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【5分でわかる】プロトタイピングで何ができるの?なぜやるの?

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園田:今までいろんなプロダクトやサービスを作ってきたけど、本当に規模の小さなプロダクト(1ヶ月くらいで完成するもの)などには実際はプロトタイピングのフェーズを取らない場合もあります。
プロトタイピングを作る工数と開発する工数があまり変わらない場合は本番を作っちゃった方が早いからです。

プロトタイピングは、全体工数が大きいほど、「検証」という役割としてとても重要な技術となっていきます。開発が3ヶ月以上かかるもの、6ヶ月以上かかるもの、いろんなサービスがプロダクトがありますが、長期間の開発期間を取るものはそれなりに費用もかかります。
費用が増すと「意思決定」における重みというものは比例して伸びていきます。また周りからの注目度、関わる人数も増えていきます。

物事を進める上で重要なのは、なにかしら「根拠がある」ということだと思います。例えば、「僕はこれ上手くいくと思うんだけどね。なんとなくだけど...。」と他人から言われたとして「それはなぜですか?」と聞きたくなると思うんですよ。そのなぜ?をプロトタイピングではっきりさせていくことができます。

プロジェクトに関わる誰しもが、そのプロジェクトを成功に導こうと考えているでしょうし、自分の人生における大切な時間をそれに投資して良いか?を常に判断し続けていると思います。
UXの観点でも、ビジネスの観点でも、勝ちへの道筋をたてる手段がプロトタイピングだと思います。

根拠の無いプロジェクトというのは、ユーザーに良い体験を与えられないだろうし成功角度も低い。またチームビルドの観点からも難ありです。

プロトタイピングでしっかり勝ちへの根拠を明確にして、ユーザー体験、チームビルドどちらの観点からも健康的に事業の立ち上げを行えるのがベストだと思います。

かわうそ君もぜひ試してみてくださいね。


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三富:プロトタイピングで何ができるか?という質問には、「プロトタイピングの役割」という視点で回答してみますね。役割を説明することで、なぜやるのか、というところは、それはやるべきだね!となると思います!

Lauffさんらが2017年に発表した論文では、実際の企業のプロジェクトを2年間リサーチした上で、プロトタイピングの役割を3つに分けています (Lauff et al. 2017)。

役割①コミュニケーションを可能にする

アイデアやコンセプトを形にすることで、共通の言語が形成され、それぞれの認知的負担が軽減され、コミュニケーションの円滑化に繋がります。また、実証的な研究の結果では、チーム内で複数のプロトタイプを共有することにより、設計結果、グループコミュニケーション、およびグループの信頼性が向上することがわかっています(Dow et al.2011)。

役割②学習が促進される


プロトタイピングを通して、対象とする領域、技術的な要素、ユーザーニーズ、ビジネス関連に関する新しい情報を学ぶか、現在の情報を補強するなど、学習が促進されます。例えば、Dark Horseプロトタイピングという手法を用いることで、予期せぬ気づきを得ることで革新的なアイデアを生み出すことにつながります(Bushnell,et al., 2013)。また、実際のものづくりを行うチームを観察し、アイデア出しの間のプロトタイピングが、最終成果物の高いレベルの創造性と相関することを示した研究もあります(Jang et al.2011)。
アイデアに関連すること以外でも、システムの機能的に検討しなくてはならないことを洗い出し、それにより精度を高め、不確実性の低減にもつながることも示されています(Wood et al. 1992)。

役割③意思決定が行われる


プロトタイプをつくることで、前に進むか、一時停止して反映するか、または完全に中止するかの意思決定を行うことができます。これらの意思決定は、人々に提供できる価値についての有用性(Desirability)、実際につくることができるかの実現可能性(Feasibility)、継続して提供できるかの持続可能性(Viability)の3つの観点から行うことが可能です。


以上、3つでした!プロトタイピングにはこのような役割があるんです。

さらに、R. G. Cooper,による2001年の研究では、大企業の新製品開発中に最大50%のリソースが無駄になると述べています。これらの無駄なリソースの多くは、非効率的なプロトタイピングや結果としてニーズがなく無駄になってしまった製品で発生します。そのため、プロトタイピングの役割を理解し、より効果的なプロトタイピングを行っていく必要がありますね。

ただ、やろうとしたとしても、様々な課題があるのですが、それは別の機会に譲ります。。。!

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■メンバー
UXデザイナー・園田 励

テレビ番組や雑誌を立ち上げた後、2010年GrouponJapanに参画。UX等デザイン領域全般で創業期から事業安定まで携わる。2014年から株式会社イグニスで恋愛・婚活サービス「with」をPM・UXデザイナーとして立ち上げ、黒字化 。2019年には株式会社WARCに参画。デジタルプロダクト専門クリエイティブギルド、株式会社PRISMを創業。幼児用冷凍食品を扱うhomeal株式会社のCDOに就任。立ち上げては軌道にのると次に移りたくなる生粋の0→1職人。中国武術の使い手でもある。

株式会社PRISM  /  デジタルに特化したサービスデザインスタジオ ~ デザイン×ビジネスの両面でDXに実現力を。

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プロトタイピング研究者・三冨 敬太

2018年よりデザインファームTsukuru to Ugoku Design株式会社を創業。デザイン思考を活用したデジタルソリューションのデザイン、シティプロモーション推進業務などを展開。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科卒業、研究員(プロトタイピング)。アプリケーション「オトトトン」でグッドデザイン賞・キッズデザイン賞受賞、など。日本創造学会所属 株式会社ステッチ執行役員 veernca合同会社 代表社員。サイゼリヤが好き。一番好きなメニューは柔らか青豆の温サラダと赤ワイン250mlデカンタとプロシュートと熟成ミラノサラミと白ワインの250mlデカンタ。

Tsukuru to Ugoku Design 株式会社

株式会社ステッチ


・Dow, S., Glassco, A., & Kass, J. (2011). The effect of parallel prototyping on design performance, learning, and self-efficacy. In ACM Conference on . (pp. 10).
・Bushnell, Tyler & Steber, Scott & Matta, Annika & Cutkosky, Mark & Leifer, Larry. (2013). USING A "DARK HORSE" PROTOTYPE TO MANAGE INNOVATIVE TEAMS. 10.13140/2.1.2361.7602.
・Jang, J., & Schunn, C. D. (2011). Physical Design Tools Support and Hinder Innovative Engineering Design. Proceedings of the Human Factors and Ergonomics Society Annual Meeting, 55(1), 1279–1283.
・Wood, David; & Kang, Kyo. A Classification and Bibliography of Software Prototyping. CMU/SEI-92-TR-013. Software Engineering Institute, Carnegie Mellon University. 1992.
・Lauff, Carlye, Kotys-Schwartz, Daria, and Rentschler, Mark E. "What is a Prototype?: Emergent Roles of Prototypes From Empirical Work in Three Diverse Companies." Proceedings of the ASME 2017 International Design Engineering Technical Conferences and Computers and Information in Engineering Conference. Volume 7: 29th International Conference on Design Theory and Methodology. Cleveland, Ohio, USA. August 6–9, 2017. V007T06A033. ASME.

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