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25(OH)D:血清IgEおよび好酸球において負の関連示唆

下記論文からの抽出

ビタミンDレベルと炎症性バイオマーカーの関係

IgE: ソースによると、血清ビタミンDレベルと血清IgEレベルの間には負の相関関係、つまりビタミンDレベルが高いほどIgEレベルが低いという関連性があることが示唆されています。
特に、リスクの低いバイアスの研究を対象としたメタアナリシスでは、25(OH)Dレベルが2.5nmol/L上昇するごとに、血清IgEは約0.33 IU/mL減少することが明らかになりました。
ただし、この関連性は、ベースラインのビタミンDレベルが50nmol/L以上の子どもにおいてより顕著に見られました。
しかし、この負の相関関係が、ビタミンD欠乏症の直接的な影響なのか、他のメディエーターを介した間接的な影響なのか、あるいは単なる偶然の相関関係なのかは、まだ明らかになっていません。
好酸球: リスクの低いバイアスの研究では、血清ビタミンDレベルと血中好酸球との間に、負の相関関係があることを示唆する研究結果も得られています。
大規模な横断研究では、ベースラインの25(OH)Dレベルが31.2~245.2nmol/Lの616人の子どもにおいて、統計的に有意な負の相関関係が認められました。
ただし、小規模なコホート研究では、有意な関連性は見られませんでした。
痰中好酸球については、リスクの低いバイアスの大規模な成人研究が1件しか特定されておらず、25(OH)Dレベルと有意な関連性は認められませんでした。
カテリシジン(LL-37): リスクの低いバイアスの研究は少なく、結果はまちまちです。
ある小規模研究では、子どもの血清25(OH)Dレベルと血清LL-37レベルの間には、統計的に有意な負の相関関係が見られました。 これは、25(OH)Dレベルが高いほど、抗菌活性が低いことを示唆しています。
しかし、別の補給試験では、成人の喘息患者に6ヶ月間カルシトリオールを補給した結果、プラセボ群と比較して、痰中LL-37と血清IFN-γが有意に増加しました。 これは、25(OH)Dレベルが高いほど、抗菌活性が高いことを示唆しています。
これらの矛盾する結果が生じた理由は、LL-37が炎症細胞を直接刺激する作用と、特定のサイトカインやシグナルに対する細胞応答を調節する作用の両方を持つためと考えられています。


結論: ソースでは、ビタミンDレベルが低いほど、IgEや好酸球などの特定の炎症性バイオマーカーが高くなる可能性があることが示唆されています。カテリシジンとの関連は複雑で、さらなる研究が必要です。IL-37とビタミンDの関連性については、ソースからは明確な結論を導き出すことができませんでした。

注記: これは、提供されたソースのみに基づく回答です。他の情報源で異なる結果が得られる可能性があります。

El Abd, Asmae, Harika Dasari, Philippe Dodin, Helen TrottierとFrancine M. Ducharme. 「Associations between vitamin D status and biomarkers linked with inflammation in patients with asthma: a systematic review and meta-analysis of interventional and observational studies」. Respiratory Research 25, no. 1 (2024年9月19日): 344. https://doi.org/10.1186/s12931-024-02967-z.

背景
多くの研究は、喘息患者におけるビタミンDの状態と炎症性バイオマーカーとの関連を示しているが、結果は一貫していない。本レビューは、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)レベルで評価された血清ビタミンDの状態と、喘息を持つ小児および成人における炎症性バイオマーカーとの関連を総括することを目的としている。

方法
2022年11月までに発表された25(OH)Dに関する介入研究および観察研究を対象に、6つの電子データベースを用いて文献検索を行った。関心のある結果は、炎症性バイオマーカーを以下の4つのカテゴリに分類して評価した:Th2型プロ炎症性バイオマーカー、非Th2型プロ炎症性バイオマーカー、抗炎症性バイオマーカー、および非特異的バイオマーカー。研究の特徴を抽出し、American Academy of Nutrition and Dieteticsのツールを用いてバイアスのリスクを評価した。バイアスのリスクが低い研究についてはメタアナリシスを実施し、各バイオマーカーに対する関連の方向性(正の関連、関連なし、負の関連)を全体およびリスクの低い研究において記述的に報告した。

結果
喘息患者を対象とした71件の研究(介入研究3件、観察研究68件)を含めた。これらの研究では、血清25(OH)DとTh2型プロ炎症性バイオマーカー(N=58)、非Th2型プロ炎症性バイオマーカー(N=18)、抗炎症性バイオマーカー(N=16)、および非特異的バイオマーカー(N=10)との関連を調査した。バイアスのリスクが高い研究は13件(18.3%)、中程度のリスクは50件(70.4%)、低いリスクは8件(11.3%)であった。バイアスのリスクにかかわらず、全ての研究で最も頻繁に報告された結果は、有意な関連がないというものであり、次いで25(OH)Dとプロ炎症性バイオマーカーとの間の負の関連、および抗炎症性バイオマーカーとの正の関連が報告された。バイアスのリスクが低い研究では、1つのバイオマーカーについてメタアナリシスを実施することができた。25(OH)Dと血清IgEのプール推定値は、負の関連を示した(β(95%CI)= −0.33(–0.65から−0.01);I2=88%;N=4件の研究)。また、3件の研究のうち最大規模の研究において、25(OH)Dと血中好酸球との間に負の関連が観察され、唯一の研究で報告されたカテリシジン(LL-37)との関連も同様であった。他のバイオマーカーについては、バイアスのリスクが低い研究の大半が25(OH)Dとの有意な関連を示さなかった。

