【おすすめ映画紹介】伊丹十三監督作品特集

ごきげんよう、同志諸君!
ライターの東雲あかりだゾ!

今回は1980年代から1990年代の日本映画を席巻した伝説的映画監督、伊丹十三監督作品の中から特におすすめの作品を紹介するゾ!




伊丹十三監督について

1933年生。
父親は日本映画の黎明期に活躍した巨匠「伊丹万作」で、奥さんは、NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』で天野夏役や、『ひよっこ』で牧野鈴子役を演じた女優の宮本信子さん、息子さんには俳優の池内万作さんがだゾ。

伊丹監督はデザイナー、エッセイスト、俳優と多岐にわたるキャリアを持つけど、一番有名なのはやっぱり映画監督としてのキャリアだと思うな。

初めて監督を務めたのは、1984年の『お葬式』で、当時51歳と比較的遅めの監督デビューだったわけだね。
その頃の日本映画界はテレビに押されて「斜陽産業」と呼ばれて久しい状態だったんだけど、伊丹監督は次々とヒット作を連発して、日本映画界を盛り上げたんだよね。

伊丹監督の作品は、当時の社会問題を強く反映した「社会派作品」やけど、その中にもコミカルさや濡れ場を織り交ぜて、面白おかしく、かつしっかりと社会について考えさせるような作品に仕上げているんだよね。特に代表作の『マルサの女』は、そのリアリティと面白さで時の首相、中曾根康弘氏も鑑賞したり、永田町でも「あの映画見たか?」って話題になったと噂されるほどだったとか。

現代になって、伊丹監督が取り上げた社会問題の多くは解決されてるかもしれないけど、社会や政治の腐敗、暴力による支配や愛憎といったテーマは今なお共感できるんじゃないかな~
だから、今見ても古さ感じさせない作品になっとると思うゾ。

伊丹十三監督作品の概要

伊丹監督の作品は次の10作品です。

  1. お葬式(1984年公開)

  2. タンポポ(1985年公開)

  3. マルサの女(1987年公開)

  4. マルサの女2(1988年公開)

  5. あげまん(1990年公開)

  6. ミンボーの女(1992年公開)

  7. 大病人(1993年公開)

  8. 静かな生活(1995年公開)

  9. スーパーの女(1996年公開)

  10. マルタイの女(1997年公開)
    ※公開順に記載しています。

今回はこの10作品の内、太字で示した4作品を簡単に紹介するゾ!

マルサの女(1987年公開)

出典:伊丹十三記念館

 おかっぱ頭でそばかすが目立つ板倉亮子(宮本信子)は、脱税を徹底的に調べ上げる税務調査官だった。尻尾を出さない脱税容疑者・権藤英樹(山崎努)にいらだつうち、国税局査察部・通称マルサに抜擢される。摘発のプロに成長した亮子は、再び権藤に立ち向かう。
 脚本を作るに当たって、伊丹監督は査察部の現役、OB、税務署の調査官、統括官、署長、税理士から脱税摘発の膨大な体験談を取材。同時に、パチンコ、ラブホテル、不動産、金融、経済ヤクザに亘るさまざまな人物にインタビュー取材を行い、脱税テクニックのディテールを固めた。
 そして伊丹作品の特徴である、驚くべき情報量を満載した脚本が完成したのだった。

伊丹十三記念館

伊丹十三監督作品を語る上で、この作品を外すことはできない!
監督の3作目にして、最も有名な作品と言っても過言ではない作品だね!
特にメインテーマであるこの曲は、今だニュースで政治とカネに関する事件や税金に関する特集の時には、必ずと言っていいほど流れる曲になっているんだよね。(もしくはABBAのMoney, Money, Moneyだねw)

1作目の『お葬式』、2作目の『タンポポ』で莫大な収入を得た影響で追徴課税された経験から、マルサについて興味を持った伊丹監督が製作した映画で、内容については、東京国税局が監修しているので、税務署や国税局の仕事をリアルに描きながらもコミカルに描かれているんだよね。
この作品の特徴である「社会派作品でありながら娯楽作品として気楽に楽しめる作品」というのは、これ以降の伊丹監督の作品スタイルになっていくんだよね。

また、妻の宮本信子演じる板倉と、山崎努演じる権藤の敵同士でありながら、何処か惹かれ合うその関係性は、現代の作品ではあまり描かれない落ち着いたロマンスを感じるストーリーも見どころ。

配信情報(2024年6月11日現在)

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マルサの女2(1988年公開)

出典:伊丹十三記念館

 監督の「前作ではあまり巨大な脱税を扱えなかった。それが心残りでもあったわけです」という言葉の通り、本作では脱税者のスケールがはるかに大きくなっている。
 バブル経済のさなか、東京では地上げ屋たちが熾烈な攻防戦を繰り広げていた。キャリア官僚の三島(益岡徹)を部下に従えた板倉亮子(宮本信子)は、地上げ屋の脱税を追求するうちに、いくら金を儲けても税金がかからない法律を盾に暗躍する、怪しげな宗教法人にたどり着く。宗教活用以外の所得に対しては税金がかかるはずだと、亮子は代表者・鬼沢鉄平(三國連太郎)に迫るが…

