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勉強における再現性とスタンス【ダーツプロに学ぶ勉強の姿勢】

プロダーツプレイヤーを目の当たりに

昨年、川越に新しいダーツバーがオープンした。

そこで開催されたオープニングイベントにおいて、日本の、そして世界のトッププロダーツプレイヤーでもある村松治樹氏が訪れるということで、授業終わりに急いで会いに行った。

村松治樹と2ショット

そこで私は初めて世界レベルのダーツを目の当たりにした。

ダーツは基本的にボードの中心のブルと呼ばれる直径約41mmの的を目掛けて、237cmの距離から投げ込むのだが、世界レベルともなると基本的に外さない。

ダーツはゴルフのスイングや野球の投打と同様に再現性のスポーツであり、いかに3本の矢を投げる際に同じ動きができるかが非常に重要になる。

手元で1mmズレるだけでも、手の振りが1km/h速くなるだけでも、矢の射出角度が1°変わるだけでも、それが237cm先の的に到達する際には非常に大きなズレとなるのだ。

氏の寸分違わぬフォームを見て、何千万投というたゆまぬ鍛錬に思いを馳せ、畏敬の念を抱かずにはいられなかった。

“天才”という言葉は努力の過程に対するリスペクトを欠いている気がして好きではないのだが、“努力の天才”というものがいるのであれば、それは氏のような人物のことであろう。

フォームを固める勉強

普段から子供たちには伝えているが、常日頃から飽きるほどに鍛錬を続けて型を身につけたものこそが、本番の緊張の中でもその実力を遺憾なく発揮できるのだ。

本番だけ都合よく実力を発揮できると過信してはいけない。

我々が普段から授業で伝えている問題を解く際の作法、型、公式などは全て再現性の有るものである。

授業で伝授し、演習で再現性を磨く。

それがあるべき鍛錬の姿だ。

定期テスト直前期では授業も演習中心になるが、それは再現性を磨くべき時期だからである。

直前になって「どこどこの範囲がよくわからないのでフォローしてほしい」というのでは遅すぎる。

フォームを固める時間が取れない。

テスト勉強では時期によってやるべきことが異なる。

今何をやるべきか、そこまで考えて計画を立てられたい。


4スタンス理論と学習指導

ところで、ダーツをはじめ再現性のスポーツにおいてはよく「4スタンス理論」という言葉が登場する(少し古い理論だが)。

人間の身体特性はみな同じではなく4種類に分類でき、それを体系化したのが4スタンス理論である。

これを正しく理解することでタイプにあった身体の動かし方を習得できるというものだ。



例えばつり革を持つ際にも、拳の中に握りこむようにした方が力が入る人もいれば、第二関節のあたりに引っ掛けるようにした方が力が入る人もいる。

したがって指導者側は個々の身体的特性を理解し、その人に合ったフォームを模索する必要がある。

プロの誰々がこういうフォームだからとか、自分はこれが一番力が入るだとか、そういった理由で相手にフォームの矯正を強要してはならない。

事実、ダーツのプロを見ていてもフォームやバレル(ダーツの矢を握るための金属製の部分)の握り方から立ち方、立ち位置まで千差万別である。


勉強の指導においても、得てして自分の過去の指導の成功例を参照し、それが最適解だと信じてやまずに他の生徒も指導してしまう講師が少なくない。

もちろん一般的にこうした方がよいという指導法はある。

しかし、それがいくら数多の成功例を生んでいたとしても、目の前の一人の子にとっては最適解ではない可能性があるということを肝に銘じなければならない。


子供たちもまた千差万別である。

我々指導者としてはその子の特性を見抜き、寄り添い、そしてともに最適解を見つけていけるような指導にあたりたい。

年を重ね、経験を積めば積むほど、そういった部分での柔軟性は失われていってしまう。

そういう意味で若くありたいものである。

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