見出し画像

「子育て支援からの好循環」を信じる困った国会議員たち

国会の代表質問で立憲民主党と国民民主党が明石市の「子育て支援からの好循環」を取り上げていたが、泉市長の施策に賛同する国会議員は野党に限らない。

自由民主党でも長島昭久議員(元民主党)が支持を鮮明にしている。

しかし、1年前のnoteの記事を読むと、事実認識の不正確さが目立つ。

引用元の『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』の図には「明石市の住宅地価格はV字回復!」「明石市の商業地価格もV字復活!」「明石市の工業地価格だって回復!」との説明があり、長島議員もnote記事に

こうして、人が増え、子どもが増え、まちが活性化した結果、経済成長まで始まります。それを端的に表すのは、土地の価格でしょう。住宅地価格、商業地価格、工業地価格、全てV字回復しているのです!

と書いているが、これ👇のどこが「全てV字回復」なのか。

国土交通省「地価公示」

2011年=100として指数化

国土交通省「地価公示」より作成

税収(個人市町村民税・固定資産税・都市計画税)についても同様で、2012年度から2019年度に明石市は+8.74%だが、全国市町村は+13.09%なので、明石市の伸び率は相対的にはむしろ低い。

この結果、税収(個人市民税・固定資産税・都市計画税)もアップ!2012年度には342億円でしたが、2019年度には372億円(+30億円、約8.8%増!)となっています。

総務省,明石市より作成

警戒すべきなのは「嘘も百回言えば真実」で、有力議員が繰り返し発信することで明石市の「子育て支援からの好循環」が成功しているという認識(誤解)が全国に広まり、国や地方の政治に影響を与えかねないことである。

どうも背後に「子ども利権」の存在が感じられる。

付記

泉市長の「子育て支援に全振り」に

  • 自治体間の人口獲得競争に有効

  • 比較的若い世代の転入→住民の若返りや住宅需要の増加

  • 子供の増加→地域に活気が出る

などのプラス効果が(少なくとも短期的には)あることは事実にせよ、それを全国展開しても少子化や経済停滞が止まって「国が伸びる」わけではない。「泉市長は結果を出している」ように見えるのは前後即因果の誤謬の可能性が高い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?