伊丹十三記念館

マルサの女の続編という立ち位置だけど、内容は別の物語の作品。
前作がマルサの仕事についての説明篇だとすると、本作は本当に描きたかった内容とも言われているね。

80年代に問題となった地上げ屋と国税局との対決がメインテーマで、地上げ屋のフロント組織が宗教法人で、大物政治家との繋がりがあるって設定は、現代にも通じるものを感じよね

前作までは比較的娯楽寄りの作品だったけど、この作品から社会派映画として世間に問うような物語になっている一方、ちゃんと笑わせてくれるところはきっちり笑わせてくれるのもポイントが高い作品。

また、敵役ヤクザたちの主張や語り口には、どこか説得力があり一理あると思わせてしまう不思議な言葉の力があるのも特徴で、悪人であると分かっていながらどこか魅力を感じてしまう人物描写が巧みでもあるんだよねぇ~。

出演には、三國連太郎さんをはじめ、丹波哲郎さん、加藤治子さん、笠智衆さんと昭和の超大物俳優さんが登場していているのも特徴。

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タンポポ(1985年公開)

伊丹十三記念館

第二作目のテーマは食べ物。食べ物は素晴らしい映画的素材だと監督は語る。
 子連れの未亡人タンポポ(宮本信子)が営む寂れたラーメン屋にふらりと立ち寄った、タンクローリーの運転手ゴロー(山崎努)とガン(渡辺謙)。彼らがラーメンの味に注文をつけた事から、タンポポが最高のラーメンを提供する町一番の店を目指す物語が始まる。
 カウボーイハットのヒーロー、与太者たちのとの争い、恋慕を残して男が去るという西部劇的設定。そこにフランス料理、スパゲッティ、北京ダックなど、食への薀蓄を傾けた奇想天外かつ官能的な挿話が盛り込まれる。
 日本のラーメン・ブームに拍車をかけ、アメリカで大ヒットを記録した作品。

伊丹十三記念館

伊丹監督の2作目で、ラーメンと西部劇を掛け合わせた「ラーメン・ウエスタン」映画という異色な映画。

伊丹さんは食に煩い人物でもあり、味や調理法についてはもちろん、マナーにも厳しく、「パスタは音を立ててはならない」とエッセイで書いていたのは有名な話なんだよね。
ところが、本編ではエッセイで書いていたような食に対する厳しいスタンスを、まるで茶化すような内容があり、メタ的見ると突っ込みたくなる作品なんだよねwww

内容については山崎努演じるゴローが、宮本信子が演じるタンポポが営むラーメンを立て直すお話なんだよね。
それだけでなく、食に関する様々なショートストーリーがあったり、性に関する欲望が描かれていたりと、伊丹監督の欲求に関して垣間見ることもできるのも特徴なんだよね。

ちなみに#Shortsでよく見る、チキンライスの上にオムレツをのせてから切り開いて作るタイプのオムライス、いわゆる「ふわとろオムライス」はこの作品が発祥と言われているんだよね。(諸説あり)
ふわとろオムライス誕生の瞬間を刮目せよ!www

配信情報(2024年6月11日現在)

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スーパーの女(1996年公開)

伊丹十三記念館

 『大病人』『静かな生活』の二作を経た伊丹監督が再び手がけた「女シリーズ」は、駄目スーパーが、お客さんの事を第一に考える良質なスーパーに生まれ変わるという爆笑コメディー。
 激安店の進出によって経営難に追いつめられたスーパー「正直屋」の専務・小林五郎(津川雅彦)は、ライバル店の調査中、幼なじみの井上花子(宮本信子)とばったり再会する。スーパーが大好きな花子はいとも簡単にライバル店の安売りトリックを見破っていき、その視点の確かさに感激した五郎は、花子をレジ主任として雇い入れる。こうして、スーパーの女による「正直屋」の改善が始まったのだが…

伊丹十三記念館

伊丹監督の9作目。身の回りの生活から着想を得て映画を製作する伊丹監督の中でも、スーパーというかなり身近で庶民的な内容を取り上げた作品。

前作が商業的に失敗し初の赤字を出してしまったこともあってか、本作では伊丹映画の代名詞でもある「○○の女」のタイトルを再び使い、さらに娯楽要素を強めたことで再びヒット作になったんだよね。

スーパーの日常だけでなく、当時スーパーで行われていた食品偽造の問題を取り上げたりと社会に対する問題意識もきっちりと描かれているのも特徴で、この映画が公開された数年後に食品偽造の問題が世間に明るみになり、問題になっていることを考えると、食品偽装に対していち早く取り上げた作品ともいえるよね。

個人的には、伊丹映画は基本的に濡れ場が多いから、そういうのが苦手な方には基本厳しい作品なんだけど、スーパーの女については、伊丹作品の中で最も少ないので、入門には丁度良いかもwww

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最後に

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