それはとても青く。感想

※Xに投稿したふせったーの内容を転写したものです。内容は相違ありません。

それはとても青く。読了
・あの時それどころじゃなかったもんね
・相変わらず確信も満足もしてないプロデューサー
・誰かに付与されるものでなく、確かに二人が見出せるものを
などと、2300字くらい

今回のイベントコミュは、タイトルに「青く」と入っていることもあり、ある種彼女たちの未熟さのようなものに焦点が当たるのかなと思っていました。セヴン#スでは二人の間で、not enoughでは世間で形成されてきたSHHisの形が少しずつ変わってきたとはいえ、彼女たちは無敵の存在になったわけでも、これから何の障害にもぶつからずに済むようになったわけでもありません。故に、改めてSHHisの二人で挑む外の世界を見た時に、彼女たちの未熟さを表現するようなコミュになるのかと。

実際に見てみてもそういった側面はありつつ、結構昔のSHHisで話題に上がった問題点というか、懸念点が少しずつ和らげられているような物語でした。

例えば、「結局のところ練習時間の問題でにちかは美琴に追いつけない」という点について。これに関しては「そんなことを言っても事実だししょうがないだろ」という面はありつつも、じゃあにちかの実力は美琴よりずっと低いままだし、ステージの出来だって永遠により良いものにはならないよね、というのは余りにも冷たい。事実は事実としてある上で、やはり受け止め方には柔軟性が欲しいところでした。

それは感謝祭ごろに見られた美琴を絶対視するにちかにも思えたことでもあり、実力の差を事実以上に考えることもない過去の美琴にも思えたことです。

ここまで歩んできた二人だからこそ、その辺をはっきりさせておきたい、というところで、やはり過去ではこれまで殆ど見れていなかった、芸能界における「周り」の力が作用していることは、然るべき刺激を受けているなと感じます。
それはかつて「バラエティの待ち時間に準備することなどないので勉強する」としていた美琴に振りかかる「必要とされる今まで捨てていたもの」だったり、「たくさん練習してきたから美琴は誰よりすごい」としたにちかに見せられる「美琴以上に努力を重ねた少女」の存在だったり。満足に出来ないことはいっぱいあったり、上には当たり前に上がいたり。時に自分の考える以上のことが生じるこの世界で生きる以上、色んなものを見て、体験して生きていかなければならないのかもしれません。

今までのSHHisでは「そんなことはない」といえるような懸念点であっても、その証明がプロデューサーには難しいために応急処置的になってしまうことも、更なるアクシデントが押し流してしまうこともありましたから。二人はクリニックに通って受けた治療であったり、プロデューサーとの関わりを通じて一部の懸念点に向き合ってきましたが、今回は自分たちで自分たちと向き合うことが出来た、というのは大切なことにも感じますね。

今回のコミュではその分、プロデューサーの出番は少なめでしたし、二人の判断に微妙に不信感が見えてもいましたが、not enoughでの若女将の声などはプロデューサーには届いておらず、今回のダンス大会でのコメントのように、我々が見る以上に賛否の声を見ているだろう彼が、初めてといってもいい「二人が決めて、二人が競う」形の仕事には、それは不安も大きいというものでしょう。しかし今回のにちかが求めた振り付け師の手配であったり、彼が積み重ねてきた信頼の存在は確かに感じられていることには、とても嬉しく思います。

そして最後に。
このコミュの締めに出てくる格言は、余りにも有名で、シャニマスにおいてもあさひがそうであったように、続きの一節を使用したことがあります。

そしてそれを、いつの間にか「物語を持つ側」になっているSHHisにも繋げ、付与される物語についての語りにも繋げてくれました。

今回のダンス大会の結果は、少女>美琴>にちかと、悪い言い方をすればただ積み重ねた努力の差が決めただけとも言える展開でした。それも、美琴には「SHHisのダンスが上手い方」としてのドラマを持った上での敗北。wing前の彼女が見たらどう思うのか少々気になるところではありますが、当時の彼女が意識していたものに自らが成り果て、当時の自分が目指したものに負ける、という、ある意味皮肉な結末ではあります。

しかし、特に美琴は気負いせず、純粋に少女のパフォーマンスに感心していました。バラエテイでもウケを狙えず、パフォーマンスの領分で負けたという状態でもなお、彼女はそれ以外に大切なものを見出せていたのでしょう。

にちかに伝えられたネットニュースのことを意に返さず、二人でいる意味を見つめ直した美琴が言う言葉こそ例のフレーズ。しかし、そのフレーズはピッタリと彼女たちには合わないようです。されど、の先は本来ないもの、つまり「勝手に付与された物語」であります。「空の青さすら一人ではわからない」と、言葉通りにはいかず、勝手に付与された物語にすら追いつけない美琴はやはりここでも落ち込んだりはしません。

周りから付与された物語でもなく、格言通りにもいかない確かなもの。アイドルユニットでも、仲良しユニットでも、実力派ユニットでもない、ただ二人にとってのSHHisという、二人の二人による二人のためだけの物語が、確かに見出されていたように感じます。

キャッチボールを覚えようとする美琴、教えようとするにちか。実力派でステージだけに生きるSHHisには全く必要ない余分なもの。ステージの練習にもならず、怠け、無駄な寄り道、不要な仲良し、そんな言葉さえ心なくかけることができるかもしれません。

ですがそんなものでさえ、「二人が判断した、二人にとって必要かもしれないもの」と扱ってくれることの、なんと嬉しいことか。二人がいっぱいに生きてくれていることが、何より嬉しい瞬間でした。

今回も大変素晴らしいコミュでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?