THE (CoMETIK) EPISODE 感想

※こちらはふせったーに投稿したシャニマスのイベントストーリーの感想を、ふせったーが重いのでこちらに移したものです。内容としては一切変わりないものです。

THE COMETIK EPISODE 読了。
・そう思わせてしまうことを、少し逸れて
・そうあってしまうことを、受け入れて
・もう一度[信じなおす]物語
自分の考え通りには進まなくても、うれしいね 
などと4100字くらい?

コメティックの新イベント。感謝祭では「3人だからこそのコメティック」を意識しだしたはるき、「現状は誰かの力を借りて自分の好きを作っているのだ」と自覚した羽那、コメティックであり続けてくれる中、SHHisの影がちらつくルカ、といった塩梅でした。シナリオ上SHHisが絡んでくることはあっても、はるき、並びに羽那が「このコメティックというユニットの形であること」にこだわりを見せ始め、ルカもそれを受け入れつつあるという状況を見ていただけに、それほど心配...というのは傲慢かもしれませんが、大丈夫だ、とは信じていました。

そしてこの期待はこのイベントの最初で羽那が自分の好きにできる場である「鈴木の部屋」を持ったことで俄然高まっていたのですが。

イベントとしてはむしろ、この期待に一度待ったをかけ、もう一度進みなおすものであったと感じます。

以前自分はNoisy RushというルカのPカードを見たとき、少し愚痴をこぼしました。内容としては要するに「シャニPの精神性や行動に対して、ルカはただ拒絶してるのではなく、思うところはかなりある」ということを示しているコミュに対して、「それはジエピソードのころから信じているので、先を見せてくれないか?」と、ルカとシャニPの相性の良さを悪く言えば過信しておりましたので、このように思ったわけです。

しかし、このイベントを見てみると、そう思わせることこそあのカードの狙いの一つなのかなと思い直します。要するに「ルカは絆されている」「ルカにはジエピソードのような状況になってさえ、それでもステージに立とうとする熱がある」ならいつかどうにかなるだろ、という安心を得てしまうと。

今回のプロデューサーはルカをSHHisに絡めた発言により不機嫌にしていますが、Noisy RushをはじめとしたPSSRカード、クリスマスプレゼントコミュ・バレンタイン・ホワイトデーコミュといったプロデューサーとルカの二人の場面を見ていると、そこまで険悪ということもなく。「なんだかんだ上手くやっている」という描写だったかと思います。ルカ自身も壊れたスマホの画面を直そうとしてみたり、ガイコツのマイクをもう一度使いだしたり、だんだん前向きになる描写は増えていきましたので、「ああ、いい方に向かっているんだ、よかった」という気持ち。この少し気が抜けるような気持ちをプロデューサーとルカのやり取りを見て感じた自分ですので、ルカの機嫌を損ねてしまった発言を責めるに責められないと思う気持ちがあります。もちろん程度はありますが、意外と彼は「慣れた」状況になると油断しがちです。気を付けようと思って気を付けられることも、そうでないときもあります。

考えてみれば美琴からルカへの気持ちを聞く場面は(描写はカットされてますが)美琴WINGであったのに対し、ルカから美琴への想いをプロデューサーが聞く場面ってないんですよね。プロデューサーが「線たちの12月」でルカにきつい当たり方をされた時に想起した見えないものは社長室。ベテランから聞いたルカの真実は家族の話、八雲なみのトリビュートギグライブではルカの心情はどうあれ、練習風景では仲睦まじく、セヴンス後のように閉じこもってしまったのがどういった原因なのか、確かに伝わるタイミングあるかといえば確信をもっては言えないところです。マネージャーが伝える可能性もあるにはありますが、これからルカを託そうという相手に「美琴やにちかにはこうこうこういう複雑な感情持ってるので、会わせないでね」ということもまあないでしょう。ましてやルカを美琴と同じところに託そうという時に、「美琴と会うのは気まずいだろうけど283でよろしく」とはさすがに。もちろん複雑な関係であるという理解はプロデューサーにもあるかとは思いますが、あのセヴン#スのステージが原因だとしても美琴の雰囲気はそんな感じではないし(今回の言い訳にも使われてましたけど)、何よりルカが実際に283プロのアイドルとして過ごしてきてくれた時間が「そう悪いことにならない」という根拠になったのでしょう。no/odeも感謝祭も、最終的には前向きに来れているならなおさらに。

そんな中でこのイベントは、自分が、そして烏滸がましいかもですがプロデューサーも感じていたであろう283プロの、コメティックのルカの希望を知るからこそ、確かに「え?なのにここでやめてしまうの?」と思ってしまう場面がありました。

結論から言えば、それでも彼女に熱はあり、彼女は彼女の意思で戻るわけなんですが。
順風満帆、とまではいかないけれど方向性は変えないと思っていたところ、一度立ち止まったのは意外でした。しかし前述のようにルカに対して「そうなるのが当たり前、おそらくそのままいくだろう」と信じる気持ちが強かったのは事実。素直に反省したいところです。

