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温泉、サウナの研究者 阿岸祐幸(北海道医大。一般社団法人 健康保養地医学研究機構)

阿岸祐幸(あぎし ゆうこう)
1931年札幌市生まれ。北海道大学大学院医学研究科修了。健康保養地医学研究所所長。北海道大学名誉教授。医学博士。著書に「温泉と健康」「気候療法入門-山歩きにはちょっと冷たい刺激」など多数。

療養泉の生体作用と効能
●単純温泉
成分はいろいろあるが、塩分濃度が規定値以下と薄く、泉源の温度が25度以上の温泉。刺激が弱く、作用も穏やかで入りやすく万人向き。高齢者、病後の回復期の静養、手術や外傷後の療養などによい。飲泉は軽い胃腸炎によい。
●ナトリウム塩化物泉(通称・食塩泉)
皮膚に付いた食塩が体温の放散を妨げて、保温効果が長く続くので、「熱の湯」と言われている。食塩泉や海水は殺菌作用が強く、咽頭や上気道の炎症にうがいや吸入が効果的。アトピー性皮膚炎によく合併する皮膚感染症に効果がある。関節痛、筋肉痛などにも効果的。飲むと、胃酸の分泌を整え、腸の運動を活発にするので「胃腸の湯」とも言われる。

●炭酸水素塩泉(ナトリウム炭酸水素塩泉は通称・重曹泉、アルカリ泉)

重曹は皮膚表面の脂肪や分泌物を乳化して軟らかくし、肌を滑らかにするので、「美人(肌)の湯」と言われる。浴後に皮膚表面からの水分発散が盛んになって、体温放散が強まり、清涼感、爽快感があり、「冷えの湯」とも言われる。浴用の適応は外傷、皮膚病、リウマチ性疾患など。

飲用すると、胃酸を中和し、発生した炭酸ガスは粘液を溶かし、胃の運動を促進する。胆汁の分泌を促し、肝臓、すい臓の働きを助けるので、ドイツでは「肝臓の湯」として、胆石、慢性胆嚢炎、糖尿病、通風に用いられる。

●硫酸塩泉

ナトリウム硫酸塩泉(ほう硝泉)、カルシウム硫酸磯泉(石膏泉)、マグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉)、アルミニウム(明礬泉)があるが、いずれも保温効果が強く、末梢血管を拡張し、血圧を下げる作用もある。

●二酸化炭素泉(炭酸泉)

炭酸ガスの小気泡が肌につく泡が特徴的。末梢血管拡張と血流増加作用が強く、炭酸ガスの濃度が高いほど強くなることが確かめられている。心臓に負担をかけずに血液循環を促進し、「心臓の湯」とも言われる。飲用で胃腸の働きを促す。

●硫黄泉

末梢血管拡張作用が強く、動脈硬化症、高血圧症、慢性皮膚病、皮膚角化症に適する。硫化水素ガスは痰を切るので、慢性気管支炎、気管支拡張症に良い。乾燥肌の人には向かない。

●酸性泉

強い刺激作用がある。抗菌作用を利用して皮膚感染症に適する。皮膚のただれ、湯あたりを起こしやすい。

●放射能泉

鎮痛効果があり、末梢循環を促進する。飲用で利尿作用があり、通風、高尿酸血症、慢性尿路感染症などに適する。

療養泉で、生活習慣病を予防しよう | 川崎・矢向 縄文天然温泉「志楽の湯」 (shiraku.jp)

スパ・タラソ天草の温泉は、各成分が化学反応を起こして素晴らしい温泉となっております。
【泉質】 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(中性 高張性 高温泉)
●塩化ナトリウム:体を温め保温してくれるので、“熱の湯”と言われる温泉成分です。
●炭酸ガス:末梢の血管を拡げてくれる作用があります。
●炭酸水素ナトリウム:汗腺を広げて汗がでるようにしてくれます。また角質を溶かしてタンパク質や脂肪を洗い落とし、皮膚の新陳代謝を促進します。
●メタケイ酸:湯をまろやかにし、肌をしっとりさせます。

天然温泉&タラソテラピーのスパ・タラソ天草 » Blog Archive » 温泉医学の権威 北海道大学名誉教授の阿岸祐幸 医学博士が「とても素晴らしい温泉!」と大絶賛の温泉です! (spa-thalasso.jp)
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研究活動

【中村毅先生・阿岸祐幸理事の寄稿】ドイツ黒い森の温泉保養地における治療・療養・保養 ─現地視察からうかがえた温泉地の特徴による 自然資本活用可能性─

ドイツの温泉保養地では,土地固有の特徴ある自然資本の経験的な生体に対する効果を医学・気象学・化学などの科学的手法によって検証し,治療手段として承認を得,健康維持,治療や疲労・ストレスからの回復に提供している.自然資本は土壌からの素材である療養泉・ガス・ぺロイド(使用法は浴用,湿布など日本も欧州も差異はないが,欧州ぺロイドの物理的性質は日本に比較して劣り,有機質を多く含有させるため,処理を施す点が異なる)のほか,気候や海洋からの素材も含み,種類や質によって温泉保養地の種が規定されている.その特徴により利用者の目的に応じた場所を選択できるシステムが構築され,健康増進に効率的に活かされている.
自然資本が豊富であるにもかかわらず活用が十分ではないと思われる日本の現状に対し,ドイツ温泉保養地の近年の動向について,黒い森地域を主とする伝統ある温泉・気候保養地を参考にすべく現地視察体験し現状について学んだ.
視察を行ったいずれの場所もドイツ温泉協会,ドイツ観光協会から認定されている温泉・気候保養地であったが,特にBad Wildbad, Keidel Mineral-Thermalbadの2つの温泉保養地は,医学的治療,ツーリズム等の提供構造を維持しながら,土地構造,自然素材の長所を活かし,トレンドや感動の要素を組み込み地域社会,温泉地の活性化につなげていた.
日本とドイツでは温泉地自体の構造,環境,制度などの相違もあり,ドイツでは,補完,代替医療が広く行われ一部公的治療費が支払われるが,プライベート保険を用いて保険償還が行われている(高山真,他:ドイツ4ヶ所の医療施設における統合医療の現状,日東医誌 Kampo Med, 2012; 60(4): 275-282).ドイツの現状をそのまま応用するには容易ではないが,黒い森地方に劣らない量,多様性のある自然資本を所有する日本においても健康増進へのさらなる活用可能性があると考える.ドイツ温泉保養地の取り組みはその方向性の一端を示してくれるのではないか.

ドイツ黒い森の温泉保養地における治療・療養・保養─現地視察からうかがえた温泉地の特徴による自然資本活用可能性─ (jst.go.jp)


#アンネの法則の山下安音です。私のライフワークは、平和学研究とピースメディア。VISGOのプロデューサーに就任により、完全成果報酬型の教育コンテンツと電子出版に、専念することになりました。udmyとVISGOへ動画教育コンテンで、世界を変える。SDGs3,4の実現に向けて一歩一歩