鈴木羽那と郁田はるきのwing感想、またここから考えるコメティック結成の理由について

 アイドルプロデュースゲーム、アイドルマスターシャイニーカラーズ(シャニマス)にて、12/11に新しくプロデュース可能となった二人のアイドル、「鈴木羽那」と「郁田はるき」。
 事前に実装されている「斑鳩ルカ」とコメティックというユニットを組む存在として登場した彼女達は、ゲーム内部に実装する前からもう一つのシャニマスのゲームであるソングフォープリズム(シャニソン)や、コメティックとしてのコラボ・広告の企画などで度々情報が出されており、満を持して元祖シャニマスへの実装となりました。

 さて、そこで本noteは二人の最初のシナリオであるwingについての感想をまとめると共に、彼女達が所属することになるユニット、コメティックとはどんなものなのか、今のうちの個人的な考え方をまとめたものになります。普段はふせったーであーだこーだと言っているのですが、今回はそちらで二人の感想をそれぞれ分けたこともあり、まとめて整理する場としてこちらのnoteを用いさせていただきます。まあ、まとめと言えるほどまとまった意見とはなっていない気もしますが、次のコメティックコミュまでの暇つぶしにでもなれば幸いです。

また、二人のwingについては勿論、過去の他アイドルのコミュ内容にも触れますので、ネタバレにはどうかご注意を。


WING 鈴木羽那

 羽那のwing、それは言葉を選ばずいえば「一番ドラマがないwing」だったかもしれません。 このドラマとは、場面の動きとかではなくアイドルの心の動きに重きを置いたものです。
 ネットで見かけた動画から、わざわざ岡山まで直接来訪するという、作中でも「強引なスカウト」と揶揄されていた行動がプロデューサーと羽那の動きのピークであり、以降のシナリオでは「そこまでプロデューサーを突き動かしたものはなんなのか」「普通に勝てる、負けるイメージが湧かない、そんな"天性のアイドル"とは何なのか」に焦点が当たっていきます。

 プロデューサーがいなくても話題になれる子が、なってみたらアイドルに向いてたので大体のことは何とかできて。苦手なことは普通にあっても、この先頑張ってれば出来てないこともそのうち出来るだろうと言われて。誰かに愛されるように自然に振る舞えるので普通に誰かに愛されて。レッスンなど普通に努力もしてるので、スキルも着実につき、そのまま優勝する。当然プロデューサーも仕事として協力はしてるし、会話もしてるので、過ごしてる中である程度の信頼関係は普通に築かれる。


 アイドルの成長物語としては非の打ち所がありませんね。 非常に"順調"です。

 彼女が天性のアイドルと評されたように、まさしく最初から天性のアイドルだった羽那がそのまま羽ばたいていく一部始終を見せられた感じです。
 ファンに会ってはファンへ近い距離感となることで、プロデューサーにとってはプロデューサーの言葉の殆どをすぐさま素直に反映してくれることで、誰かにとって魅力的な存在たりうる鈴木羽那が見せられる。
 …彼女がプロデューサーに言った「なんでもしてくれる人」というのは、どちらかといえば彼女自身に当てはまる気がします。今回のコミュはアイドルとしては非常に順調な姿が見えるシナリオでした…何か突っかかるものを残すプロデューサーの姿を除いて。

 シャニマスにおいて、ないしはシャニマスにおけるプロデューサーというキャラクターは、アイドルの技量や魅力は勿論のこと、「なぜアイドルをやりたいのか」「アイドルをすることで何を得るのか/失うのか」についても考えてきました。この中で、今回のコミュになかった要素が「羽那が他の何でもないアイドルをやる理由」の部分になります。

 今までのシャニマスにおいても「直接的にアイドルがやりたいからアイドルをやっている」アイドルだけがいた訳ではありません。初期ではプロデューサー目当てが大きかった摩美々、妹の頼みを聞く形の甜花がおり、追加組では「きっかけはアイドルでなくともよかった」と表現されるノクチルが加入しています。しかし、そうした彼女達は「アイドルをやる真剣な理由がない」ことに悩んだり、「真剣に一つのことに頑張ってみたい」といった願望ができたり、「アイドルを通して得た沢山のもの」についても触れてきています。

