ファクトチェック「日本の名目GDP伸び率は内戦の国並み」
著名人がこの👇グラフをツイートしているのを見掛けた。
『名目GDP伸び率』の“ワースト4位”が「日本」。
— 明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ) (@izumi_akashi) May 8, 2022
ネットのグラフだが、衝撃的なので、ご紹介。
日本以外の“ワースト5位以内”の国は、
いずれも“内戦”で「政治」が機能せず、
「経済成長」どころではなかった国。
ということは、日本も“内戦”と同じくらいに
「政治」が機能してこなかったということか? pic.twitter.com/SzOJ4hkDPq
97年の消費増税で経済停滞に陥り、その後、2度の消費増税で“内戦”続くリビア、ソマリア、シリア、ガンビア並みのGDP伸び率の日本。それでも財政規律一辺倒の財務省。高橋洋一氏は「負債の部分だけ見て恐れても意味がない」と愚かさ指摘。だが財務省言いなりの岸田政権。参院選後のコロナ増税が恐ろしい https://t.co/uRHpFEkjOH pic.twitter.com/VlyQZOCqV9
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) May 22, 2022
出所はこれ👇らしいが、
ウクライナだとかロシアに夢中になるのもいいですが日本の内戦に等しい状況にも目を向けてほしいなと pic.twitter.com/bpTVSoQ3uQ
— BW研究員 (@bw67716816) March 18, 2022
データのソースが不明
数値がおかしい
伸び率ではなく比率では?
など問題だらけである。ついでに言うと、ガンビアの「1982年~2014年紛争」も事実ではない。
世界銀行のDataBankから2000年と2017年の自国通貨建て名目GDPの比(と年平均成長率)を示すと、
リビア:2.7倍(+6.0%)
ソマリア:不詳
シリア:9.2倍(+13.9%)
日本:1.03倍(+0.2%)
ガンビア:7.0倍(+12.1%)
と、全く数値が異なる(IMFのWorld Economic Outlook databaseの数値とは異なるが論旨に影響はない)。
日本は最下位だが、上位を見れば経済パフォーマンスの比較としては適切ではないことが明らかである。"名目GDP=実質GDP×物価"なので、高成長と高インフレ、低成長と低インフレを区別できないためである。
アンゴラ:221倍(+37.4%)
ベラルーシ:116倍(+32.2%)
ウズベキスタン:98倍(+30.9%)
ガーナ:97倍(+30.9%)
マラウィ:63倍(+27.6%)
実質的な経済パフォーマンスを示す「1人当たり実質」では日本は下から46番目なので衝撃的な低さではない。日本の名目GDP成長率の低さはインフレ率が低かったためで、実質成長率が内戦で経済が崩壊状態の国並みに低かったからではない。インフレ率が高ければよいものではないことは自明である(賃金上昇が伴わなければ実質賃金が低下して貧しくなってしまう)。
![](https://assets.st-note.com/img/1653587966419-kP9gOglJ5R.png?width=1200)
反緊縮派には素人と煽動者が多く、出鱈目な統計を使う傾向があるので注意されたい。
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