結論
血清25(OH)Dは、血清IgEおよび血中好酸球やLL-37と負の関連を示し、25(OH)Dの生体内免疫調節効果を支持している。今後の研究では、これらの関連をさらに解明するために、厳密な方法論と標準化された報告を採用し、メタアナリシスの集約を可能にする必要がある。


序文

  1. 喘息は、気管支過敏性および炎症によって引き起こされる慢性呼吸器疾患であり、これにより予防可能な症状や増悪が生じる。

  2. 2019年には、約2億6200万人が喘息に罹患し、45万5000人が死亡した。

  3. 喘息は、多くの患者においてTヘルパー2(Th2)サイトカインによって媒介される慢性炎症を特徴とし、これが気道への炎症性細胞の浸潤を促進し、在住免疫細胞を活性化し、炎症性メディエーターの放出を引き起こす。

  4. 喀痰や血清で測定される炎症性バイオマーカーは、疾患管理、予後、治療調整に利用できる。

  5. 主要なバイオマーカーには、臨床および研究で喘息患者にしばしば測定されるTh2炎症のプロ炎症性マーカーが含まれる。例として、免疫グロブリンE(IgE)、好酸球、呼気一酸化窒素分画(FeNO)、インターロイキン(IL)-4、IL-5などがある。

  6. 非Th2型プロ炎症性バイオマーカーには、好中球、C反応性蛋白(CRP)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターフェロンγ(IFN-γ)などが含まれる。

  7. 喘息患者では、制御性T細胞(Tregs)、抗菌ペプチドカテリシジン(LL-37)、IL-10などの抗炎症性バイオマーカーも研究されている。

  8. ビタミンD欠乏および不足は、全世界で10億人以上の小児および成人に影響を及ぼす公衆衛生上の問題である。

  9. Institute of Medicine(IOM)は、ビタミンD欠乏を血清25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)濃度30 nmol/L未満、ビタミンD不足を50 nmol/L未満と定義している。

  10. 喘息患者において、低い血清25(OH)Dレベルは、入院リスク、救急科受診、増悪、救援用経口ステロイド使用のリスク増加と関連している。

  11. ビタミンDの骨外における抗炎症性および免疫調節効果は、動物モデルを用いたin vivo研究やin vitro細胞培養で実証されている。

  12. ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスでは、ビタミンD補充により、IL-10のような抗炎症性サイトカインのレベルが上昇するという証拠が示されており、喘息を持つ小児および成人においても確認されている。

  13. しかし、炎症性バイオマーカーとビタミンDの状態(25(OH)Dレベル)との関連は明確ではない。

  14. 25(OH)Dは、ビタミンD補充だけでなく、食事、日光曝露、遺伝的要因によっても影響される、ビタミンDの最も信頼できる指標である。

  15. 喘息患者における観察研究では、血清25(OH)Dレベルとプロ炎症性Th2および非Th2バイオマーカーとの逆相関、抗炎症性バイオマーカーとの正相関が報告されている。

  16. しかし、これらの研究結果には顕著な不均一性と矛盾が存在する。

  17. 一部の研究は、25(OH)Dと炎症性バイオマーカーの関連が異なる方向性を示すことを示唆している。

  18. これらの矛盾を考慮し、包括的なレビューが必要である。

  19. 本系統的レビューは、25(OH)Dと喘息患者における炎症性バイオマーカーとの関連に関する現行の証拠を統合することを目的としている。



系統的レビューに含まれた研究の特徴の概要。
(A)発表年に基づく研究の数;(B)集団の種類別の研究の割合(件数);(C)集団の種類別にグループ化されたサンプルサイズの記述統計;(D)実施された統計分析の種類および集団の種類に応じた研究数;(E)バイオマーカーの種類に応じた研究数;(F)バイアスのリスクで層別化された、4つのバイオマーカーカテゴリのうち少なくとも1つを報告している研究の割合(件数)。
注:炎症性バイオマーカーは同じ論文内で別々に調査された。略語:Max、最大;Min、最小;Th2、Tヘルパー2。


