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胆汁酸の攻撃に耐えるSutterellaという腸内細菌とは?

先日のコラムで病原性大腸菌やウェルシュ菌など悪い菌のご紹介をしましたが、今日も悪い菌シリーズになります。

あまりメジャーではありませんが、腸内細菌検査をしますと、多い方で5%前後、少ない方でも1%前後は保有されているSutterella(ステレラ)と言う菌がいます。

このSutterellaは炎症性腸疾患(IBD)など様々な疾患に関連する腸内細菌で、多い方はやはり腸の不調に悩んでおられる方が多いです。

Sutterellaは、胆汁酸に対し耐性の性質を持ちます。ちなみに胆汁とは、肝臓の中で常に分泌されている物質で、主に脂肪の乳化とたんぱく質を分解しやすくする働きがあります。この胆汁に含まれている有機酸のことを胆汁酸と呼びます。

本来の胆汁酸の働きは、食物として腸に入ってきた脂肪をミセル化して吸収を促進しています。同時に胆汁酸は強い界面活性作用により強力な殺菌活性を示します。(ミセルとは、界面活性剤などの分子がある濃度以上になると、急に集合してつくるコロイド状の粒子のことを言います)

要するに、胆汁酸が強力な殺菌活性能力も持つために、ビフィズス菌や乳酸菌が殺菌されてしまい、腸内細菌にとっては厄介ものなのです。

しかし、Sutterellaは胆汁酸耐性がありますから、胆汁酸の攻撃に見事に耐えてみせるわけです。

耐えてくれるだけで、おとなしくしていてくれればいいのですが、腸疾患を引き起こすような悪さをすると言うことですね。

脂肪分の摂取を抑えると、胆汁も分泌する必要がなくなり胆汁酸も殺菌能力を発揮する機会も減ります。

余分な脂質の摂取は、こんなところにも影響が出ているということですね。