そう思わせてしまうだけのものを、この一年積み重ねてはきましたがそれでも一度逸れることで、それがどんな積み重ねなのか。何がいいことなのか。そういったことを見直す機会になったと思います。

そして、そんな立ち止まったルカに対してはかつてを思い出すようにルカの自宅前でのやり取りが再び行われました。
そこで印象的だったのは、プロデューサーの言葉があの時とは対照的に具体的だったことですね。

かつてのプロデューサーは「奪うとか奪われるとかではなく、あなたが幸せになれるものをつかんでほしい」とルカに響く言葉ではありながら抽象的な表現をしていました。そしてその言葉は確かにルカに届いており、WINGなどで表向きに仲良くなることはなくとも、ルカの中に残る言葉や行動になったと考えています。
プロデューサーがかつてああした行動にでたのは、ルカ自身の荒れようもありつつ、マネージャーによりルカの熱を信じる根拠を得ていたからでした。「ルカを誰より見たもの」としてマネージャーの言葉を信じるからこその言葉や行動であると。しかしこの時点でのプロデューサーは、ルカの普段の活動、美琴・マネージャー視点での経歴、ベテランから聞いた家庭事情のことくらいしか知りません。彼が選ぶ言葉は、当然ルカと過ごす時間が増えれば増えるほど増えていくのでしょう。

そうした意味で、今回選ばれた具体的な言葉。ステージに立つということ。好きになること。傷つくこと。なるほどそれはプレイヤーには自明であって、いっそ陳腐にも見えて、安っぽい心の動きに見えるかもしれません。しかしルカの熱・実力といった面だけでなく、傷ついてしまうことも、何かをそれほど好きになってしまうことも含めて、「ルカと歩んだ人間から託された人間」というだけでなく、「確かにルカと共にこの時間を歩んできた人間」としてのプロデューサーの言葉であると感じ嬉しく思います。もちろん、時間はこれからも続いていきます。プロデューサーがルカのすべてを理解できたわけではなく、今回のように何気ない発言がルカを傷つけるかもしれません。しかし、プロデューサーの信じる「斑鳩ルカ」という存在は受け入れてくれたことも、受け入れなかったことも知りながら、だんだんと膨らんでいくのかもしれません。

ルカの熱といった「芯」といえる部分を信じてきた人間としては、芯意外の部分にも信じる気持ちを広げようとする姿はまぶしく感じます。

そして、そんな「信じたことを、もっと迫って、もう一度信じなおす」姿こそ、今回のルカを前に進めたのかもしれません。
かつて灯織を遠ざけてしまったとき、「遠ざけなければそのまま仲良くなれたのに」と思う方は少なくなかったでしょうが、そのような時のためにこそこのステップが必要なのだと感じます。

今のルカがまだ美琴やSHHisに複雑な感情があり、すぐに仲良くはなれないこと、羽那やはるきの普段の姿やその本気に惹かれていること、ルカの日常とステージを新しく見守りはじめ、ルカの幸せをつかんでほしいと告げた男の口から「それでもステージに立つことがルカの幸せだと思う」と言われるほど、ステージに立つという充足が見えること。

ともすればそれはキャラクターとして悪いことで、陳腐なことで、ちょろいだけに見えるのかもしれませんが、ルカという一人の人間を我々よりも見守っているあの世界の人が、時にルカに対して間違い、それでもそのたびにルカという形に近づいていく偶像を信じられる、そんなあり方にはうれしいものを感じます。

コメティックはその彗星のイメージから、三人に終わりを突き付け、「終わりたくない」と思わせるためのユニットかもしれない。考えたことがありますが、その終わりたくないという想いを真っ先に吐露するのがプロデューサーになるとは。もしそういうコンセプトが本当にあったとすれば、それはある意味プロデューサーの敗北宣言のようなものかもしれません。そういった意味で、今回の少し情けないともいえるプロデューサーが、それを踏まえた上でルカへの信頼を告げるのはうれしいです。人間関係のすべてにおいて完璧な人間や、あらゆる人を篭絡できるかのような人間だからこそ作れる物語にはしてほしくないというか、彼は彼なりにあがき、考え、間違い、好かれたり嫌われたりしながら生きる一人の命であってほしいので。

今回はルカ側からの受け入れに焦点が当たり、羽那とはるきはプロデューサーがいうように「そのまま」でありましたが、さて次はおそらくGRAD。何に焦点が当たるのか。実に実に楽しみです。

今回も大変良いコミュでした。

p.s アイドルに事件に巻き込まれたかも、に対してあの反応のプロデューサー、バイスパのような件もあったのに、と思いつつ今回は「ルカと歩んだ時間が見せるもの」の話であれば、「最近のルカはそういうのとは無縁だった」のかもしれませんね。などと。まあルカ自身もバイスパのように庇われる一件があれば同じことをするとも思いませんので、表面上のアタリが緩んだのはその辺もあるかもしれません。また失踪についても結局あたりを付けた場所に彼女はいて、連絡がつかないことも織り込みずみなところを見るに、ある意味そこもまた過ごした時間が作る一つの信頼関係だったのかもしれませんが。

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