シャニアニ 2nd season感想(三章追記)

これは、アイドルマスターシャイニーカラーズ のアニメ、通称シャニアニの2nd seasonに関する感想文です。筆者のXアカウントに投稿しているふせったーの文をそのまま転写してこちらでもまとめたものとなります。

8/24 二章分追記しています。
9/21 三章分追記しました。

以降は転写文となります。

シャニアニ第二幕 一章感想
・アレンジが合理的な[straylight.run()]
・確かにあった[19人の283プロ]
・やっぱりやりたいんだな、[2年目と3年目を!]
などと


新ユニットが加入する第二幕になって一番気になることは、その取り扱い。これは原作通りだなんだという話ではなく、元々のゲームにある矛盾や余白にどうしても挑まなくてはならないということ。

いわばコミカライズやシャニソンは時系列のいいとこどりであって、ユニット単独でしか描かれないユニットコミュ、全員がいるはずのライブ、個人にしか注目されないカードコミュなどを一から「283プロ全体の話」と再構成しなければいけません。

まして、アイドルが歳を取らないこの世界では、明らかに一年近くの時間を開けて登場しなければならない追加ユニットに関する扱いは、その際たるものでしょう。

ゲームならば場面を変えて余白に押し込むことができますし、コミカライズはジムシャニのSHHisを除けば、加入したばかりのアイドルを描かなくていい場面で初めています。そのジムシャニもまた「にちかと美琴の二人で歩むwing」というゲームにはない描写を選んだように、真乃がアイドルになってからひと繋がりのストーリーとするアニメもまた、再構成が必要となります。

故に、どうやるのか、何を選ぶのか、というのが今回の楽しみ。ましてや追加されるのは2ユニット。決して長いとは言えない尺で2年間分の物語がどう圧縮されるのか、興味深く見させていただきました。あえて前情報はほとんど仕入れずに向かったこともあり、新鮮な思いができました。

まず、1話目。
新ライブの話と、ストレイライトの加入。二つの情報が共有されるここでも、アニメならではの再構成が。
本来、ゲーム内では、ストレイライトと他ユニットの対面はピクニック時でした。しかし今回はデビューまでその詳細は他ユニットにも隠されていたこととなります。

これについては非常に合理的には感じていて、そもそもストレイライトは、各々のwingコミュに近しい物語を終えてから結成されたユニットです。冬優子の一側面しかり、愛依のミステリアス路線しかり、そういったプロデューサーとの関係性や売り出し方が決まってからの結成となるためです。そのため、2人には最初からストレイライトとなるまえの下積みがある訳です。そんなストレイライトになる前の状態で、他ユニットのアイドルと絡むシナリオはなく、あくまで3人はストレイライトとして合流してきたことを思えば、デビューの瞬間を見届けるところから、というのは当時の状態に対する視線の合わせ方としては丁寧に感じます。

またそんな状態だからこそ、あさひが一方的に真乃を知っているなど、「もう追加組は加入していて顔合わせも済ませてる」体で話が進んでいたピクニックバスケット以外のコミュでは見られない場面も見ることができ、興味深く思いました。

続く2話目。
仕入れすぎてはいないだろう情報の中でも、冬優子のセリフが見えていたために、やりはするんだろうと考えていたイベントコミュ。ただ、天塵も含めれば283プロとしての物語と同時進行で進めるのは厳しいとも感じていたため(ユニットとして不安定な時期があると、その時期の事務所の話までそっちに引っ張られてしまいそうです)、明確な過去の場面という写し方は好みですね。

アレンジされた部分はステージの仕事。デビューライブまでにどこかでお披露目があるなら、16人が誰も知らないということにはならないでしょうから、ゲーム内での三人のデビューだったショップイベントと、海でのイベントがアレンジされていました。

特に海でのイベントはオーディションに変更されたことで、「流石に観客が見てる中で行う出来レースにしてはおざなり過ぎて、勝った側の評判普通に下がるでしょ」みたいなツッコミどころは消えた気がします。審査員三人の胸の内に秘められることであれば、観客が見ていた例のイベントより出来レースにしやすいでしょう。また、ストレイライトが負けた理由も、三人同時のパフォーマンスによるオーディションということもあり「あさひが勝手にやった」ことが特に目に見えて受け取れたことは、「急なダンスのコピーを自曲に合わせるあさひのテクニック」と「そんなことをやっても他の二人から悪目立ちするだけで意味がない」の両方を示せる、いい展開だったかと。アニメとして動きが出せ、またここに至るまで数回wandering dream chaserのフリを見せてくれていたこともあり、異物感が伝わりやすかったようにも感じています。

