勝浦で降りると昼時には早いから大原で昼ご飯を食べることに。と言っても特にメシ屋を調べているわけでもないので、とりあえず港の方に行けばご飯どころあるだろうと予想して歩く。
 予想通り2軒ほど見つけたので、そのうちの駅に近いほう、「海老屋」という店に入ることに。名前の通り、イセエビが食べれるみたいのことが看板に書いてあったような。

おっかさん御膳
刺身は毎日変わるらしい

 イセエビとか貝の磯焼きを売りにしているようだが、まあまあな値段するし、あいにく筆者は貝類が大の苦手である。そこで、おすすめにあったおっかさん御膳を注文。刺身を中心とした定食だ。Aも同じのを頼んでた気がする。刺身は獲れたてを提供するから内容は毎日変わるみたいな話だった気が。この日は、カツオとタコとエビ、あと何だったけ、サワラかな。どれも新鮮で身が引き締まっておりとても美味しいね。特にカツオは臭みや独特の苦みが昔から苦手であったが、この店で食べたのはそんなものは感じさせない。初めてカツオを美味しいと思った瞬間かもしれない。天ぷらもサクサクだし、刺身以外も美味で大満足! ごちそうさま。

いすみ鉄道

 
 しっかり腹ごしらえして大原駅に戻る。今度はJRではなくてA待望のいすみ鉄道に乗車。なんでも車両が珍しいらしくて(Aから話を聞いたが興味なくて聞き流してしまった、すまん)それに乗りたかったらしい。急行なので、乗車券(今回はサンキュー千葉フリーパス)のほかに急行券が必要。300円くらい払って購入し、乗車。

今回乗った車両
国鉄の古そうなものというのは分かるが…

 立ち客が出るくらいには混んでいた。乗客は主に鉄オタ含めた観光客だろう。そりゃ急行料金かかるからそうか。
 いよいよ出発。急行だからといってスピードを出すわけでもないし、そもそも通過駅が2,3駅である。実質観光列車の扱いだろう。途中車掌さんが検札に来たが、周りの様子を見た限りではサンキュー千葉フリーパスを使っている人は多そうだった。
 途中駅ではホームに隣接しているスペースでなにかの催し物が行われていた。おじさんがなにか歌ってた気がするがよく覚えていない。でも町おこしの一環なのかな、客を呼び込むなら確かに観光列車の来る駅でPRするのは面白い手段だと思うね。
 先ほども言った通り房総の風景は好きだが、それにしてももう草も枯れかかってるしずっと同じ景色だから眠くなってしまった。ウトウトしながら本を読んで乗車時間を潰す。

いすみ鉄道と小湊鉄道の乗換駅、上総中野
駅の規模に比べて人が多い
上総中野駅
国鉄みたいな看板だね

中房総観光 

 1時間くらい揺られて終点の上総中野駅に到着。いよいよここから紅葉を見に行く。
 今回使うのは「さとやまGO」というバス。地元自治体が企画したものなのかな、上総中野駅を中心として、房総半島の中心の観光地を巡ってくれる便利なバスである。時刻表は以下のURLより。なお運行は期間限定なので、利用される際は運行状況を先に調べた方が安全である。(さとやまGO時刻表 (kominato-bus.com)

 上総中野駅14:30発を利用。運賃は500円だったっけか。次の弘文洞入口で下車。養老渓谷で紅葉を見たいが、その前に行きたい場所が。

”二重のトンネル”こと、共栄・向山トンネル
道路網整備の関係で奥に見えているトンネルを後から掘ったそうだが、
それにしてもなかなかに強引だ。

 そう、二重のトンネル。昔「ナニコレ珍百景」で紹介されてたようだが、本当に「ナニコレ」である。ちゃんとした理由があってこうなったそうだが、にしてもこんなところ車で通ったら出口が二つあるってびっくりするだろうなあ。良く言えば、自然の光を取り入れたトンネルといったところか。(なおトンネルの中は明るくない)
 このトンネルを抜けると橋がある。下に流れるのは養老川だからたぶんここが養老渓谷なんだろう。川沿いを歩ける道があるので、そこを歩いて川や渓谷を観察。

橋から眺めた養老渓谷
ちょうど太陽の光が当たってる部分が紅葉している

 川の水は澄んでいて小魚が泳いでいる様子が観察できる。でかい鯉もいた。そして紅葉。まだ全部がというわけではなかったが、葉っぱが赤々しいところもちらほら。ちょうど太陽光が当たっていて輝いて見えるから余計美しいね。

