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肩関節周囲炎患者に対するホームエクササイズ指導のポイント

肩関節周囲炎患者に対するホームエクササイズ指導のポイント
春名匡史 立花隆
Journal of Physical Therapy Vol.39 No.3 2022.3 P 205-214

【アブストラクト】

患者の在宅環境を確認するポイント
患者のコンプライアンスを高める際のポイント
ホームエクササイズの理由、効果、エクササイズを正確に行うためのポイント

1)挙上
2)下垂位外旋運動
3)結滞動作
4)夜間痛

【構成】

肩関節周囲炎は、疼痛、ROM制限、睡眠障害を呈する疾患である。炎症期、拘縮期、寛解期に分類される。文献中では、肩関節周囲炎に対する理学療法の主な目的はROM制限の改善と考えられている。

ROM制限に対するホームエクササイズ指導のポイントを炎症期、拘縮期、寛解期の注意点を含め記載されている文献です。

【内容】

患者の住宅環境を確認するポイントは、生活環境を把握し疼痛が生じる動作を細かく聞き出す事が重要である。

挙上運動、リーチ運動、結帯運動で疼痛が生じる事が多いため、これらの動作が行われている環境を把握する必要がある。

挙上運動が生じる動作は洗濯物を干す動作、高所の物をとる動作、布団をあげる動作である。リーチ運動は、車の後部座席のものを取る動作、離れたものを取る動作である。 

結帯運動は、ズボンの後ろポケット使用する動作、女性においては下着を装着する動作である。ホームエクササイズで使用する物品はどの家庭にもあるもので実践できるよう運動の指導をする必要がある。

患者のコンプライアンスを高めるためには、患者のホームエクササイズに対する意欲を高める必要がある。文献中には応用行動分析学に基づいて意欲を高める方法が記載されています。

肩関節周囲炎では炎症期、拘縮期、寛解期それぞれの病期で行うホームエクササイズの種類や方法が異なる為、病態を説明し患者に理解してもらう事が重要である。

挙上運動の最も簡単な方法としてバンザイ運動が挙げられる。拘縮期や寛解期では運動により疼痛が軽減したり、運動後疼痛が残存しなければ軽度の疼痛を伴っても問題ないと考える。

炎症期では疼痛なく動かせる範囲が前日より迫ってないかをする程度の運動で十分である。その他の運動として、テーブルサンディング運動、stoping exがある。

下垂位外旋の目的は、前上方組織の伸長である。肩0°内転、肘90°にて両側同時に自動外旋運動を行う。台上で肘を載せる、棒や傘や靴べらを使用する方法もある。炎症期における拘縮予防として、肩峰下インピンジメントが生じにくい利点がある。

結滞運動としては、自動運動におけるウエスト運動、結帯運動の反復が挙げられる。結帯動作は肩伸展運動と内旋運動の複合動作である。肩伸展か内旋運動で制限が強い方向を個別にウエスト運動を行う指導を行う。

ホームエクササイズ指導は重要だが、エビデンスではDである。患者ごとに的確に評価し、指導を行なっていく必要がある。

【面白かった点と感想】

生活環境を把握するポイント、なぜこの運動を行うかが分かりやすく記載させている文献で読みやすかったです。

文献中のエクササイズ方法がすべでではなく、セラピスト一人一人が患者の生活を把握し、病期にあったエクササイズを考えていく必要があると思いました。

【結語】

肩関節周囲炎に対し、ホームエクササイズの指導する上で、必要な考え方が記載されている文献です。是非読んでみてください。

記事:琢麻

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