 しかし、まだ最初のコミュであることを加味しても、羽那に関してはその辺りが曖昧となっています。彼女は非常に素直で、スカウトには前向き、レッスンでも仕事でも周りの言葉に口答えせずスルスルと受け入れています。ファンにも人気が出てスタッフなの周りの人間からも高評価、そしてプロデューサーもそんな羽那の姿を見て「落ちるイメージがない」とまで言ってしまいます。

 羽那が実際にどう振る舞ったのか、それに対し周りはどう思ったのか。これに関してはよく描写されたものの、何を思って羽那がこうしたのか、何故周りにこう思わせたのかに関しては意図的と思えるほど省いた描写になっており、結果として「何を思ってアイドルをしているのか」「アイドルの具体的にどの辺を楽しみ、又は嫌がっているのか」これがプレイヤーにもプロデューサーにもはっきりと伝わってないように感じます。そのため、アイドルのやりたいことを尊重するのが基本姿勢であるプロデューサーは「本当にこれでいいのか」と悩み、スカウトした理由についても「才能があるからスカウトしたのか?美しいと感じたからスカウトしたのか?」と明確に断言はしない上に「仮に美しいからスカウトしたとしたら、彼女はこの世界で美しいままいられるのか?」とまで言います。

 ここで思い出すのがノクチルです。シャニPのこういった考えはノクチルに対しての「いっぱい生きてほしい」という願いや、やキャッチコピーの「さよなら透明だった僕たち」に代表されるような、ある種の濁りの中へ彼女達を導く姿勢に通づるものがあります。
 ノクチルのコミュでは、この点でシャニPに悩みはありながら、最終的には彼女達が秘めていた、又はアイドルを続ける中で得た「濁り」への望みもあった上で、「透明じゃない場所へ」向かっていく彼女達をできるだけ安全かつ思いのままに動けるように、というスタンスに落ち着いたプロデューサーですが、そんな彼の前に「本心がわからないので、濁らせることが正しいのかがわからない」存在が現れたのが、今回のコミュなのではないでしょうか。

 またプロデューサーは、恋鐘や甜花のコミュなどでは、自分のアドバイスが遠因となった問題に対して、は謝罪や敢えて突き放すことで軌道修正を図ったり、自分の知らない魅力的なアイドルの一面がある、と示された時は気付くべきだったと凹んだりしています。

 また、強引なスカウトという意味では、円香を相手にしている際のプロデューサーは、きっかけがきっかけだったこともあり、悩みながらいっそ逆に失礼なくらいの気遣いを見せることもありました。羽那のコミュではこうした今までプロデューサーを悩ませてきた「プロデューサーが悩みやすい要因」が凝縮されて襲ってきている感じがしています。

 しかし、希望が全くないか、というとそうではなく、決して劇的な変化といえないwing優勝そのものの後、「アイドルとしての仕事がどんどん増えていく」「かつての自分の言葉に背き、本当に夜にプロデューサーを呼んだ羽那」という形で、羽那を取り巻く環境と、羽那の内心の変化を感じさせるような場面が最後に用意されています。

 シャニソンで公開されている羽那の話を含めどうにも羽那は「〇〇したいな」「〇〇してもいいのに」と言った言動が目立つものの実際には行動していないような描写が見られます。ようやくwing優勝で見せたような主体的な我儘は、もしかしたら今後、仕事に押される中で発揮できなくなるのかもしれません。「生きている以上必ず起き得る問題に対して、どう折り合いをつけていくのか」という、シャニマスにおいては頻出するテーマを持って、彼女なりの考え方がわかる機会が来るのかも知れません。仕事の話を見ると、案外、すぐにでも。




WING 郁田はるき

 はるきのwingの印象としては「滅茶苦茶プロデューサーと相性が良い子」というのが一番でした。

 自分から声をかけにいく思い切りの良さしかり、アイドルをやる理由が明確でないからこそ探そうとする姿勢しかり、努力は怠らず色んな物を見て学んでいきたい意気込む在り方といい、本当にプロデューサーが好む方向性を体現してくれるようなアイドルでした。こうした方向性には真乃や樹里があたると思ってますが、ちゃんとその二人とも違う新しい色であったようにも思います。

 色んなことを考えてるからこそ、集中力が切れてしまったり、かといえば直情的に動いたり、慎重なのに躍動的、ふわふわしてるのにこだわり屋、そんな風に感じる場面が多かったです。