数話に分けていたイルミネのコミュと違い通しでやったこともあり、原作再現という意味では今までで最も迫ったものになっていたからこそ、こういう辻褄合わせの部分に納得できるのは中々に嬉しいものでした。

さて、そんなストレイライト漬けの2話から揺り戻すように、283プロの全員が表れ出す3話。第一幕の構造から、中盤のイベントと最後のイベントは分けるのだろうと思っていたので、ハロウィンライブをここで消化するのは予想通りでしたね。

そして、「コンセプトを自分たち考える」「自分たちで演出のアイデアも出す」というのは、紛れもなくファン感謝祭。wingの次の位置に収まるものとして、少しだけニヤニヤ出来ました。もちろん、感謝祭そのもののシナリオとは異なるのですが、先ほども言った通り、ユニット単体でしか見れない感謝祭も本来は283プロ全員で臨むもの。wingに16人で挑んだように、ゲーム設定では本来想定されているが見えてはいないものにも、やはり忠実な物語はやはりあって欲しいものではありました。感謝祭実装時にいたアイドル19人が、確かに演出した「ファン感謝祭の代わりとなる物語」には大いに感じ入るものがありました。

そう、ノクチルも加入するアニメということもあるとはいえ、283プロの、シャニマスの歴史に確かにあった「19人が全員の時」を、忘れないよと目配せしてくれたようで。その年にシャニマスを始めた自分としては、やはり嬉しいものです。

ライブもまた、ユニット曲が順に披露される第一幕と異なり、なんと全員シャッフルの新曲5曲。大盤振る舞いでした。しかしこれも考えてみれば、ストレイライトとノクチルが実装されることで、初期ユニットには4曲、アニメで披露していない曲が増えています。そして当然、ノクチルは全二曲。満遍なく出番を与えようとすれば公平とは行きませんし、また初期衣装でない衣装で歌い始める2年目以降は、ユニットごとのモデルを2年目曲と3年目曲を披露するおそらく短い時間のために作る、というのは現実的ではないでしょう。そのため、楽曲をどう取り扱うかは疑問でしたが、まさかの手段でした。確かにこれなら、ユニット間の曲数の不足は関係ありませんし、オリジナル曲であれば既存曲の扱いの差についても平等になります。また、アイドル達がアイデアを出すライブにおいては、結局既存曲のセットリストをいじるくらいにしかならない、というのも寂しいものではあるので、アイデアに合わせた曲の追加はなんとも痛快でした。

そして、サプライズ。おそらく二章、あるいは三章でのゴールとなるイベントは、ライブツアー。3rdライブを思い出しますね。そう、ノクチルが実装された年を締めくくるライブを。

19人で過ごした2年目を、新ユニットと越境イベント、感謝祭の模擬という形で表現してくれた後に、三年目のゴールを見据えてくれていることの、なんと嬉しいことか。三年目はGRADの年でもあり、冒頭プロデューサーも言っていた、一人一人が見据える将来の話には欠かせないものです。三年目の描き方への期待も高まるというものです。一年目にこだわった一幕から続く納得感と共に、満足感を得ていました。

そして予告では、ノクチルと共に、聞き覚えのあるセリフ達。そこに踏み込むのであれば、二章てノクチル、アンティーカ、アルストロメリアが、三章ではイルミネーションスターズ、放課後クライマックスガールズそしてライブツアーとなるでしょうか。

追加ユニットにも着目しつつ、既存ユニットもちゃんとメインに据え、またシャッフルの後、ライブツアーまでの間だからこそ、個々のユニットを描き、それを283プロにしていくという構成が見えるようで、大変に嬉しく思います。

