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#3 日本の分譲マンションを学ぶ

こんにちは、不動産コンサルタントのShimadaです。


今日の話題は日本初の分譲マンションについて触れていきます。
セミナーでもお話ししている内容ですが面白い内容なので記事にさせて頂きます。



そもそも分譲マンションとは?

分譲マンション、この言葉よく電車の広告等で見かけますよね。
土地や建物を割して渡することを分譲と言います。

分譲マンションの対となるのは賃貸マンションです。

分譲も賃貸も見た目は全く同じマンション、違いは建物に対してのオーナーの数となります。

分譲マンションは部屋ごとにオーナーが存在しているマンションのことを言い、賃貸マンションは土地と建物をひとりのオーナーが所有しているマンションのことをいいます。


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図で見て頂くとこんな感じですね。
※分譲マンションの場合、土地は所有している部屋の持ち分割合で所有されます。

極端な話、マンション1棟に対して2人のオーナーが存在すればそれは分譲マンションとなります。


さあそれでは日本初の分譲マンションはどんなものでしょうか。



日本初の分譲マンション「宮益坂ビルディング」

日本で初めて分譲マンションが登場したのはなんと渋谷・宮益坂。
当時は今のように民間のデベロッパーが存在していなかったので、東京都が販売していたようです。

今から67年前にあたる1953年に分譲。
全ての住戸が34.01㎡で和室二間の2DK、全70戸の11階建て。

宮益坂ビルディング

こちら分譲当時の写真。
右側の一際高い建物が宮益坂ビルディングです。
現代の同じ宮益坂とは思えないですよね…。



ジャパニーズマンションのルーツとなる共用設備

共用部に設置されたエレベーターはなんと2機。
当然集合住宅にエレベーターが付くのは史上初のことになるのですが、その日本初の集合住宅で2機設置していることにこのマンションの贅沢具合が伺えます。

そのエレベーターにはエレベーターガールが常駐していたとか。
現代は高級タワーマンションにコンシェルジュが常駐していることがあってもエレベーターガールがマンションにいるとは聞いたことないですよね。
これもまた驚きです。

当時のマンションに対するサービスの発想力や開発力は本当に脱帽します。
世の中の情勢や環境が変わろうともただ住むだけの場所を作るのではなく、建物のハード面だけではなくソフト面の付加価値を追い求める姿勢は現代にも受け継がれていますし、その後の日本でマンションが大きく発展していったきっかけになっているでしょう。

まさに日本のマンションのルーツですね。


その他の共用部の設備はエレベーターの横に設置されたメールシュート。
ここに郵便物を入れれば1階まで落ち、郵便局員さんが回収してくれる、という仕組みですね。
非常に便利。


気になる分譲価格は…

当時いくらで販売されたかというと

なんと1,022,000円!

めちゃくちゃ安いですよね。
しかしその「安い」という感覚は現代だから。

分譲当時の1953年の大卒初任給は7,650円というデータが残っています。
平均年収は200,000円程。
現代の平均年収が約4,400,000円ですので、比較すると22分の1になります。

単純に当時の分譲価格を現代の平均年収の物価に換算すると、
22,484,000円となります。

これでぐっと費用感が分かってきました。

しかし、当時は住宅ローンは存在しない時代。
契約時3割・引渡時7割といった形で現金を出せる人しか買えなかったのです。

ですので今でいう「億ション」のような感覚ですね。
ローンも組めないので庶民にはとても手が出ない代物だったのです。

当時の広告フレーズは「天国の百万円アパート」
まさに当時の贅沢具合を象徴するフレーズです。


今はどうなっているのか

この宮益坂ビルディング、実は現在建替え工事中です。
ATLAS(アトラス)というマンションシリーズを開発している旭化成不動産レジデンスが建替開発工事を手掛けております。

建替前のマンションがこちら

図1


そして建替後のイメージパースはこちら

図2


一気に現代感出ました。

戸数は倍以上の152戸。
1階部分には店舗、ガラス張りの部分がオフィスになる計画とのこと。

5月に竣工予定でしたが、コロナの影響で工期が遅れている模様。
7月頃に竣工する予定です。


実際に現地を見てきましたので写真をご覧ください。


宮益坂下から




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マンション近辺から。

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もう住戸部分は完成しているようですね。
1階店舗やオフィス部分は入るお店や会社決まっているのでしょうか。



建替工事後の資産価値は?

ここで気になるのが当時わずか100万円程だった物件が現在の価値にするとどのくらいに跳ね上がっているのか。
皆さんも気になりますよね。

実は販売ページがなく、分譲価格が発表されていません。

ということでこの土地の相場から分譲価格を予想してみましょう。

立地は一番近い渋谷駅の地下鉄入口まで徒歩1分という超超超好立地
東京都内でもここまでの好立地はほとんどないかと思います。いや、ないです。

宮益坂にあるマンションの売買情報を見てみます。
宮益坂上側に大和ハウスブランドの「プレミスト渋谷宮益坂」がSUUMOで売買情報でていました。


キャプチャ


渋谷駅徒歩4分、築6年の39.35㎡で7,780万円…。
凄まじいです。
都内でも土地付き戸建てが建てれます。

これを1㎡あたりの単価で算出すると197.7万円。
不動産は「坪単価」で相場を見るので1坪(約3.3㎡)あたりの単価で算出すると652.4万円。

建替後の宮益坂ビルディングはもちろん新築で立地は「プレミスト渋谷宮益坂」を上回っています。
最低でも坪単価は652.4万円を越えてくるものと想像されます。

計算しやすいように66㎡(20坪)の部屋があるとして、この坪単価を当てはめると
652.4万円×20坪で1億3,048万円!

時を超えて現代でも「億ション」並みの価値は変わらず、ということですね。



現物資産の強みとは

このような建替開発事業は元々の所有者の持ち分に応じて1室~数室の所有権がもらえます。
もちろんデベロッパーに買い取ってもらう、という選択肢もあります。

分譲当時の所有権を代々相続してきたとなると、当時の所有者のお孫さんくらいの方が多いかもしれませんね。
当時購入したおじいちゃん、おばあちゃんに感謝ですね…。

現金や株は「金融資産」と呼ばれ、インフラなどで物価水準が上がった場合価値が下がるものになります。
このマンションで言うと、当時100万円の価値であったものが今ではとても足りないように、物価の上昇に対して現金の価値が下がっている形になります。

不動産は「現物資産」と呼ばれ、物価水準が上がった場合、その価値や価格も合わせて変動していきます。


今の日本はアベノミスクによる経済政策でインフレターゲットによる2%のインフレ目標を掲げています。
インフレとは需要が供給を上回ることで物価水準を持続的に上昇させることであり、皆さんも普段の消費生活の中でインフレを実感していることでしょう。

インフレターゲットの中、特に東京の不動産に言えることですが資産価値が上がることはあっても急激な下落はないですよね。
極端ですが、突然このマンションの価値が10分の1になるなんて長い目で見ても想像できません。


これが現物資産を運用していく強みであり、不動産投資が固い投資であると言われる所以なんです。


皆さんもぜひ渋谷にお立ち寄りの際は、この生まれ変わった日本初の分譲マンションを実際にご覧になってみてください。



ではまた次回もよろしくお願いします😋




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