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インターン日記#13【キャリアの作り方】

インターンも残り13日となり、お別れまであと少しになりました。
今年に入って、やっとヴルカヌスのプログラムを最大限活用しようという気持ちになり、オフィスで過ごす一日一日を大切にしていきたいと思っているところです。

いつも仕事がない、やることがない、と時間を持て余していましたが、そういえば私は人に質問することが好きだったなということを思い出し、同僚にキャリアについてインタビューをすることにしました。

オフィスにはスペイン人が圧倒的に多い(カタルーニャ地方の人が大多数)なのですが、スペイン以外の場所で働いていたり、大学時代エラスムスプログラム(EU内での交換留学プログラム)に参加していたりする人もいます。
今までに6,7人ほどのお話を伺うことができました。彼らからも面白そうな人を紹介してもらったので、今後も続けていきたいと思います。

今の仕事で疑問に思っていることが二つありました。
一つ目は、ルーティーンのような仕事をこなして、楽しいのかということ。
二つ目は、自動車を開発し続けることに何の意味があるのかということ。

一つ目に関しては、
テストエンジニアの仕事は、テストに必要な情報をスペイン語でリスト化して、当日きちんと準備ができているかを見て、試験が終わった後はレポートを書いて終わりだと思っていました。少なくとも、私が見ている範囲では、そのようなタスクしかないように見えました。特に若いエンジニアだと、このような決まりきった作業が多くなる傾向です。プロジェクトマネージャーだと、クライエントとのミーティングや、お金の話、スケジュールも主導権をもって進めることができるようです。

この質問をすると興味深い回答が得られました。
私の考えに同意して、クラッシュの専門家になりたいわけではないから、ずっと今の部署にいるつもりはない、と言っている人、
ルーティーンワークであっても、仕事は仕事、プライベートとは別で考えていて、お金を稼ぐ手段としてとらえているからそこまで苦痛ではないという人、
一度会社から外に派遣された時に、今の環境が恋しくなってしまい、例えルーティーンであっても一緒に働きたいと思う人がいるからやっているという人、
やはりクラッシュの試験担当に飽きてきて、プロジェクトマネージャーをやってみたら意外と楽しくて続けている人などがいました。
(ここまでの話をスペイン語で質問して、回答が分かるようになった・・・我ながらだいぶ成長しました)

よく考えてみれば、ほとんどの仕事はルーティーンです。
私が所属していた団体でも、ニーズに対してイベントなり記事なりを作成する、毎年やっていることだからそれに倣ってプログラムを考えるなど、今考えれば本質的には同じことをやっていたのかもしれません。
例え金融やコンサルなど、キラキラして見える仕事であっても、議事録取りやメールを読むなど、基礎的な仕事をしっかりこなせないようでは難しいことはできません。
(一方で、能力ではなく属性によって判断され、仕事の難易度が変化するのは見過ごすことはできません。)

今の状況に文句を言うのでなく、置かれた場所で精いっぱい頑張ってみること。それから海外やいただいた機会という形でレベルアップをすることができる。どうしても見込みがないと思ったら自分のマインドセットから変えること。我慢強く努力し続けることが成功につながるんだと、ある同僚が言ってくれました。


二つ目の質問に関しては、
高級車のフロントウィンドウに刻まれた巨大な蜘蛛の巣のようなひびを見たり、数え切れないほどのクラッシュ後の車が山積されていたり、原型が分からないほどめちゃくちゃになったエンジンを見つめていると、なんでこれ以上車を作る必要があるんだろうと考えこんでしまい、このような質問をしました。

この回答も人によってバラバラで、
確かに自動車会社は環境への負荷を高める原因にはなっているけれど、今自分にとって必要なのは家族とそれを養うお金であり、それを気にする余裕はない、
エンジニアの本質は改善であり、格差を助長したり環境を悪化させることが目的ではない、悪いことをするために仕事をしているわけではない、
などと答えてくれました。

少なくとも表向きに出ている仕事は、悪化させるためにやっているわけではなく、何かを改善したり、新しい価値を生み出したりしているはずです
(日本のメディアでよく見ていた、会計不正や隠ぺい、政治と特定企業の癒着などを見ると首をかしげたくなりますが)。そして、自分の幸せや安定を求めつつ一生懸命仕事をすればするほど、絶対に誰かを傷つけたり格差を助長することにつながると考えています。
例えば、私の部署で言うと、より安全な車を作るために設計やADASの改善を行っていますが、すでに成熟している自動車産業の競争の激化や自動車を持つ国と持たない国による格差を生み出してしまいます。
商社であっても、消費者によりスムーズに商品が届くように仕事をしていると思いますが、一方で大量生産を加速させたり生産者の負担を増やしてしまうことにつながるかもしれません。
私がバイトしていた塾で言えば、担当している生徒の成績が上がることは本人にとって喜ばしいことかもしれないけれど、塾に行きたくても行けない子供との格差に加担していることになります。

自分の仕事が影響を与える領域を定義することは難しいですが(究極的にはすべての人に影響を与えることになると思うのです)、少なくとも自分と自分の近い人(家族、同僚、クライエント)が居心地よくなるように、少しでも喜んでもらえるように働ければ、もう十二分だと思います。

そして、どんな仕事にも価値があるのではあれば、業種や領域はそこまで大きな問題ではありません。
大切なのは、どのような人と一緒に仕事をしたいのか、誰を喜ばせるために仕事をするのかというエゴなのではないかと、
私を常に気にかけてくれる同僚の顔を思い出しながら気づき始めています。

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