第二幕への期待もあれこれですが、のんびり見届けさせていただきましょう。いい時間でした。


二章分追記

シャニアニ2nd 二章


まず5話。天塵回。

事前の予想としては「生放送はやる、花火大会はやらない」というものでした。これは、事前にストレイライトが最後の仕事でデビューするために、ショップイベント、海のイベントなど公に出る仕事がカットされており、straylight.run()の方は「283プロのアイドル達にすら秘密にされていたユニットのお披露目前の前日譚」とされていました。

しかしノクチルの場合はどうしても花火大会ではなく生放送で炎上するという工程がある以上、オーディションの出来レースのように公にしない形へ改変するのは難しい。そして、やる以上はライブシーンがありますので、ストレイライトが話数を跨いでMVを複数回流すような作りだったこと、炎上騒動の後から花火大会には間を空けないと炎上の程度が軽んじられてしまいそうなこともあり、1話の中では花火大会をやらない、という思いと、花火大会でのノクチル自体その結論がノクチルの中に完結してしまうため、283プロ全体を描くアニメではむしろその枠を3期にやるであろうライブツアーにするというのがアニメのやり方だろうな、と。


さて、実際に見てみると、予想自体は当たっていたものの「思ったよりもしっかりやっている」印象を受けました。これはストレイライトの描き方を見ていればそれはそうだろう、と思われるかもしれませんが、天塵はモノローグや回想といった「今動いているアイドルだけで物語を動かす時にカットできうるもの」が多いだけに、その辺が充実しているのは印象に残りました。

また、印象に残ったといえば、生放送制作サイドの「デビューだし」という文言が足されていたこともそうです。ノクチルの立場に立てば悪辣な番組であるようにも見えますが、本来はノクチルの個を出さない、つまりどんな新人ユニットが来ようと一定の成果を保証して送り出すような企画であるとの認識なので、ライブより音源を使うのは理に適っていると当時から思っていました。勿論、時にライブでのパフォーマンスが音源を上回ることもあるのかもしれませんが、基本的に振り付けがあり、意識することが増え、勢いも抑揚も付いてしまう歌のパフォーマンスは不安定なもの。デビューだからこそ安定を求めるというのはある種当然と言えるのかもしれません。また、これはあさひの出来レースに対抗するコピーにも思ったことですが、やはり振り付けがあること、実際にパフォーマンスとして見せることで異物感や「やってしまった」感は強くなりますね。これはアニメの利点だと思っています。

ゲームでは都合上立ち絵とセリフなどでしか表現できませんので、「外から見たらこう見える」という見せ方はやはりアニメならでは。単なる美化だけでなく、「確かにこれは不味いよね」と見せてくれるのもまた誠実だと感じています。

また、これは後半についても言えることですが、尺の取り方についても「確かにここで区切りにできるよね」というポイントを抑え、どのコミュも本来のゲームのコミュの締めまではやっていない、というのも大胆ながら納得のいくものでした。更に、代わりに省略されているのがプロデューサーの出番、というより視点でしたが、その辺はプロデューサー視点が主であるゲームとの棲み分けという意味で良いやり方と感じています。


続いて6話。
殆どノクチル一色だって5話から、また283プロの面子が登場していますね。今後にコミュを匂わせるような発言があると共に、ツアーに加え、「アイドル達が考えるアルバム」の話が出ていました。4話で行われたハロウィンライブも「自分たちでアイデアを出し合う」という形でゲーム内の感謝祭をイメージさせるものでしたが、シャッフルユニットであったあちらと違い、今度はユニットごと。ノクチルを含む7ユニットで改めて個人個人の行きたい場所を見つけるという意味で、19人がシャイニーカラーズになるまでを描いた1stシーズンとは対照的。次に進むテーマとして申し分ありません。

また、やはりというか、ノクチルの生放送の与えた影響の話が少し。天塵ではノクチル以外のユニットにスポットがあたることはないためにその影響は明確ではありませんでしたが、6ユニットで進んでいるアニメではそこから逃げられませんので、必ずあるとは思っていました。

最も、アジェンダ283のようにノクチル以外の19人全員が重苦しく引き摺ってノクチルを揶揄するようなことにはなっていませんので、欲を言えばストレイのように全ユニットからの反応が見たいところではありましたが、裏方組だけの話でも十分と言えるでしょう。

