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腸内細菌には酸素は必要なのか!?

人は、酸素がないと生きていけません。

では、人の腸内に棲息する腸内細菌たちにとって、酸素は必要なのでしょうか?

結論から申しますと、酸素が必要な細菌もいれば、どちらでもいい細菌、そして酸素があると生きていけない細菌もいます。

まず、その分類として、酸素が必要な好気性菌と必要でない嫌気性菌に分けられます。

好気性菌は、酸素が必要な偏性好気性菌と、酸素濃度が3~15%程度必要な微好気性菌とに分かれます。(ちなみに空気中の酸素は21%の含有率です)

嫌気性菌は、酸素があっても生きていける適性嫌気性菌と、酸素があると生きていけない偏性嫌気性菌に分かれます。

昨日のコラムで、芽胞のお話しをしましたが、その細菌特有の性質をそれぞれが備えているのですが、この酸素の有り無しは、どこで生きていくかがその細菌にとって非常に重要になります。

人は口からものを食べると食べ物は、食道を通り、胃で消化され、十二指腸、小腸を経て大腸に至ります。

このときの酸素量は、口から腸に行くに従い少なくなり、大腸では酸素はほぼない状態になります。

これに従って、腸内細菌も酸素が必要か否かによって、どこに棲息できるかが決まってきます。

例えば、ビフィズス菌は偏性嫌気性菌ですので、酸素があると生きていけないため、大腸にしかいません。

乳酸菌は、適性嫌気性菌ですので、酸素が少しくらいならあっても平気なので、小腸に棲息しているのです。

乳酸菌が他の菌よりも強い菌だというのは、酸素があってもなくても生きていけるという性質を持っていることでも説明がつきます。

私は甘酒を米麹で作りますが、保温して麹菌を発酵させるときに、乳酸菌が増えないように、容器を密閉せずに少し空気を入れるようにしています。乳酸菌は酸素があっても生育しますが、嫌気性菌ですのであると生育は鈍くなるのです。麹菌よりも乳酸菌は強い菌ですので、酸素量の加減は甘酒作りにおいては注意すべきところなのです。

乳酸菌が増えると甘酒も酸っぱくなり甘味がないグレーの色味を呈した出来上がりで、美味しくなくなります。

酸素の有無は細菌にとって死活問題なんですよね!