見出し画像

就労移行支援事業とは?病気や障害を持つ方のスキルアップや就職をサポートしてくれる「就労移行ITスクール八王子」レポート

厚生労働省「患者調査」によると、国内の精神疾患患者数は年々増加傾向にあります。OECD(経済協力開発機構)が発表した調査を見ても、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、うつ病・うつ状態の人の割合は、各国でおよそ2〜3倍の増加傾向にあることがわかりました。

そういった精神疾患による精神障害を含む、様々な障害を持つ方が通える「就労移行支援事業所」をご存知でしょうか。
病気や障害を持つ方を対象にした、就職する上で必要な知識やスキルを身につけるサポートをしてくれる事業所です。就労移行支援事業所の中には、プログラミングやWebデザインなどのITスキルを習得できる事業所もあり、最初の基礎知識習得のためにProgateを導入してくださっている事例も多くあります。

就労移行支援事業所について
就労移行支援事業とは、障害のある方の社会参加をサポートするために制定された「障害者総合支援法」に則って運営されている通所型の福祉サービスです。通所しながら就職を目指し、事業所は「職業訓練の提供」と「就職活動の支援」を提供します。事業所によっては、就職後3年6か月までの「就労定着支援」をサポートしているところもあります。

今回は、Progateを導入してくださっている「就労移行ITスクール八王子」にお伺いして、所長の竹内さんに話を聞いてきました。
※2022年8月1日、「ルーツ」より「就労移行ITスクール」に名称を変更。

竹内拓海氏
大学卒業後、小学校教員として教育に従事。プログラミングが義務教育化されることが決まったタイミングで自身もプログラミングを学び、エンジニアなどプログラミングに関わる道を考えるようになる。大学で障害に関する研究をしていたことから、障害支援とIT教育が叶う就労移行ITスクール八王子に入社し、八王子事業所の責任者を務める。

障害のある方の中には、個性や特性として、IT関連職が非常に向いている方がいる

就労移行ITスクール八王子事業所の様子。利用者の方はここに通い、スキルの習得や就職支援を受ける。

ーー就労移行ITスクール八王子について教えてください。
八王子事業所は立ち上げてまだ3ヶ月で、今は皆さんの学習やスキル習得を支援しています。就労移行ITスクールはWebに強いことを特徴としているので、WordやExcelといった通常のパソコンスキルに加えて、プログラミングやデザインのスキルを身につけられるようにサポートしています。

就労移行ITスクールは全国に事業所があって、各事業所にそれぞれのカラーがあるのですが、八王子事業所を立ち上げるときに意識していたのは、利用者の方が選択肢や可能性を広げるためにのびのびとやれることです。利用者さんが視野を広げられたり、チャレンジできたり、選択肢を広げていける場にしていきたいですね。

僕は最初のキャリアで小学校の教員をやっていました。プログラミングの義務教育化にあわせて、このままではまずいと思って、プログラミングを学び始めてスキルを身につけたんです。何も学ばなければ、子どもたちよりできないなんてこともありえますからね。

小学校では10人に1人が発達障害だと言われていて、診断を受けていないけど、生きづらさを抱えている子もいます。そういった生きづらさを抱えている子を他の子たちと同じように扱うことも大事です。でも同時に、その子たちの個性を大事にすることも重要なんです。

教員をやっているときに、そういった子たちのキャリアや将来についてよく考えていました。特別支援学校にあがる子も多いですし、障害のある方が集まっている職場に行くという手段もあります。でも本当にそれだけなのか?と。

障害のある方の中には、一つのことに集中しやすい傾向にある方も多くいます。そういった方はエラーを見つけるのもうまいし、美しいコーディングができたりする。個性や特性として、IT関連職が非常に向いている方がいるんです。そういった方々のサポートができるようになったことは嬉しく思っています。

小学校教員をやっていた時は、生きづらさを抱えた子たちの将来を案じていましたが、プログラミングなどのITスキルによって可能性が広がって、選択肢が増えることがわかりました。それを伝えていきたいですし、サポートしていきたいと思っています。

IT職種の需要が高まり、障害より個人のスキルを重要視する企業が増えつつある

ーー利用者の方の傾向を教えてください。
就労移行ITスクール全体でいうと年代的には20代、30代の方が多いです。八王子に関しては地域柄なのか、40代、50代の方も多いですね。

障害や病気については、発達障害の方や精神疾患を抱えている方が多いです。今まで一生懸命働かれていたけど、人間関係に悩んで、うつ病や適応障害を発症してしまった方などですね。

