ヒプノシスマイクを1ミリしか知らなかった人間がアニメを最終回まで観て思った事(前編) - キーアイテムとしてのマイク

 つぶやこうとしたら字数が足りなくなりそうだったので。
 あまり深く考えずにざっくり書いていこうと思っていたのですが…やっぱり長くなりました。

 前後編に分けていますが、終始ただひたすらに「マイクって何?!」と叫ぶだけのお話です。
 最終回まで〜とか言っておきながらストーリー中盤の話も割とすっ飛ばしてます。

 ヒプノシスマイクを知らない人でも読めるように書いていますが、ある程度のネタバレを含みますのでご了承ください。
 ヒプノシスマイクを知っている人、アニメをひと通り見た人は概要は流し読みで大丈夫です。
 なお、誰がカッコ良かった!などの話は出てきません。悪しからず。こういうジャンルには馴染みのない人間が書いているので、世の中にはこんなひねくれた見方する人間もいるんだなー程度にお手柔らかに見ていただけると助かります。

ヒプノシスマイクとは 概要

 ヒプノシスマイクとは、キングレコード EVIL LINE RECORDSが手掛ける音楽原作キャラクターラッププロジェクト。そのTVアニメーション作品が2020年10月から放送され、先月12月に最終回を迎えました。

 いわゆる若い女性向けの作品で、自分には縁の薄かった分野にはなるのですが…。音楽原作というだけあってラップ部分はそこそこ良さそうだったのと、純粋にエンターテイメントの試みとして面白そうだった(実際色遣いとか歌詞の表現は新鮮で面白かった)ので一通り観てみました。

 TVアニメ1クール分を観た限り(友人からの紹介で話を聞いた程度。他のメディアによる情報はほとんど参照していない状態)にはなりますが、自分が未だに気になっているのは、ヒプノシスマイクとは何なのかという事です。

 タイトルにも使われている「ヒプノシスマイク」は作中のキーアイテムで、「言葉を力に変える、従来の武力にも取って代わる新しいアイテム」という位置付けです。このマイクを使って登場人物がラップをすると…何と言いますか…とにかく色んな方法で敵がぶちのめされます
 その時の演出はボーカルや歌詞によって様々で、出所の分からない爆風が飛んでくることもあれば、重火器が現れたり、はたまた雷やキャンディー?まで?降ってくる始末。共通していることといえばスピーカー(この形状もボーカルにより様々)と歌詞が出てくることくらいでしょうか。
 作中では武器の類いの利用が制限されているとのことで、強盗が人質に突きつけるものもマイク、腰に巻きつけるのもマイク、警備員が持つものもマイクです。
 自分が記憶している限りラップシーン以外で出てきたリアルな爆弾や刃物の類いは…いや、何回か出てきていた気もしますが…私が気づいていないだけで、もしかしたらあれもマイクだったのかも知れない…。
 その、観ているとマイクというものの存在がゲシュタルト崩壊していくんですよね。

 ともかく、1話目冒頭の説明によるとこのマイクの登場によりなんと社会構造が変動。どういうわけか、作中の日本では政治などのトップは皆女性、国の中枢区画には女性しか入れないなど、相当な女性優位の世の中になっています。

ある発明によって変動した社会 そこで描かれる物語

 さて、冒頭でそういうマイクにまつわる状況がザッと分かってきた時点で私が思い浮かべたのが、こちらの作品。

※アニメ放送前のPV

 …いや、雰囲気は全然違いますよ?全くもって。サイコパスの方が思いっきりハードボイルドですし、本格派のSF作品です。流血も部位欠損もあるのでヒプノシスマイクと比べると相当バイオレンス強め。

 ただ、あくまでも「ある発明が世の中の仕組みに大きな影響を及ぼした後の社会」を背景にするというストーリー上の1点においてのみですが、舞台といいますか、物語の仕組みは似ているかなと。

 こちらのアニメではシビュラシステム(包括的生涯福祉支援システム)が社会の根幹を支える存在になっており、そのシステムと遠隔で接続された銃(ドミネーター)は使用を認可された人間が持つことで照準に捉えた相手の犯罪係数(端的にいえば、心理状態などから測定された「どの程度犯罪を起こしうるか」)が確認できます。
 システムが犯罪係数をどのように測定するのかもストーリー上重要な鍵となっていました。
 そうしたシビュラシステムに関わる設定を通じて、俗な言い方をすればですが「正義とは何か」「悪とは何か」「秩序と法」と言った概念を奥深く描いていました。

 さて、SNSでの発言がすぐに全世界に広まる今の世の中において、ヒプノシスマイクにおける「言葉が力を持つ」という要素は中々に面白いと思っています。その意味ではサイコパスよりも親しみやすいと言いますか、より身近な題材が使われています。

 だからこそ、サイコパスのシビュラシステムやドミネーターと同じようにして、マイクが言葉を力に変える仕組みはどうなっているのかとか、マイクの使用や所持に制限はないかとか、マイクの仕組みやヒプノシスマイクの社会における立ち位置の話が出てきたらそうした設定周りの描写を元に例えば「言葉の暴力」などといったものを製作者がどのように捉えてどんなメッセージを込めるのか探ることが出来て面白そうだなーと思っていたのですが…

マイクは魔法だった?!

 3話目にしてなんとマイクそのものが変身してしまいました。

 ええ、マイクが、ガラケーになりました。
 サイコパスのドミネーターのようにガチャガチャっと変形するのとは訳が違います。いやまぁあれもあれでその質量収める範囲どこにあった?とか思わなくも無いですが、ヒプノシスマイクのそれはそれどころではありません。光に包まれて変わりましたよ形が??
(自分が見落としていただけで1−2話にもそういう描写はあったのかもしれませんが、3話目以降のそれはあからさまに物理法則を超越しています。)

 マイクに注目しようと思っていたはずが、その存在自体が超次元的な物である可能性が出てきてしまいました。
 これはどう捉えるべきか?!いやいっそ考えないべきなのか?!

続く…