 また、「初めにどうしてアイドルになろうと思ったか」「今、アイドルをどんな思いで続けているか」「この先アイドルとしてどうなりたいか」をはっきりとプロデューサーと共有するような場面もあり、熱を確信しながらも手をこまねいているルカ、言語化が出来ず今一歩踏み込めない羽那と違って、プロデューサーもドンドン意見を言っていくシーンが印象的でした。

 初期のアイドル達ですら、アクシデントなどを挟まず円滑にプロデューサーと意思共有がしっかりすることは中々ないように感じるので、この先の二人にも期待が持てますね。

 彼女は羽那同様に、スカウトからしばらくは当初はソロアイドルとして活動していたことがシャニソンで示されていますが、そこにも納得のいくところがあります。単純に多くの色を目にしていくであろう彼女に始めからピッタリの色を与える、ということはプロデューサーの中でしっくりこなかったのかもしれません。まるでプロデューサーが可能性を奪ってしまったような語り口だった羽那のwingに比べ、寧ろ色んな色や世界を見せるものとしてのアイドルにクローズアップしたような印象を受けます。

 多くの可能性を秘めていて、また多くを求めているはるき。しかし、そんな彼女がどうしてコメティックの一員になることになったのか。ここを少し、考えてみたいと思います。


コメティック結成の理由について

 まず第一に。コメティックについて、現状わかっていることはとても少ないです。ここからの記載は(あるいはここまでの記載も)強引な繋ぎ合わせや、無理筋な理論、願望ありきの結論が多くなると思われます。ご了承くださいませ。

 さて。では本題へ。

 ルカ、羽那、はるきの3人は当初からコメティックに入れる目的でスカウトした訳ではないことがシャニソンのコメティックコミュでは示唆されており、ならば三人それぞれに後天的にコメティックとして組ませようとする理由があったはずです。

 そして、シャニソンの方のコミュではコメティックと対比するように、いずれ消えて二度と見れなくなる彗星を例に出し、"終わりの輝き"話が出ていました。

 ……セヴン#スでは、プロデューサーはルカを評して「終わっていないもの」と表現しましたね。 終わっていない。だからこそ企画書を出したとすれば。

 そして今回、推しアイドルが引退したスタッフの話から「美しさの為に終わるもの」の話が出てきました。そして、羽那の美しさがプロデューサーを惹きつけたならば、終わりのときにその美しさがどうなるのか、とも描写されました。

 コメティックって、ルカ・羽那・はるきを終わらせる、終わりを突き付ける為のユニットなんですかね。

 もし、現状ルカや羽那に、決して届いていない訳ではないものの、決定的な一打にはまだ欠ける印象のあるプロデューサーです。そんなプロデューサーが「プロデュースの失敗」……というのは言い過ぎとして、「アイドルの終わりまで」を考えるきっかけがありそうなのは事実。

 コメティックは「終わり」を考慮することで、終わればその「美しさ」を最期に残す場所として、終わらなければ「このまま変わらない、あるいは単調な変化をしていくこのままでいい、ただアイドルとしては順調」という今のルカや羽那に「終わり」を突き付け続ける刺激のある場所として、プロデューサーが用意したものなのかもしれないな、と感じました。


 まあ、「終わらせる場所」というのは社長に啖呵を切りながら「八雲なみ伝説」と同じ道を辿るようなものではあるので、そうではないものを目指すという意味では「終わりを考えて欲しい」、という後者の方が近い気がしますね。


 雛菜などで見られたように、アイドルが"できる"人だと自分の必要性を疑問視してしまうことのあるプロデューサーが、現状では最も「特別役に立てる訳ではない」アイドルであるかもしれない羽那ですが、彼女に「いっぱい生きてもらう」為に必要なのは、仕事による変化、プロデューサーやアイドルと絡んでいく中での変化に加えて、シャニマスでは避けられないとされながらも今まで直接突き立てられはしなかった、「終わりを伴う不可逆の変化」なのかもしれませんね。

と、ここまでが羽那のwingを見たところまでの印象でした。さて、でははるきのwingをさらに交えて行きましょう。

 先程もあったように、そもそも彼女たちはコメティックに入ることは運命づけられています。 そして、シャニソンを見る限り「羽那とはるきでデュオにすることは考えてなかった」とはっきりと言っているのがプロデューサー。 しかしここにルカが加わるなら…とコメティックが3人ユニットとして結成されました。