障害を開示して働く方法もありますし、開示せずに働くことも選択肢としてあります。僕たちはそういった相談も受け付けて、皆さんにとって最も可能性が広がる、最適な道を一緒に探しています。

ーー雇用状況や求人状況など、近年の動向の変化についてはいかがでしょうか?
民間企業の法定雇用率は2.3%で、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害のある方を1人以上雇用しなければなりません。ここ数年は以前よりさらに障害者雇用への関心が高まっており、少しずつ雇用を進める企業が増えています。障害のある方でも働きやすい環境造りを意識したり、特例子会社を作って雇用する会社も増えました。ただ、企業の方とお話しすることで感じるのは、障害者雇用枠がもうすでに定員オーバー気味だということです。

一方で、そのような情勢の中でも、障害より個人のスキルを重要視している企業も増えつつあります。障害の有無に関わらず、キャリア採用をしたいという風潮が高まっているのは、特にIT職種において顕著に現われており、障害のある方でも障害者雇用枠ではなく一般応募の求人で必要とされるケースが増えています。

ProgateでHTML&CSSやJavaScriptを学んで、国立施設への就職が叶った

ーー就労移行ITスクール八王子のプログラミング学習について教えてください。
Progateは学習の導入部分で、基礎知識を身につけてもらうために活用しています。初学者が軌道に乗るまではもちろん、経験者でブランクのある人にも復習のためにProgateで学んでもらいます。とくにWeb系に進みたい人の最初の学習におすすめしていますね。

一つ例をあげると、通所する前は建築関係に勤めていらした50代の男性がいました。プログラミングには全く触れたことのない方です。その方はProgateでHTML&CSSやJavaScriptを学んで、Web系のプログラミングスキルを活かせる国立施設への就職が叶ったんです。プログラミング未経験でもProgateなら最初の一歩を踏み出す自信をつけることができます。その方はプログラミングを学んだことで、人生の可能性を大きく広げることができました。

Progateで基礎知識を身につけた後は、基本的には利用者さんの適性やレベルに合わせて進め方を変えています。一人ひとりに合わせたカリキュラムを作るんです。支援の期間は最長で2年間ありますが、全員が2年間通えるわけではありません。その人の生活と目標に合わせたスケジュールやカリキュラムが必要なんです。

職員が講座を開くことも多くて、今だと僕はPHPの講座を開いています。通常の学習は一人ひとりのペースで進めますが、講座の場合は利用者さん同士のコミュニケーションも大切にしています。他の人が躓いているところをシェアしたり、教えあったり。社会に出る限り、様々な形でコミュニケーションをとる必要がでてきます。講座には、コミュニケーションの訓練の意義もあります。

就労移行ってなに?どんなところ?など様々な疑問を抱えている方が多いと思います。就労移行では就職や、その先の叶えたい生活に向けて頑張っている方と、それを全力でサポートする支援員がいます。まずはどんな場所なのか、どんな人がいるのか、どのようにやっているのか、どんな就職が目指せるのかなどお気軽にご相談ください。

竹内さん、就労移行ITスクール八王子の皆さん、ありがとうございました!


Progateには、公式サイトのご意見箱にいただくメッセージ、「Progate」という単語を入れて呟いてくださっているツイート、学習の記録をつけているブログやnoteなど、ユーザーの皆さんの様々な声が届いてきます。

日々、いただくメッセージでも、一生懸命生きていく中で精神疾患を患ってしまった方、頑張り過ぎて心身を削ってしまって退職をされた方、今の職場で働き続けることが困難になってしまった方、ADHDやASDと診断を受けた方など、様々な背景を持つ方がいらっしゃいます。

私たちは、世界中のあらゆる人がプログラミングで人生の可能性を広げられることを願っています。そしてプログラミングに挑戦する全ての方を応援しています。

皆さんがプログラミングを通して新しい扉を開けるように、一人ひとりにProgateとして寄り添っていきたいと思っています。でも、Progateとして一人ひとり、個人の人生の相談に全て乗ることは難しい。だからこそ、それぞれの人生に寄り添ってくれる就労移行支援という選択肢もあることをお伝えしたいと思い、就労移行ITスクール八王子の竹内さんにお話を伺ってきました。

皆さんがプログラミングを通して、新しい扉を開くことができますように!

私たちは引き続き、Progateで学ぶ皆さんの人生の可能性が広がることを願って開発を続けてまいります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?