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【練塾ダイジェスト】古典の読み方?

『素問』『霊枢』『難経』『傷寒論』『神農本草経』などの古典を読んでいると、昔の難しい漢字に出くわすことがよくあります。
こんなとき、辞典を使って調べる人が多いと思います。面倒な手間を惜しまない、勉強する上でとてもよい姿勢だと思います。

しかし、矛盾しているようですが、厳密な漢字の意味を必ずしも分からなくてもいいと思います。

例えば、経絡治療では、さんずいのある「瀉」と、さんずいのない「寫」を、別のものとして使い分けています。気を漏らす手技を「瀉」とし、輸瀉など気を移す手技を「寫」と解釈しています。
しかし、古典の書物では、この使い分けにあまりこだわっていないそうです。
著者、書物によって、もしくは気分次第で、寫で書いていたり、瀉で書いていたりする。その使い分けは、まちまちだそうです。

この使い分けを古典から読み取ることこそ、私たちの役割だと思います。
この読み取る力は、一般的な言い方をすれば教養とよぶこともできると思います。
どんな分野の勉強でも、最も必要な力でしょう。

では、この古典を読み取る力はどうすれば身につけることができるでしょうか。
それは、古典に触れ続けることだと思います。
難経などの写経を「時間の無駄」と言う人もいますが、ぼくはそうは思いません。
意味のよく分からない古典を書き写したり、読んだりして学んでいるうちに、古典医学の世界観を自分の中に育てることができます。
そうやって、自分の中に育まれた古典医学の世界観が、古典を読み進める手助けになるはずです。
例えば、厳密な意味を知らない漢字でも、なんとなく意味が分かるようになるというわけです。
そして、自分の中に古典医学の世界観があれば、普段の臨床で患者さんと相対したときも、自分で考えて、答えを導き出すことができるはずです。
そういうことも意識しながら、古典を勉強していきましょう。


話者:大上勝行
編集:大上真悟

(2023/07/06 zoom配信より)

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