アニメでは全てが地続きなものとして表現できる都合上、真乃と浅倉のやり取りについてとアジェンダ283以上に味わい深いものがあります。ノクチルの次の仕事は花火大会でなく283プロ全体の仕事。であれば他のユニットである真乃が浅倉の背中を押す形になるのもまたいい。アジェンダ283、明るい部屋と少しおっかなびっくり他ユニットと絡んでいたゲームとは違う、アニメならではのノクチルの決着を期待できるというものです。

続いて7話、アンティーカ感謝祭。

こちらも正直アニメ1話にまとめるとは思っておらず、前話までに小出しにしておいて山場をメイン回に、などと推測していたのですがきっちり1話にまとめてくれました。

勿論、冒頭の恋鐘の弁当のやり取りだったり、海以降のシーンだったりの省略はあるのですが、主として動いていた咲耶と三峰についてはむしろ拡充されていたようにも思います。取り分け咲耶については父親の描写が増えただけでなくボイスまでつくおまけつき。見間違いでなければ竹本英史さんだったようですが、こちらも見知った名前が見えて感慨深く思います。

シャニソン開始間もなくのころは、モブキャラクターに声優が付く!と盛り上がったものですが、結局全てのキャラに声優が付くわけでも、重要度に応じて付く訳でもなさそうだったので、アニメでこうした動きがあるのは(ノクチルの幼少期の姿なども含めてですが)嬉しいことですね。

そして、最後に曲の話を。一章の前に心配していたのがアイドルのユニット間曲数差の問題。ノクチル実装時まで、として見てもストレイライトが来る2年目とノクチルが来る3年目はごちゃごちゃになり、ライブをするにしてもノクチルは2曲だけ。合わせるとするなら初期ユニットの2〜3年目に出たアニメ未披露の4曲分は浮いてしまう。そんな問題を1章では「全部新曲のシャッフルライブにする」ことで大胆に解決してくれました。なので、最早不安ということもなかったのですが、こうしてユニット単体の新曲がくると最後のライブでもちゃんと6ユニット平等に輝けるような気がして嬉しく思います。

気がかりがあるとすれば感謝祭コミュから誕生した曲ということもあり、シャニソンに実装されてる感謝祭相当のシナリオにおけるメモリアルライブよりもメモリアルライブしてる曲が生まれてしまったので、シャニソンは急ぎすぎたのかも…と思わなくもないくらいですが…


最後に8話。薄桃色回。

こちらではプロデューサー視点をほぼ全てカットすることで凄まじい圧縮が為されていました。また、アプリコットやオーディションの詳細や甜花の出番や心情も相対的に省略されていたのですが、見事なものでした。

河原での反対ごっこで締める、というのも、ゲーム内イベントでのスチルすら無視して再構成できるやり方というのを示してくれたように思います。また、本来は余韻の部分とも言えるゲーム内エンディングやサポートカードについても、「これを踏まえて彼女達が歌いたいと思った新曲」とそれに合わせて流れるファッションショーの本番やドゥワッチャラブの時と見られる三人の外出シーンが満たしてくれていました。勿論、ゲーム内だとスチル以外のシーンでは立ち絵とセリフくらいですので、改めて真新しい画と曲と共に見せられるそれは、単にイベントシナリオの焼き直し以上のものを感じられるいいアレンジでした。


そして予告の部分。
アンティーカとアルストに新曲を出す以上、ここからユニットごとのメイン回が来るというのはいいとして、放クラからの選択が【かきまぜたら*ミルク】になるとは正直意外でした。勿論、今回のテーマである一人一人のなりたい姿を考えるに当たって、智代子の転換点でありプロデュースカードでありながらユニットメンバー全員が登場する異色のカードであるこのシナリオはそれに相応しいものではあります。しかし、限定カードのシナリオであり、イベントの方にも樹里を主眼にした「階段の先の君へ」があるので、自分含めそっちをやるのでは、と想像した方も多いと思います。
しかし、メンバーが登場するとはいえ基本的にはプロデューサーと智代子で進んだこのシナリオを、改めてユニット全員でやれるかもというのはなんとも期待が出来ましょう。その先にあるのが新曲とわかっているなら尚更のことです。

