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長下肢装具と運動療法

長下肢装具と運動療法
辻本 直秀
理学療法ジャーナルVol.56 No.7 2022.7 p826-830

【文献の要点】

・長下肢装具(knee ankle foot orthosis:KAFO)

・2動作前型歩行トレーニングにより自動的プロセスの賦活が期待できる

・2動作前型歩行トレーニングにて麻痺側の推進力の向上を図る

・長下肢装具から短下肢装具(ankle foot orthosis:AFO)への移行

【文献の基本構造】

 はじめに歩行を円滑に行うための3つの神経システムがあり、重度片麻痺例でも2動作前型歩行トレーニングが神経システムの賦活に有効であることを説明している。次に、実際のKAFOを使用した2動作前型歩行トレーニングの方法や留意点、トレーニングにより獲得したい歩容などについて、図(写真)を用いて解説している。そして、KAFOからAFOへの移行における留意点、移行した後のアプローチについてまとめている。

【2動作前型歩行トレーニング】

 2動作前型歩行トレーニングは、円滑な歩行のための神経システムである自動的プロセスを賦活、歩行様運動や筋活動を促すことが期待できる。また、麻痺側の股関節周囲の筋活動や立脚後期での股関節伸展が促せることから、麻痺側での推進力の向上に有効であると言われている。

【まとめ】

 ガイドラインにおいても、歩行の再獲得を目指す上で早期から装具を用いた歩行トレーニングは推奨されている。これまでの臨床では脳卒中などの早期にKAFOの使用、またKAFOからAFOへ移行に関わるという経験がなかった。そんな中で入院中にKAFOを作製し、当施設に入所となった利用者を担当する機会があった。

後方からの歩行介助し、振り出しから立脚期、その時のアライメントなど注意する点は様々である。経験も重要であると思うが、2動作前型歩行トレーニングなどを行う前に、セラピスト自身が装具の特性、機能を理解し、歩行のメカニズムに基づき実施する必要があると感じる。

働く環境により関わる頻度は少ないかもしれないが、脳卒中後の歩行トレーニングの1つとして、改めてKAFOやAFOといった装具の機能や特性を理解した上でアプローチにあたりたい。

記事:ながちゃん

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