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素材を活かした処理がしたい人にTony Maserati Signature Seriesを全力でオススメしたい!

楽曲制作を始めたばかり方にとって、トラックの音を活かしつつ、プロ並みのサウンドを実現するのは大変な作業です。

Waves Tony Maserati Signature Seriesは、そんな方でもトラックの音を活かした処理が簡単に行える強力なツールです。このシリーズを使えば、音の素材をそのまま活かしながら、自然な艶や空気感を加えて、素早くプロフェッショナルな仕上がりを実現できます。

この記事では、Tony Maserati Signature Seriesの特徴を分かりやすく解説します。


Tony Maserati Signature Seriesとは?

ヒップホップやR&Bの現代音楽シーンを支えてきたエンジニア、トニー・マセラティ氏のワークフローを忠実に再現したプラグインバンドルです。

このバンドルには、ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルなど、用途に応じた7つのプラグインが含まれており、それぞれが特定の制作作業を効率的にサポートするよう設計されています。

Tony Maserati Signature Seriesの特徴

素材を生かした処理

多くのプラグインは、サウンドを大きく変化させる傾向がありますが、Tony Maserati Signature Seriesはその逆です。元の音のキャラクターを壊さずに、必要な部分にわずかに艶や奥行きを加えるよう設計されています。

例えば、同じSignature SeriesであるCLA Signature Seriesは音を劇的に変えるのに対し、Tony Maserati Signature Series素材の良さを活かしつつ、音の魅力を引き出します。

特にR&Bやヒップホップのように、空間や質感が重要なジャンルで、1音1音がクリアに聞こえるミックスを実現できます。さらに、ロックなど他のジャンルにも幅広く対応し、どの楽曲制作にも役立つプラグインです。

自然な空気感の付加

特筆すべきは、このプラグインが自然な艶と空気感を加える点です。例えば、ベース用の「B72 Bass Phattener」は、コンプレッサーやEQでは再現できない独特の空気感を付加します。

B72 Bass Phattener

EQやコンプを使っても、この自然な空気感を作り出すのは難しいですが、このプラグインを挿すだけで簡単に実現できます。

初心者でも簡単に扱え、サウンドに豊かさとリアルな質感を即座に与えることができるため、あっという間にプロ級のサウンドを得られるのが魅力です。

最強の時短ツール

Tony Maserati Signature Seriesのもう一つの魅力は、作業時間を劇的に短縮できる点です。

個別にEQやコンプを設定する必要がなく、プラグインを挿すだけで最適なサウンドが得られるため、ミキシングのスピードが圧倒的に速くなります。これにより、限られた制作時間の中でも高品質な楽曲を作り上げることができます。

どんなジャンルでも使える

Tony Maserati Signature Seriesは、特にR&Bやヒップホップ向けと言われがちですが、実際にはどんなジャンルにも適応できます。ロックやポップス、さらには映画音楽のようなジャンルでも、素材の良さを生かした自然なサウンドを作ることが可能です。

各プラグインの紹介

Maserati DRM (ドラム専用プラグイン)

Maserati DRMは、ドラムトラックの処理に特化したプラグインです。

Maserati DRM

Maserati DRMの最大の特徴は、パラメータが非常にシンプルである点です。

調整できるのは、低域と高域のバランス、そしてアタック感のみ。そのため、楽曲内で埋もれないクリアなサウンドや、太すぎる低域を抑えたり、逆に強調したりと、音素材の魅力を引き出しながら簡単に音の調整が可能です。

スネア、キック、ハイハットなどの各パートごとに簡単なパラメータで調整ができ、シンプルながらも明瞭感やアタック感を出すことが可能です。

ドラムトラックの中で埋もれがちなサウンドも、Maserati DRMを使えば一気に存在感が出ます。

Maserati GRP (バストラック専用プラグイン)

Maserati GRPは、バストラックに特化したプラグインです。

Maserati GRP

このMaserati GRPが本当によくできており、バストラックの処理で求められる存在感と一体感を同時に調整することができます。 Glue感(接着感)とも呼ばれるこの処理により、バラバラに聞こえていたトラックが自然に統一感を持ちます。

「DRUMS LIVE」「DRUMS PRGM」「GUITARS」「STRINGS」「KEYS」「BGV」「MASTER」といった7つのモードがあり、処理するバストラックに応じて最適な設定が選べるようになっています。

特に、ドラムやピアノのバストラックに使用すると、その効果がはっきりと感じられます。

Maserati B72 (ベース専用プラグイン)

Maserati B72は、ベーストラックの処理に特化したプラグインです。

Maserati B72

Maserati B72は、低域と高域のバランスを整えることしかできない漢仕様ですが、このシンプルさによって、ベースの肝となる低域の厚みと高域の透明感が際立ち、音に色気や艶を加えることができます。

Maserati B72にはコンプレッサーが内蔵されており、SENSITIVITYでコンプレッションのかかり具合を調整することができます。簡単に言えば、どの程度コンプをかけるかを入力レベルで調整するということです。

他のTony Maserati Signature Seriesでは、SENSITIVITYは「インプット量」を調整する役割ですが、Maserati B72ではコンプレッションを調整する役割を担っています。

Maserati GTI (ギター専用プラグイン)

Maserati GTIは、ギタートラックの処理に特化したプラグインです。

Maserati GTI

特徴的なのは、他のTony Maserati Signature Seriesと同様に、パラメータが非常にシンプルである点です。一部のギタータイプではコーラスやディレイも使用できますが、基本的にはプレゼンスとコンプレッションでサウンドを調整します。

特に注目すべきは、プレゼンスの効き方が各タイプで異なる点です。

たとえば、CLEANタイプでは中域を調整できるのに対し、HEAVYタイプでは、ドラムのキックやベースの美味しい帯域を空けるようにハイカットとして機能します。そのため、プレゼンスの効き方が自分の求めるサウンドに合うギタータイプを選ぶのがおすすめです。

Maserati HMX (空間系エフェクト)

Maserati HMXは、コーラスやリバーブ、ディレイといった空間系エフェクトをかけるプラグインです。

Maserati HMX

このプラグインには「MODAL」と「BOUNCE」という2つのモードがあり、MODALはコーラス系、BOUNCEはディレイやリバーブといった空間系エフェクトを提供します。

特におすすめなのが、BOUNCEモードの「プレゼンス機能」で、これを使うと音に明瞭感が加わります。効果は微細ですが、もう少し音をクリアにしたい、すっきりさせたいときに非常に役立つプラグインです。

Maserati HMXは、広がりと奥行きを加えるための空間系エフェクトプラグインですが、私は特に明瞭感を引き出すために使っています。

まとめ

Tony Maserati Signature Seriesには、今回ご紹介したプラグイン以外にも、アコースティックギターやボーカルの処理に特化したプラグインが含まれています。

Tony Maserati Signature Seriesに含まれている全てのプラグインは、素材の良さを引き出しながら、自然な艶や空気感を加えるのが特徴です。この艶と空気感は、他のSignature Seriesにはない、Tony Maseratiならではの魅力です。

ぜひ一度、手に取ってその効果を実感してみてください。

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