予告ではストレイライトの姿も映されていましたが、その台詞から察するに彼女達が相対するコミュは「The straylight」となるでしょうか。随分と展開が早いようにも思いますが、アニメはノクチル実装もあり、2年目と3年目が混ざった時間。
であればSHHis登場以前のコミュであるこちらも十分に射程圏内と言えるでしょう。これをすること自体がSHHis登場前の精算といえるのかもしれませんが(ノクチルはちょっと進み方が特殊なので)。勿論、今期からの新ユニットであるストレライトについてはアニメとしての目玉で、事前に一つイベントコミュを再現していることもあり、必ずしも3章で同じことをやるとはいえませんが、不可能ではないので注目したいところです。


残りの尺が4話、新曲未披露も4ユニットと、イルミネとノクチルの答えが出るのを最後のライブに持っていっても中々タイトなスケジュールです。彼女達23人が一緒に進む世界で出す答えは、我々の知っているものと少し異なるのかもしれませんが、その違いも含めてアニメのやり方を楽しめていけたらと思います。

三章感想

・シャニアニが[シャイニーカラーズ]の顔をしてるの、大好き

9話 ザスト回。
ゲームでは実装から2年近くでようやく到達したらコミュであることもあり、選出としては以外だったこちら。しかし、ちゃんと抜いてくれた「ストレイライトのステージは彼女たちでいい」のシーンから、やはりシャイニーカラーズ、個人の色が集まり輝く場所を描くためには、欠かせないものであったなと感じます。また、アニメでは描かれなかったからこそ、ゲーム内にはなかったミステリアス愛依の誕生時の回想を入れてくれたりもしていたので、モノマネイベントやゲームMVを通した「本物のストレイライトとは」というザストの本質的な部分を省略しても、シンプルに愛依の深掘りとしてまとめてくれていたかな、と思います。勿論イベントや、薄桃色しかりエピローグを省略してはいるので、ユニットとしてのしっかりとした意思表明・方針決定のシーン自体は省かれているのですが、このアニメの落とし所があくまで「シャイニーカラーズ」になること、という一期からの認識があるためか、そこまで不当な省略である、という意識はなかったですね。

ただ、気にはなったのはキンキラチャンネルの彼。彼についての描写め省略されているために、彼本人であるとは断言できず、他のキャラクターのようにアニメ用の新モブである…可能性は勿論あるのですが、アイドルやプロデューサーに取って代わられるのでなく、彼に近しいままに盗撮じみた動画を撮っていたと、ゲーム内でストレイライトのファンであることを公言し、勿論意識の欠如なども見られはしますが、追ってるアイドルと実際に会えてしまった高揚感に浮かされているような印象が強かったものですから、悪意がちょっと見えるのは残念ではありました。しかして、モノマネイベントとMVを挟まない以上、物語の転を彼一人が担わなければならないことも事実。故に否定はできませんが、原作の彼にあったものについては、変わらずそのままにしてあげたいですね。

10話 かきまぜたら*ミルク回。
唯一カードイベントからのピックアップ、それも一昔前の限定カードという、だいぶニッチなところであるが故に、知名度や人気はありつつもそこが選ばれるとは思っていなかったコミュです。

元々がプロデュースカードでありながら、他のアイドルがしっかり声付きで登場するシャニマスにおいてもかなり珍しいシナリオでしたが、ことアニメという媒体では、全員で進めないなどという制約はありません。智代子の悩みとその対応を放クラのみんなに共有するという原作から、ツアーを通して「放クラの皆で同じ問題について考える」展開とし、智代子の答えに他の四人も同じ目線で寄り添えていたのは、再構成ならではの美しさでした。また、時折見せる視線の演出も、立ち絵が主となるゲーム版では再現しきれないもの。こういったものにも面白さがありますね。

1stでもありましたが、モブの中にもよく目に擦る名前が。わりかしやりたいようにやってる選出だとは思うので、いつかはその意図とかも聞いてみたいですね。

11話 浅倉GRAD+αの話。

天塵を実質未完で終わらせていることについては、あちらを再現して到達する場所はあくまでも「ノクチルだけの」場所であり、最終的には「シャイニーカラーズ」にする作風にはそぐわない、という印象を抱いてはいましたが、まあ続きを見るまでははっきりとわからないところ。浅倉個人に焦点のあたるGRADをテーマのするならば、「透ちゃんだけどんどん」の根拠にバズりを使い、その後の回収は天塵をやる、そんな可能性も考えていた中で聞こえた心臓の音は、「本当にやるんだ」という驚きがありました。
どうしてもゲームではノクチルが283プロ全体と関わる機会が少なく、全体ライブにどのような気持ちで臨むのかにも、察せるものはあれど直接の描写がない中で、「浅倉透を真乃を通してシャイニーカラーズへ引きつける」形でノクチルを誘い込んだのは、後に続く23人のシャイニーカラーズをきちんと作る意味でいい選択だったかと思います。

