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税務調査で「お土産」は本当に有効か?

税務調査について、「お土産」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

昔からまことしやかに語られる「お土産」とは、調査官にわざと誤り・間違いを見つけさせ、それによって税務調査を早く終わらせよう、という行為を指します。

調査官が税務署に持って帰るもの(否認項目)がある、ということで「お土産」と呼ばれているのですが、さて、本当に税務調査でお土産は有効なのでしょうか。

■都市伝説です


社長たちの飲み会などで税務調査が話題になると、「お土産」の有効性について話されることが多いらしいのですが、これはまったくもって都市伝説といえます。

確かに税務署の調査官は、わざわざ税務調査に出向いて、何も誤りが見つけられなかった(申告是認といいます)という状況は、良いとは思っていないでしょう。

調査官にとって税務調査とは、追徴課税を課すことが目的となっていますから、このような心情が本音かとは思います。

一方で、調査官の立場になって考えてみれば理解いただけると思いますが、「わざと」誤りを提示するような税務調査先であった場合、調査官からすれば、「叩けばホコリが出る」という状況ですから、軽微な誤り程度で税務調査を終わらせる可能性は低いはずです。

お土産を提示したがために、さらに深く調査をされてしまう、というケースも多くあるのです。

■再び税務調査に入られる原因になる


たとえお土産を提示したところで、税務調査が少ない追徴税額で終わったとしても、次回以降の税務調査が待っていることになります。

税務署としては、一度税務調査に入って、誤りがなかった納税者に再度税務調査に入るよりは、以前追徴税額を課したことがある納税者に税務調査が入りやすくなります。

税務調査が一回だけで終わるのであれば、お土産という手段もあり得るのかもしれませんが、以後に税務調査が入られやすくなるということを考えると、お土産を提示することで、むしろ将来的に税務調査で苦労する状況を自ら招いているだけ、ともいえます。

■お土産が重加算税であれば終わるかもしれないが・・・


また、

お土産を提示したところで、金額としては少額でしょうから、調査官はその金額に満足しない・できないことも想定されます。

調査官が本当に求めているものは、「高額な追徴税額」もしくは「重加算税」です。

税務調査で重加算税を課すということは、調査官にとってみれば「不正を発見した」ということですから、自らの評価が上がるためです。

ですから、

あえて調査官に提示するお土産が、重加算税ということであれば、調査官も喜んでその税務調査を終わらせることもあるかと思います。

しかし、重加算税を一度でも賦課されるということは、税務署から「過去に不正をやったことがある」という認定を受けるのと同じ意味合いですから、今まで以上に税務調査に入られやすくなることは間違いありません。

国税の発表によると、

重加算税を賦課した履歴がある納税者は、3~5年のペースで税務調査を行うとされています。

重加算税を課されるデメリットについては、過去のコラムをご覧ください。

「なぜ税務調査で重加算税を課されたらダメなのか?」

■お土産は無用・無益


以上のように、一般的に税務調査における「お土産」の効果については、逆に理解されていることが多く、税務調査対応・対策としては明らかに間違っています。

まさに、都市伝説というわけです。

税務調査でお土産を考慮することは、百害あって一利なしと理解してください。


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