ファクトチェック「日本の名目GDP伸び率は内戦の国並み」

著名人がこの👇グラフをツイートしているのを見掛けた。

出所はこれ👇らしいが、

  • データのソースが不明

  • 数値がおかしい

  • 伸び率ではなく比率では?

など問題だらけである。ついでに言うと、ガンビアの「1982年~2014年紛争」も事実ではない。

世界銀行のDataBankから2000年と2017年の自国通貨建て名目GDPの比(と年平均成長率)を示すと、

  • リビア:2.7倍(+6.0%)

  • ソマリア:不詳

  • シリア:9.2倍(+13.9%)

  • 日本:1.03倍(+0.2%)

  • ガンビア:7.0倍(+12.1%)

と、全く数値が異なる(IMFのWorld Economic Outlook databaseの数値とは異なるが論旨に影響はない)。

日本は最下位だが、上位を見れば経済パフォーマンスの比較としては適切ではないことが明らかである。"名目GDP=実質GDP×物価"なので、高成長と高インフレ、低成長と低インフレを区別できないためである。

  1. アンゴラ:221倍(+37.4%)

  2. ベラルーシ:116倍(+32.2%)

  3. ウズベキスタン:98倍(+30.9%)

  4. ガーナ:97倍(+30.9%)

  5. マラウィ:63倍(+27.6%)

実質的な経済パフォーマンスを示す「1人当たり実質」では日本は下から46番目なので衝撃的な低さではない。日本の名目GDP成長率の低さはインフレ率が低かったためで、実質成長率が内戦で経済が崩壊状態の国並みに低かったからではない。インフレ率が高ければよいものではないことは自明である(賃金上昇が伴わなければ実質賃金が低下して貧しくなってしまう)。

世界銀行DataBankより作成/赤が日本

反緊縮派には素人と煽動者が多く、出鱈目な統計を使う傾向があるので注意されたい。


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