浅倉GRADの印象的なイベントの殆どを真乃が担う形となったため、必然的に最も省略・改変の多い回ではありましたが、こちらについてはそもそもゴールに据えられているのが元のGRADではあまり考慮されていないシャイニーカラーズという283プロの象徴のようなものであったために、真乃が中核となっていくことに異論はありません。

アジェンダ283や明るい部屋では、直接ステージの仕事が目的でないために踏み込めなかった場所へ、ちゃんと踏み込めているように感じます。総じてアレンジ箇所の多さが逆にアニメならではの楽しめる箇所の多さに繋がったかなと思うばかりです。

12話 ライブ回。

ノクチルがステージに立つこと、またユニットごとがそれぞれに見つけた今の答えを示すこと、そして、イルミネのスタンスと、ライブシーンは多いながらもシャイニーカラーズとして抑えたいところは抑えてくれる、非常に嬉しい回でした。

唯一新曲以外で曲を披露したノクチルは、生放送のリベンジでありつつ、あれ以降に初めて立つステージが誰も見ていない花火大会でも、無観客の配信イベントでもなく、「283プロを、シャイニーカラーズを愛する人たちが集うライブ」としたのは、可能性として非常に嬉しく、また原作の視点から見ても、感謝祭のステージを思い起こさせてくれました。間違いなく今、「アイドルをすること」そのものが彼女達を幸せにしてくれていることが、言葉はなくとも表情で語ってくれており、単なるMVやゲームではできない、「アニメのライブシーン」だからこその場面だったかなと思います。

そして、イルミネの立ち位置。浅倉GRADを主眼にしたことで、天塵近くであり「浅倉を追う」という側面が強いために浅倉が動けば動きはする、ということを踏まえても中々焦点が当たらない他三人でしたが、各々が他ユニットのライブを見て感じ入るものがありそうだったのは、個人的には好みでした。その上で、イルミネがノクチルの、特に小糸の姿を見て何ができるかを考え、その気持ちを何よりも「アイドルのステージ」にして届けていたのは大変嬉しいことです。勿論、初めから小糸やノクチルのためだけに作られた曲ではないはずなのですが、「輝きを皆に届けよう」の皆には、当然ノクチルも含まれていて、だから誰かのための歌に出来る。そんなイルミネの在り方が、やはりシャイニーカラーズの真ん中に位置するものとして嬉しく思います

2ndシーズンはゲーム版コミュの再現、やアレンジが多くなり、好きだった1stシーズンの空気感とはまた違ってきているような感触も確かに感じてはいたのですが、やはり最後まで見ればこのアニメはちゃんと1stシーズンありきの2ndシーズンとして成立してくれていたという思いがあり、心から感謝したい気持ちです。

コミュを再現するにあたっては、やはり尺の問題もあり中々大立ち回りのアレンジも見られました。また、ユニットごとに一人に着目したために、必然的に出番が減る子(灯織・めぐる・霧子・凛世・甜花など)も見られてしまいました。しかし、本放送が近い中、アニメの補完コミュとなるシャニソンのコミュがすぐに用意できるということで、これもありきでの考え方なのかな、とは思うところです。アニメ外での補完を厭う方も観測してますが、少なくともプレイ無料のゲームで、一切ゲームをプレイせずとも見れる、そこまで大ボリュームではないシナリオということで、自分としては敷居の非常に低い場所で補完してくれていると感じます。描けなかった部分は、まだ見ぬ3rdシーズンだけでなくそちらにも期待したいですね。

舞台挨拶でも語られましたが、1stシーズンの一章からなんと一年も経っていないそうで。年と共に歩んできたシャニアニとの一区切りに尚更感慨深い気持ちになりますが、最後にはやはりこの言葉で。

素晴らしい時間を、ありがとうございました。

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