71件の研究で調査された炎症性バイオマーカーの関連性の種類の概要。
(A)Th2型プロ炎症性バイオマーカー(N = 58件の研究)。(B)非Th2型プロ炎症性バイオマーカー(N = 18件の研究)。(C)抗炎症性バイオマーカー(N = 16件の研究)。(D)非特異的バイオマーカー(N = 10件の研究)。
略語:CRP、C反応性タンパク質;ECP、好酸球陽性タンパク質;FeNO、呼気一酸化窒素分画;Hs-CRP、高感度C反応性タンパク質;IFN-γ、インターフェロンγ;Ig、免疫グロブリン;IL、インターロイキン;IP-10、インターフェロンγ誘導タンパク質10;LL-37、カテリシジン;N、研究の総数;PMN、多形核;TGF-β1、トランスフォーミング成長因子-β1;Th、Tヘルパー;TNF-α、腫瘍壊死因子α;Tregs、制御性T細胞。

結果

血液および喀痰中の好酸球
血液中の好酸球に関する3件の低バイアスリスクの研究のうち、1件の大規模研究が血清25(OH)Dと血清好酸球に負の関連を報告しましたが、他の2件の小規模研究では有意な関連は見られませんでした。喀痰中の好酸球に関しても、1件の成人を対象とした大規模研究では有意な関連は報告されませんでした。

FeNO
低バイアスリスクの3件の研究がFeNOと25(OH)Dの関連を調査しましたが、いずれの研究でも統計的に有意な関連は見られませんでした。

インターロイキン
1件の低バイアスリスクの小規模研究が25(OH)Dと血清IL-4およびIL-13の関連を調査しましたが、有意な関連は報告されませんでした。

非Th2型プロ炎症性バイオマーカー
18件の研究が非Th2型プロ炎症性バイオマーカーと25(OH)Dの関連を調査しましたが、大多数の研究では有意な関連は見られませんでした。一部の研究で負の関連が報告されましたが、正の関連があった研究も少数ありました。

抗炎症性バイオマーカー
16件の研究が抗炎症性バイオマーカーと25(OH)Dの関連を調査しました。観察研究の大半では、25(OH)Dと抗炎症性バイオマーカーに正の関連が見られましたが、一部の研究では有意な関連は見られませんでした。

非特異的バイオマーカー
10件の研究が非特異的バイオマーカーと25(OH)Dの関連を調査しましたが、ほとんどの研究で有意な関連は見られませんでした。


Discussion要約

  • 本レビューでは、喘息患者における血清ビタミンD状態(25(OH)D)と炎症性バイオマーカーとの関連を調査した71件の研究を総括した。

  • そのうち8件(11.3%)のみが低バイアスリスクと評価され、これらが主な結論の根拠となった。

  • 4件の研究を対象に1つのバイオマーカー(Th2型プロ炎症性バイオマーカー)についてメタアナリシスを行い、血清25(OH)Dレベルと血清IgEレベルとの間に統計的に有意な負の関連が認められた。

  • 残りの低バイアスリスクの研究では、バイオマーカーの多様性や測定法の違い、不完全な報告がデータの統合を妨げた。

  • 方向性の報告は一定の情報を提供したが、多くの研究が統計的な精度に欠けており、25(OH)Dレベルと他のバイオマーカーとの真の関連性について明確な結論を引き出すのは困難であった。

  • Th2型プロ炎症性バイオマーカーについては、低バイアスリスクの4件の研究のメタアナリシスにより、25(OH)Dが2.5 nmol/L増加するごとに血清IgEが約0.33 IU/mL減少することが示された。

  • 2件の小規模な研究では有意な関連が見られなかったが、報告されたデータは不十分で結論に寄与しなかった。

  • 血中好酸球に関しては、1件の大規模な研究で統計的に有意な負の関連が認められたが、他の2件の小規模な研究では有意な関連が確認できなかった

  • FeNOおよび他のTh2型バイオマーカーとの関連については、いずれも有意な関連が報告されず、25(OH)Dとこれらのバイオマーカーとの関連性についてのレビューも存在しなかった。

  • ビタミンD補充試験に基づく系統的レビューでは、25(OH)DとTh2炎症性バイオマーカーの間に因果関係は見られなかった。

  • 非Th2型プロ炎症性バイオマーカーや非特異的バイオマーカーについても、関連性は確認されなかった。

  • 抗炎症性バイオマーカーに関しては、1件の研究で25(OH)Dと血清LL-37の間に負の関連が認められたが、他のバイオマーカーとの関連性は確認されなかった。

  • 全体として、25(OH)Dは血清IgEおよび好酸球に負の関連が示唆されるが、その他のバイオマーカーについては十分なデータが得られていない。


カテリシジン(LL-37)は、免疫システムにおいて重要な役割を果たす抗菌ペプチドの一つです。特に、感染や炎症に対する自然免疫の一部として機能します。

具体的には、LL-37は細菌やウイルス、真菌などの病原体に対して直接的な抗菌作用を持っています。また、炎症部位での免疫細胞の動員を促進し、組織の修復を助ける役割も担います。このペプチドは、ヒトの皮膚や気道、消化管などの粘膜で生成されるため、体のさまざまな場所で感染を防ぐために働いています。

LL-37はビタミンDと関係が深く、ビタミンDのレベルが十分に高いと、このペプチドの産生が促進され、免疫防御が強化されることが知られています。そのため、ビタミンD不足が続くと、感染症に対する防御力が低下する可能性があると考えられています。

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