アベノミクス「成功」は民主党政権の反動

経済再生は「安倍政権の政策の一丁目一番地」だったが、実際、2012年11月~2018年10月(暫定)は戦後二番目に長い景気拡大期となり、10年強続いた消費者物価のデフレからも安倍政権発足とほぼ同時に脱却している。

[マーカーは2013年1月]

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インフレ転換には、衆議院解散が決まった時から一気に進んだ円安が大きく寄与している。

[マーカーは2012年11月14日と12月26日]

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鉱工業生産指数も明確に反転上昇している。

[マーカーは2013年1月]

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景気動向とは無関係に増加する医療・福祉を除いた就業者数も速やかに増加に転じている。

[緑線は2013年1月]

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民間企業設備投資も停滞から増加に転じている。

[マーカーは2013年1-3月期]

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一方、完全失業率の低下ペースは民主党政権期と変わらず、2002年1月~2008年2月の景気拡大期とほぼ同じである。

[マーカーは2009年9月と2013年1月]

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銀行貸出は安倍政権発足前から増加に転じていた。

[マーカーは2013年1月]

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アベノミクス第一の矢はインフレ率目標2%を達成できず、第二の矢も積極財政ではなく、第三の矢も新たな成長産業の創出には成功しなかった。

これらを総合すると、日本経済の転換に最も寄与したのは「どうしようもない民主党政権が終わってまともな自民党政権が復活する」という期待感だったと言えそうである。

日本経済は世界金融危機と東日本大震災のショックから回復して拡大に転じる条件は整っていたが、民主党政権が続く限りは不確実性が大きく、企業は様子見の状態だった。そこに、経済再生を掲げる安倍政権の発足が確実になったため、金融市場に続いて実体経済もリスクオンからリスクオフへに急転換したわけである。

通常のマクロ経済政策に比べると雇用拡大などの成果が出るのが早すぎることから、アベノミクスの成果とすることに否定的な論者もいるが、具体的な政策ではなく、空気・気分の転換によるものだとすれば、早くても不思議はない。

しかし、金融政策と同様に「期待に働きかける」だけだったので、慣性の法則のように成長は続いたものの、加速することなく終わってしまったということになる。

そういえば、これ(⇩)も安倍政権の成果である。

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