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AO入試の志望動機書の書き方・#1: コマーシャルと商品

高校でもかなりの頻度で教鞭をとらせてもらっていたり、大学の入試のエッセイ、面接・・・をもう(教員としての年数が増えるほど、数千人ではないにせよ)数百人以上見てきているので、ある意味両方(高校の受験者の視点と大学の審査する側として)の経験を少しずつですが積み重ねております。以下、私見となりますがAO入試におけるパーソナルステートメント・志望動機書を書く上で大切だと個人的に感じていることを書き記していきたいと思います。

まずよく受験生が勘違いしている点の、多分1番大きな点だと思う、誤解している点としては、「志望動機書は『あなた』では無い」と言う事です。これをアナロジー(類似)で捉えると、志望動機書に書かれたことと言うのはあなたの「コマーシャル」であって、あなた、すなわち「商品」では全くない、と言うことです。

例えばダイソンの掃除機と言う商品があり、そのコマーシャルがありますよね。この時に例えばそのダイソンの会社に勤めている何千人もの開発に関わったエンジニアたちに「この商品の魅力、凄さを伝えて下さい」と聞けば、100〜200のすごい、アピールするべき点を出してくるも思います。それぐらいの工学的な、そしてデザイン的な素晴らしさが詰まった商品だからです。ではこのダイソンの掃除機の「コマーシャル」ではどういう事を言っているかと言うと、約15秒ほどの間で(コマーシャルを見ていただいた人はわかると思いますが)「このダイソンの掃除機は他社のハンドヘルドの掃除機に比べて吸引力がX%高い」と言う1点のみを強調したコマーシャルとなっています。

繰り返しになりますが、AO入試における志望動機書、と言うのはあなたの「コマーシャル」であって、あなたと言う「商品そのもの」では全くない、と言うことです。多分日本人の方々は真面目(?)な性質をお持ちなんでしょうし、どうしても志望動機書=あなた自身、と言う構図を考えがちですが、これは全く違うと私は考えています。AO入試の志望動機書、と言うのはあなたと言う(言い方は悪いですが)「商品」をカスタマー(ここでは大学)に、「お、この商品は面白そうだな、ぜひ買ってみようかな」と思わせ、そして実際に買ってもらう(=合格する)ことを狙ったコマーシャル、となります。なのであなたと言う商品を考えたときに、何のメッセージを、なぜ、誰に、どのように、伝えることが、あなたと言う商品を「その特定的な大学が」購入に傾いてくれるようになるのか、と言う事が1番大切、となります。

なのでくどいようですが、あなたと言う商品の中にある(もちろん無限の数の!)魅力や経験(いわゆるアチーブメント的な経験がなくても、これはどんな人にでもたくさんあります。また後述できればと思います)の中からどれとどれとどれを選んで強調して書くことが、あなたと言う商品の最大限のアピールにつながるのか、と言う事をまずは考えると言うことです。

よく引き合いに出すのは日経新聞などに書かれているような私の履歴書、みたいなシリーズです。他の新聞の似たようなコラムでも良いのですが、この短いコラムに描かれているのはその記事の主役となっている人の顔写真、そしてその右に大きなフォントで書かれた1行の、その人のまとめ、となります。このまとめというのがまさにタグライン (日本語ではキャッチコピー)となり、あなたと言う商品の潜在顧客に向けて最大のアピールができるキャッチコピー、メッセージとなります。

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