<定期購読マガジン特典映像> 【対談編-第9回】鈴木利男さんとの裏話対談…「日産R35GT-Rの開発-Ⅳ」ドイツ ニュルブルクリンクサーキットでのタイム計測の意味とその危険さ
私が開発チームに言い続けた事は、
・マルチ・パフォーマンス・スーパーカー = ”誰でも・どこでも・いつでも”
スーパーカーライフが愉しめる、世界唯一の商品。
・「いつまでもその価値を持ち続け、残存価値がポルシェより高額で10年
経っても色あせない」恒久車としての商品。
そして…開発目標は「アウトバーン300Km/h走行でも隣の人と会話が楽しめる」「世界一過酷なニュルブルクリンクサーキットで(※)量産市販車世界最速の走行性能をR35GT-Rユーザー全ての車両に与え、長期間愛用され続ける」ことでした。 (※月産100台以上)
それを実現する為に、毎年2回 春と秋に行った3週間に渡るドイツでの開発テストの最終ステージでは、ニュルブルクリンクサーキットの連続走行テストで市場換算50万km走行に相当する"負荷"を入れ続けた。そして、市場で考えられる "最も劣化した状態"の車両を使って「アウトバーン300km/h走行の安定性確認」と「ニュルブルクリンクの最速ラップタイム計測」を行った。
その結果を「R35GT-R・各イヤーモデルの性能向上の進化を示すパラメーター」として世界に公表した。
しかしそれは…世界のスーパーカー・メーカーが超高性能仕様車を設定して”最良のコンディション”でタイム計測し、その結果を公表するのとは真逆の行為であった。
「メーカーの威信」を取るか「全てのお客様に向けた性能保証」を取るか…?
私は躊躇なく”全てのお客様に向けた恒久の価値”の開発と公表を優先した。
日本の一部のジャーナリストからは「水野はニュルのタイムアタックで遊んでいる」的な事をメディアを通して言われ続けたが・・・
メーカー威信の為の「タイムアタック」ではなく、お客様に性能保証を伝える為の「タイム計測」という言葉の意図をチーム全員に共有させた。
[注:私が去った2014年以降は、他社同様の"高性能バージョン設定(NISMO仕様)による最速ラップタイム計測と公表"に変更となった。]
タイム計測はインダストリープール(メーカー合同テスト)終了後の夕方に行なった。森の中に作られた20.8kmの長さのサーキットは、比較的容易に人や動物が入れてしまう。静まり返った夕闇が迫るサーキットを全開で走るタイム計測は、侵入者や動物との衝突など危険この上ないものだった・・・。
レーシングドライバーとして世界で結果を残し、開発ドライバーとしてR35GT-Rの超高性能を育て、現在は株式会社ノルドリンクの代表取締役として活動している、多くのスーパーカーファンが憧れる鈴木利男さんとの裏話対談シリーズです。
鈴木利男さんとの話は真実と同時に内容も豊富な為、編集なしのノーカット版でお届けしたいと思います。
今後も下記の様な内容の配信を予定しています。ご期待ください。
・発表発売後も何故開発を続けたか…そしてNur24hrレースへの参戦
・ドイツ人の運転とクルマ、そして海外イベントでのエピソードや反響
・台湾自動車開発メーカーHAITECとの開発とその文化の違いに戸惑う日々
・鈴木利男と水野和敏のこれからのクルマに言いたい放題(含むEV化)
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水野和敏と”愉しいクルマライフ”や”未来への思考”を創ろうⅡ
たった2年半の短い時間と通常の半分以下の”人、モノ、金”で、ポルシェを凌ぐ世界ブランド日産GT-Rを創り上げ、’90年代には” Gr-Cメ…
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