米大統領選挙とcritical race theory

米大統領選挙のテレビ討論会で取り上げられた"critical race theory"についての参考記事をいくつか。

“I ended it because it’s racist. I ended it because a lot of people were complaining that they were asked to do things that were absolutely insane, that it was a radical revolution that was taking place in our military, in our schools, all over the place,” Trump said, though he did not directly answer moderator Chris Wallace’s question about whether he believes that systemic racism exists in the U.S. “We were paying people hundreds of thousands of dollars to teach very bad ideas and frankly, very sick ideas. And really, they were teaching people to hate our country, and I’m not going to allow that to happen.”

日本語のものではこれが分かりやすい。

ディアンジェロによれば、アメリカ社会は人種・性別・性的志向などによって階層化されており、その頂点に君臨するのは「白人、男性、異性愛者・健常者・中上流階級」という属性をもつグループだ。

この世界観(⇧)から"intersectionality"という概念が生まれている。

アメリカの白人は「生まれる前から」レイシストであり、死ぬまでレイシズムの原罪から逃れることはできないのだ。――そう考えれば、これは一種の「宗教運動」にちかい。

その通りで、現代のwokeした白人たちが過激な破壊活動を行っているのは、中世のキリスト教徒が贖罪のために十字軍に参加したことと同じである。レイシストは一掃されなければならない。

「人種間の平等」がリベラルの”宗教“であるという考えを、私は直接的にはハーバード・ロースクールの憲法の授業で、ノア・フェルドマン教授に習った。
「そう、我々はいまだ消えぬ『原罪』を抱えている。道半ばに倒れた『キリスト』の意志を継いで『白人と黒人の平等』という教義を世に広めようと努力し続けている。信仰にも似た熱心さと従順さで。この『人種間の平等』が我々リベラルの心の拠り所だ。この教えをリベラルの『信仰』としないで、他の何が信仰の名に値するだろう」

アメリカの大学や大手メディア、大企業、政府機関にこのような過激な原理主義が浸透していることは事実であり、トランプ大統領はそれを国家的脅威と見て抑え込みを図っているのである。今のアメリカは「アラブの春」の直前のアラブ諸国のような状態になっている。


アメリカでは反レイシズムに向かっている「現状を破壊するラディカリズム」のエネルギーが、日本では「改革」に向かっている。

ここから、一部のBLM運動の常軌を逸した(ように見える)ラディカリズムが理解できるのではないだろうか。「現状維持」がレイシズムなら、「現状を破壊する」行為は、それがどんなものであれ反レイシズムなのだ。

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