 シャニマスにおいて、3人ユニットはイルミネ、アルスト、ストレイと3ユニットの前例がありますが、このどの例であっても「2人の為に欠かせないもう1人であると同時に、そのもう1人にとっても欠かせない2人である」ことを示してくれてるように感じています。


 つまるところ、はるきにとっては「ルカと羽那が必要」であって、またルカにとって、羽那にとっても他の二人が絶対に必要であると。

 羽那のwingの段階で、コメティックは「終わらせる」ためのユニット、もしくは「終わりに向き合うことで生きる意味を考える」ユニットだと書きましたが、はるきが来るとやはり後者に寄りますね。


 はるきはかつてシャニPが目指そうとしていた「いっぱい生きること」を目指すことができていて、その方向性に確かに進んでいけるアイドルのように感じます。そして、アイドルをやる熱への興味があるようです。

 そんなはるきにとって、「言語化はできないがアイドルとしての魅力がある」という「未知」である羽那と、既にアイドルとして生きることで様々な景色を見てきた上、確固たるアイドルへの熱を持つルカというのは、この上ないパートナーに感じます。


 仮にはるきと羽那だけを組ませた場合、「沢山考えるが、色んなことを考える為にこれという答えにはすぐ辿りつかない」はるきと、「考えや言葉がシンプルに見えるものの、"天性のアイドル"のイメージが強く、表象的なものに留まらない具体的な印象を本人からも周りからも言語化しにくい」羽那では、「お互いに尖ることはない。互いのこともよくわからない」で終わってしまう可能性があります。

 そこで2人に必要とされたのが、283で最もアイドル歴が長く、アイドルとして生きてきた経験と、アーティストでもパフォーマーでもなく"アイドル"をやる固い意思を持ってきた「斑鳩ルカ」というアイドルだったのではないでしょうか。


 「自分とは違う形の"天性のアイドル"である斑鳩ルカ」「主体的でない自分に対し、世界を相手にある種の貪欲さを見せてくるはるき」を見つける羽那、
「世界にある沢山の色の一つであり、無限の色を秘める"黒のアイドル"である斑鳩ルカ」「真っ白でありながら、言語化が難しい未知の美しさを持つ羽那」を見つけるはるき

 自分と全く違う方向性に進もうとしているくせに、「アイドル:斑鳩ルカから何かを吸収しようとする二人」が付いてくること。これはルカにとっても、今までの斑鳩ルカのアイドルとしての生き様の肯定と、彼女が生きるこれからの為の刺激になるような気がします。

 そして、彼女達がただルカに付いてくるだけでなく、ルカを隣においてセンターを張れる、高いアイドル性を個人個人が最初から見せつけてくるユニットであることも、ルカから何かを学ぶだけの二人ではなく、ルカにも何かを学ばせられる、違った生き様を持った3人であるように感じます。

 二人ユニットで「違うものを持つ相方」としてただ見せるのではなく、3人にし、センターすら変えて見せることでお互いに2つ以上の「選択肢」ないしは「可能性」を提示すること、全く違う可能性を持った3人の"天性のアイドル"をステージの上でぶつけ合うことで、ルカ、羽那、はるきの3人に熱を持たせること。

 そんなものが結成の理由であるならば、プロデューサーから与えられた、終わりを匂わすようなコメティックという名前すら、彼女達に乗り越えてほしい「外からの勝手なイメージ」の一つなのかもしれません。
 ここまで願望に近い部分もありましたが、はるきを見てるとコメティックに希望を眩しいほどに感じます。 コメティックのメンバーが出演した最初のイベントでもあったバイ・スパイラルやロード・トゥ・ハッピーホリデーでは、そんな彼女達を見守り、支える準備はバッチリの283プロのメンバーが描かれています。コメティック結成前を描いている今では迷いが多いように見えるプロデューサーも、シャニソンでいざコメティックを組むとした時には決意を感じさせてくれます。迷い悩んで進むことこそどうにも283らしさに感じさせてくれる彼らのこれからにも大いに期待しています。

 さてさて、続くコメティックのイベントコミュ、なんとも楽しみじゃありませんか。




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