むき出しの地層
こことは関係ないけどチバニアンは有名
弘文洞跡
中央の、崖にぽっかり穴が開いている部分

 川沿いの道を進んでいくとバス停の名前にもあった弘文洞跡にたどり着く。弘文洞というのは河川の改修工事で作られたトンネルだそうだ。じゃあなんで跡なのかというと、40年くらい前にトンネルの上の部分が崩落してしまったかららしい。木が邪魔だが、たしかに上の写真の中央上部が空洞になっている。今では崖が不自然に真っ二つに割れてしまった感じだが、これはこれで面白い風景。あと渓谷で光の入りが悪いからか、弘文洞跡から一気に光が差し込むのも神々しい。
 ここから先はがけ崩れで通行止めだったので、ここから下流側の渓谷を見るために先ほどの道を引き返し、バスが通る道を歩く。結構観光客多い。ちょうどコロナウイルスの感染が落ち着いていたときだったからかな。バスの団体旅行で立ち寄った人も多いみたいだ。

下流側の橋から渓谷を眺める
こっちの方がよく紅葉している

 下流にある赤い橋を渡るとところどころ仮設の足場になっている階段が続き、登るとお寺がある。出世観音と言うらしい。社会人の人が来たらいいことありそうだ。とりあえず今回は無難なことをお祈り。
 いろいろ歩き回ったし日も落ちてきたから少し眠くなってしまった。お寺の休憩所で黄昏たあと元の道を戻ってバス停へ。行きと同じ「さとやまGO」に乗って上総中野駅を目指す。

銚子へ

 とりあえず今日行きたいところは全て寄ったのであとは宿がある銚子を目指すだけ。上総中野駅からは小湊鉄道に乗り五井駅へ。3両か4両だったが出発の時点で座席が埋まるくらいの乗車率。沿線が一応市街地なところもあり、いすみ鉄道よりは途中の乗車が多かった。筆者は途中で寝落ち。
 90分ほど揺られて五井駅に到着。今日訪れたどこよりも発展している町なので久々に都会に帰ってきた感覚。まあ今からまた田舎に向かうんだが。
 来た電車に乗り千葉駅へ。そこから銚子方面に行く電車に乗り換え。千葉って意外に鉄道網充実しているから、銚子行きなのに経由地が違う列車があるのは面白い。

銚子駅の時刻表(ekitanより引用)
同じ千葉行きなのに「成普」(成田線経由普通)と「総普」(総武本線経由普通)がある

 千葉駅から銚子駅までは約2時間。ずっとヒマするわけにもいかないのでAと明日の予定を固める。日の出が6:30くらいらしいがそれに間に合う銚子電鉄が無いので歩くしかない、その場合90分は見込んだ方がいいだろうと。ちょっとさすがにしんどいなあ。鹿島神宮の滞在時間を当初は30分くらいにしていたが、あまりにも余裕が無いので電車を一本送らせて90分観光する。これは了解。佐原周辺はウナギが有名だからウナギ食いたいが値が張るので筆者次第に。ウナギは嫌いではないが2000円も3000円も払って食べるものとは思ってないのであまり乗り気ではない。とりあえず前向きに検討と伝える。

ようこそ銚子へ!

 途中Aが用事あると言って駅を降りてしまったが、筆者は20時頃に銚子駅に到着。Aは次の電車に乗ったそうだから、1時間もしたら来るはず。とりあえず腹が減ったからメシを食いたい。この時間でもやっている美味そうな店ということで町中華に決定。

チャーハン
エビが乗っているのが特徴

…美味さがのどに染みる。なんで町中華のチャーハンはこんな美味いんだ。
 銚子で町中華の美味さに改めて感動するというなかなか貴重な体験をしたところで、宿に向かう。銚子の街を歩くが、全体的に暗いし人通りどころか車も少ないな。宿に着いたのでチェックイン。旅行行く直前に予約取った安宿で口コミの評価はあまり高くなくAはかなり渋ってたが(ケチなのに)、部屋はそこまで酷くはない。空気が少し悪いのが難点か。
 部屋でくつろいでるとAからそろそろ銚子駅に着きそうと連絡が入る。駅に向かいに行った後コンビニで飲み物とか明日の食べ物を買っておく。宿についても思ってたよりは悪くないと言っていた。少し時間があるので改めて明日の予定を詰める。
 よくよく調べると、仲ノ町駅を5:37に発車する銚子電鉄があることに気づく。仲ノ町に車庫があるからそこが始発になっているんだろうが、銚子の次の駅なので犬吠埼まで歩かずに済む。これでかなり早起きする必要も、早朝から長距離歩く必要もなくなる。銚子電鉄、ありがたや~
 一安心したところで、Aと缶ビールで乾杯して今日を締める。やっぱプレモルは美味い。それではおやすみ。


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