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税務調査で否認される節税・否認されない節税

節税スキームを売る税理士やコンサルタントは昔から存在しますが、最近はネット上で、節税方法が出回っていたりします。

また、経営者仲間では、「うちはこういう方法で節税したんだよね」という情報が飛び交ったりもするのでしょう。

最近は、相続税の増税があったため、相続税対策として多くの節税方法が喧伝されています。

目次
1. 「節税」と「租税回避」
1.1. 法人税率引き下げスキーム
2. 判断基準はどこ?

1.「節税」と「租税回避」

「節税」という言葉を使っている限りは、本来「合法」なのですから、税務調査で絶対に否認されないはずなのですが、実際はそんなことはありません。

実は「節税スキーム」といいながら、その中身は「租税回避スキーム」だったりするわけです。

「節税」と「租税回避」の何が違うかというと、「節税」とは法律上認められた行為、一方で「租税回避」とは、部分的に見ると正しい行為を組み合わせて、

全体として不自然な行為をすることで、納税額を不当に減らすことです。

わかりにくいので、典型的な「租税回避行為」を取り上げてみましょう。

1.1. 法人税率引き下げスキーム


(小規模な)法人は所得(利益)が800万円までの部分は税率が低くなります。

ここに着眼して、たくさんの法人を設立して利益を分散することで、全体として法人税の金額を下げようするスキームです。

法人税で具体的に計算してみましょう。法人税の税率は以下のようになっています

(資本金1億円以下)。

・年間所得800万円以下の部分……15%                    ・年間所得800万円超の部分……25.5%

年間8,000万円の所得(利益)がでている法人の、法人税はこうなります。

800×15%+(8,000―800)×25.5%=1,956万円

一方でこの法人を、1社あたり利益800万円の10個に分割できるとすれば、

800×15%×10社=1,200万円

なんと、法人税だけでも、年間に700万円以上の差になります。

法人には法人税だけではなく、住民税や事業税もかかってきますので、分社化するだけで約1,000万円以上の税金が下がるわけです。

会社を分割することは、間違いなく合法です。

しかし、税務調査で否認されないかというと、否認される可能性はあるのです。

1つ1つ行為は法律に則っているにもかかわらずです。

上記のスキームを見ればおわかりのとおり、いくら法律的には正しいとしても、全体としてみれば明らかに税金の額を減らそうという不自然な行為なのです。

このような行為を、税務署が「確かに法律に違反しているわけじゃないので認めますよ」というわけがありません。

2. 判断基準はどこ?

税務調査で認められる節税と、認められない節税=租税回避行為の区分は、「税金を減らすことが目的」であったかどうかが判断基準となります。

上記の例でいえば、分社化したことが税金を減らすことが目的ではなく、(他の)「経済合理性」があったかどうかによります。

例えば、分社化した理由が、事業ごとに会社を分けることで、

・株主が相違する(させる)ため

・銀行からの借入をしやすくするため

・各事業の採算性を明確にするため

・将来的な事業売却をしやすくするため

・社員マネジメントをやりやすくするため

などの理由があれば、このスキームは税務調査で租税回避行為とされない可能性が高くなります。

節税と租税回避の境目は曖昧なのですが、税務調査では否認される節税というものが存在する、ということは肝に銘じておくべきでしょう。


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