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転生準備編 ~天国の門の話~

「ボク、昔は猫だったんだよ」
「ただの猫じゃないよ。宇宙猫だったんだよ」
「神様から『このお母さんから生まれてくれない?』ってお願いされたんだ」
そんな不思議な息子と妻と、平凡な私のお話です。

三途の川の話

「人が死んだら、三途の川を渡るんだよ」

ああ、やっぱり渡るんだ。
三途の川の渡し賃として、昔は三文必要だって話だったけど、今はいくらくらいなんだろう?

「うんとね、船は300円かかるよ。他にはバスとか、新幹線とかある」

ええ!? バスとか新幹線もあるの?
そっちはいくらくらいするの?

「バスと新幹線は無料タダだよ。でも、並んでるから、時間かかるんだよね」

なるほど、ということは船はすぐに乗れるんだ?

「うん、早くわたりたい人は300円払って船に乗るの。400円払うとラジオが付いてきて、500円だと漕いでくれる人がつく。ただ、900円払う人もいる」

ん? どういうこと?

「うんとね、死んでからも地球に長くいた人はね、900円かかるの。人を恨んでる人とか」

ほうほう、そういうことね。
浮遊霊とか、地縛霊とかになっちゃうと渡りづらくなっちゃうのか。

「うん。反省しろーって感じ」

お金がない人はどうするの?

「自分で泳ぐ人もいるけど、地球で神様のお手伝いをすると貰えるよ」

神様のお手伝い?

「うん。死んだ人に『もう死んだんだよ』って説明したり、人助けしたりする」

おー、なるほどね。
死神ってやつかな?

「死神さんはちゃんと別にいるよ。昔は一人ひとり迎えに行ってたけど、今は死ぬ人がたくさんいるから、バスとか電車の運転手になってる」

んん?? ああ、バスとかで死んだ人を迎えにいくのね。

「そうそう」

死神界隈も時代の波には逆らえないんだなぁ・・・
神様のお手伝いでいくらくらい貰えるの?

「一回30円!」

やっす!! 死んだら労働基準法はないのか・・・
そもそも、人は死んだらいくらくらい持ってるの?

「うんとね、生きてるときに稼いだお金の中から10円だけ持っていける」

えええ、それじゃぁ船に乗れないじゃん。

「うん。だから、お迎えを逃すと稼がないといけなくなるんだ」

それ以外は無料のバスとかを待つしかないのかぁ。

「今は死ぬ人が多いからね、すっごい並んでるよ」

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天国の門の話

「三途の川を渡るとね、道がまっすぐ続いているの。それで、右側には川が流れてる」

その川って、道に沿うようにあるの? あと、大きさは?

「うん、道に沿うようにずっと続いてる。大きさはそんなに大きくないよ」

小川くらい?

「うん、そう。小川くらい。それでね、道をまっすぐ進んでいくと、天国の門が見えるの」

おお、天国の門があるのか。

「うん。それで天国の門の前、道の左側にはお店が並んでるんだよ」

お店? 何が売ってるの?

「売ってるんじゃなくて、天国で使うお金をくれるんだよ」

ほほう、天国でもお金って使うんだ。
いくらくらい貰えるの?

「人によって違うかな。生きている間にどれだけのことを経験したか、で変わってくる」

そうなのかぁ。じゃぁいっぱい色々なことを経験しないとね。

「そうそう。それでね、天国の門をくぐると、そこに神様がいて、何でも好きなものを一つだけくれるの」

へぇ、好きなものを一つだけ?

「うん。車でも、ロボットでも、ポケモンでも」

ポケモン? え? リアルポケモン?

「うん、リアルに動くポケモンだよ。ポケモン持ってる人同士でバトルもできる」

ほほう、なるほどね。
お父さんだったら何にしようかなぁ。
空飛べるようにしてもらおうかなぁ。

「翼を貰うこともできるよ」

おお、なんか天使みたいだね。
そういえば、地獄に行く人はどうなの?

「地獄に行く人はね、三途の川を渡った瞬間に地獄にいるの」

え? どういうこと?

「瞬きした瞬間に地獄にいる」

おお、なんかすごいな。

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