ジェンダーギャップ指数の日印比較

またまたこの記事だが、

男女格差の大きさを示すジェンダーギャップ指数(2019年)は、日本は世界153カ国のうち121位。女性が家庭での無償労働を強いられている状況も、女性政治家の少なさも、日本の大きな課題だ。

"Global Gender Gap Report 2020"ではインドのジェンダーギャップ指数は112位、サブ指数のPolitical Empowermentは18位で日本の144位を大きく上回っている。

ではインドは日本よりも女が輝く国かと言えばそうではない。

ジェンダーギャップ指数とは、政治家や企業の取締役などのパワーエリートの「男女平等」度を主に反映した指数なので、それが上位であることは大多数の女にとっても生きやすい国であることを意味しない。長距離トラック運転手や土木作業員が男女同数であることが「性差別のない理想社会」を意味しないことと同じである。

ジェンダーギャップ指数はパワーエリート女やその眷属のポジショントーク用の指数であることはもっと周知されるべきだろう。

補足

ジェンダーギャップ指数の改善を叫ぶ論者が言及を避けているのは、上位国では「女の仕事」で低賃金労働する女が多いことである。

In fact, the highest levels of gender segregation anywhere in the developed world are found in the labour markets of egalitarian welfare-state Scandinavia.
Scandinavian countries hold the record for gender segregation because they have gone the furthest in outsourcing traditional female activities and turning unpaid home-based ‘caring’ into formal employment.
Today, we employ huge numbers of nannies and cleaners. We also employ millions and millions of nursery assistants, care assistants, dishwashers and housekeepers – armies of women doing traditional female tasks. Nurseries and care homes are big sectors, and we outsource most of what we once did in kitchens at home: fewer and fewer meals are prepared at home. Workers in these sectors are low-paid. They are part of the 24/7 service economy which underpins professional lives. They are also overwhelmingly female. “Sisterhood” is dead. Different women have very different lives, and interests.

その理由はこれ(⇩)。

もし女性が今日まで男性がやっている職業志向の生活を追求するなら、何かを棄てないかぎり、誰が家事と育児をすることになろうか?
一部の人が選ぶ道は子どもをつくらないことである。もう一つの道は、金持ちならばだが、手伝いを雇うことである。(ある既婚の女医は、しばしばおそくまでかかる仕事と、息子を学校が終ったら迎えにゆかなければならないこととの板ばさみになり、途方にくれた時に「私には妻が必要だ」と叫んだ)。
エリート女の泣きどころは、エリート男しか愛せないってこと(笑)。男性評論家はよく、エリート女は家事労働してくれるハウスハスバンドを選べなんて簡単に言うけど、現実的じゃない。

これ(⇩)などが典型だが、パワーエリート女には「職業志向の生活を追求するなら、何かを棄てない」といけないこと(トレードオフ)を受け入れられない傾向がある。

その解決策が、自分が何かを棄てる代わりに、下層の女に「夫の給料による安定した生活」を棄てさせることである。格差が大きい国にジェンダーギャップ指数の上位国があるのはこのため。

最初のハフポストの記事に戻ると、「日本の大きな課題」は、下層の女が上層の女の家事を低賃金で代行するようにすれば解決する。

未だに誤解されているようだが、フェミニズムは万人の平等を求める思想ではなく、強者の女が好き放題する自由を正当化する思想であり、"sisterhood"とは無縁である。上層の女の生きやすさは下層の女の犠牲を必要とする。

私はフェミニズムが男との平等を求める思想である以上に、自由を求める思想だと思っています。平等より、私は自由がほしかった。

「子どもをつくらない」も現実化している。

“We’re moving towards a China-like situation but without any sort of one-child policy,” explains Senior Research Fellow at Nordregio, Anna Karlsdóttir.
What has been impacted, however, is the rising age of first-time parents. Women want to complete their education and embark on their careers before having children.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?