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0336 - グランピングふくろいで感じたこと(後半)

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前回のつづき。

先に述べた通り大好評だった『グランピングふくろい』だが、個人的な感覚として予想外だったことが起こった。

とても幻想的に変貌した公園。参加してくれた方はもちろん、学校帰りらしき中高生が自転車を停めてザワザワしていたり、たまたま通りかかったご近所さんが「こりゃ何だねービックリだねー?」と驚いてくれていたりで、そういう反応を観る度に嬉しい気持ちがドドっと込み上げてきた。

数字だけで表せば、けして多くない人たちしか体験できなかったとはいえ、参加者には、たった数時間だけ現れた非日常的な空間に存分に浸ってもらえれば本望。開催終了時間になったら、ふわっとした心地よい気持ちを抱えたまま、せめて家路に着くまでは夢のような気分でいて欲しいと心底思っていた。

が、しかし。

21時の終了後、運営メンバーが片付けを始めたところ、なんと参加者の半数近くがそのまま会場に残って手を貸してくれたのだ。これが、個人的にすごく予想外だったことである。

本音を言えば、せっかく作り上げた空間の「素の部分」を見て欲しくなかった。だって「現実に引き戻される」行為だから。

しかし、率先して動いてくれている大勢の参加者は皆とても楽しそう。運営メンバーに「すごく良かったよー」「ありがとねー」などと感想を伝えつつ笑顔で協力してくれている。むしろ手伝わせてよーといった面持ちだ。本当にありがたい限りである。

この様子を目にしながら感じたことは、きっと「参加者」ではなく「当事者」になりたいんだなと。

当日の様子は多くの方がSNSやInstagramでシェアしてくれていたのだが、そこには、次回は参加したいですー以上に、「私も運営に加わりたい」「お手伝いさせてください」「仲間に入れてください」といった声が相次いだ。

ここ数年でかなり浸透してきたクラウドファンディングの仕組みは「購入する」を「応援する」に変化させてくれたが、それに近い感覚なのかもしれない。

運営メンバーの1人、Honey!ハニー!!オーナーの功三君は、今回のイベントについてSNSにて「超資本主義が、資本主義+価値主義に変わった」と語っていた。評価の対象が、売上などの「数値」だけではなく、そこに体験などの「目に見えない価値」も加わった。運営(経営者)視点だと本当にその通りだと思う。

参加者(ユーザー)視点でも同様の変化が起こっている。お金を払って感じる価値は、これまでは「与えられたもの」で判断していたが、それが「与えられたもの+自分が与えられること」で判断されるようになってきた。

そういえば、ベストセラー本「嫌われる勇気」などで語られるアドラー心理学でも「他者信頼」と「他者貢献」が幸福の定義として重要なポイントだったはずだ。

まさに「他者信頼」と「他者貢献」の要素が、今回の『グランピングふくろい』には溢れていた。これらの要素が求められる動きは今後ますます強まっていくのだろう。

なんだか、つくづく幸せだなと、振り返ってみて思う。

イベントで賑わった公園は、あの日以降、今までと変わらず夜は真っ暗で人の気配は無い。車で横を通る度に、あの、たった数時間だけ存在した幻想的な空間を思い出して、少しだけ寂しい気持ちと、たくさんの幸せな感情が湧いてくる。

グランピングふくろい


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