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【インタビュー前編】地域の福祉を通じてすべての人が笑顔になる社会へ

介護事業の運営コンサルティングや地域の人材育成を行うかたわら、介護業界の待遇改善のために政治団体を立ち上げるなど、地域福祉のために幅広い活動に取り組む三浦さん。
「皆が笑顔になる社会を作りたい」と語る三浦さんに、日頃の活動や今後についてお話を伺いました。

三浦 浩史(みうら こうじ)氏
株式会社シャカリハ​​ 代表取締役/大阪市介護支援専門員連盟 会長/NPO法人西成後見の会 理事 など
「社会的リハビリテーションの推進」を目指して株式会社シャカリハを設立し、介護事業の運営コンサルティングや地域の人材育成などを行う。NPO法人西成後見の会や大阪市介護支援専門員連盟の立ち上げに関わり、大阪介護支援専門員協会西成支部代表などを務めるなど、地域福祉のための活動は多岐にわたる。

困っている人のために社会を変えたい

— 三浦さんのお仕事を教えてください。

三浦さん:大きく分けて3つの事業を行っています。1つ目は介護事業の運営コンサルティングです。介護事業所の中でも、特に在宅サービスの運営に関する相談を受けています。2つ目は地域の人材育成です。講義やセミナーを開催して、専門職の人材育成をしています。3つ目がケアプランセンターを運営し、直接ケアマネジャーを雇って実施するという事業です。

 —シャカリハという会社の事業ですね。

三浦さん:はい、そうです。私は会社を作った時から「社会的リハビリテーションの推進」を会社の理念としています。地域には、心や体の問題で暮らしに不便を感じて困ってる方々がたくさんいます。以前は、心や体の問題を医療で治し、治せなければ生涯マイナスを背負って生きていくしかありませんでした。しかし社会が変われば、マイナスとして暮らすことはありません。また、心や体の不便を助ける仕組みが社会にできればプラスの暮らしに切り替わります。それを実現するのが「社会的リハビリテーション」です。

 残念なことに、日本では社会的リハビリテーションが進んでいません。私は介護分野から社会を変えたい、その変革に取り組みたいという思いから会社を設立し「シャカリハ」と名付けました。

「成年後見」の問題は、誰しも身近なこと

 — シャカリハでの事業以外に、どのような活動に取り組んでいらっしゃいますか。​​

三浦さん:いろいろあります。例えば、本業のケアマネジャー業務と役割が違うものとしては、NPO法人西成後見の会の活動があります。西成後見の会は、成年後見制度を推進する団体です。20年ほど前に、大学の先生や行政のOBの方々と一緒に立ち上げました。

 大阪市西成区の「あいりん地区」は、一人暮らしの低所得な方が多いことで知られています。現在、西成区の人口は11万人ほど。そのうち、あいりん地区には2万人ほどが暮らしています。2万人のうち約97%が一人暮らしで、その95%は男性です。皆さん事情はさまざまですが、素性を明かせない方やLGBTの方も多く住んでいます。あいりん地区では誰からも素性を聞かれないので、それが住みやすいと思う人が自然に集まってきています。

 ただ、そういう方々は家族と疎遠なことが多いのです。もし病気をして入院した時に「手術の同意はどうするのか」、亡くなった場合に「遺骨をどうするのか」といったことを本人の意思を尊重しながら守っていかなければいけません。その権利を擁護したいという想いから西成後見の会が始まりました。

— そのような地域では成年後見がより重要になるのですね。

三浦さん:これまで、報酬を払えないような低所得者は、成年後見の制度の対象から漏れてしまうことが多くありました。そのような人たちを守りたいという想いから活動を続けています。「後見」というと、難しく考えられがちですが、身近なことなんです。自分が亡くなった時に「自分の遺産をどうするか」「遺骨を誰が拾うのか」「納骨は誰がするのか」ということをちゃんと生前に決めておかないと困りますよね。それは誰しもそうです。自分が今後どうしたいかということを意思決定して遺言などに書き、誰かにそれを渡したり、わかるようにしておくことが大切です。後見は、そういうところから始まるんですよ。

三浦さんが登壇したセミナーには、毎回多くの参加者が集まっている。

困っている利用者のために、一緒に解決策を考えたい

— このような活動を始めたきっかけを教えてください。

三浦さん:私たちの事業の主な業務は、病気などで生活に困っている利用者さんをケアマネジャーとして支援する仕事です。ただ、実際に暮らしのマネジメントをしていると、介護保険制度では収まらないことがたくさん出てきます。例えば、一人暮らしで家族がいない方が「俺が死んだらどうなるのか」と言えば、成年後見や相続の話につながっていくでしょう? 業務を行いながら何か問題にぶつかるたびに、解決方法がないか考えてきました。必要にせまられて行ってきたことが、今の活動につながっています。

— 本業もお忙しい中で、なぜそこまで利用者の方々に向き合われるのでしょうか。

三浦さん:解決できないと自分に対して腹が立つんです。利用者が困ってる姿を見ると放っておけなくて、解決策はないのかと動いてしまいます。もし今、この人の問題を解決できなかったとしても、今後また同じような人がきっと出てくると思うんです。今できなくても将来のために、仕組みを作りたいと考えて活動しています。

— そのモチベーションはどこから湧いてくるのでしょうか。

三浦さん:もし「公」と「私」どちらを大事にするか、その割合を聞かれたとしたら、私は7:3と答えるでしょう。私にとっては「公」が7割で、「公」の比率が高いんです。しかし、それがどうしてなのかと聞かれると、自分でもはっきり理由は分かりません。

 例えば、金儲けをして好きなものを食べて遊び、自分が満足できればいいという人生もあるでしょう。それも否定しません。しかし私は、収益がそれほど高くなくても、出会う人が少しでも笑顔になって暮らしている姿を見るほうが良いんです。「ありがとう」と言ってもらえたほうが何倍も嬉しいと感じています。


インタビュー後編では、三浦さんが活動を行う中での苦労や業界の未来などについて語っていただきます。

▼インタビュー後編はこちら


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