春日部市が明石市から学べること

埼玉県春日部市(施行時特例市)の市議会議員が兵庫県明石市(中核市)の泉市政を学ぼうとしているので、両市を比較する。

「税収入、7年間で30億円増」とは2012年度→2019年度に個人市民税、固定資産税、都市計画税の三税計が30億円増のことを指しているが、

これが2020年度には「8年間で32億円増(+9.3%)」となっていた。

橙色の線が「8年間で32億円増」。

総務省,明石市

同期間の春日部市の三税は16.5億円増(+6.9%)だった。増加率は明石市を下回るが、大差があるとまでは言えない。

総務省,春日部市

一方、児童福祉費は春日部市が1.5倍、明石市が2.2倍と大差がある。

総務省

春日部市が明石市並みに増やすためには2020年度には約60億円の追加が必要だったが、一般財源の歳入は約50億円増えていたので、そこから30億円を充当すれば残りは国と県の支出金で賄えた計算になる。

泉市長が主張するように、明石市の施策は(他への支出が過少になる懸念を無視すれば)他の多くの自治体でも財政的には実現可能である。

明石市では泉市長の「公共事業は無駄だらけ→大幅削減しても無問題」という信念の下、土木費を4割カットしたが、春日部市が真似すると約40億円にまで減らすことになる。

総務省,春日部市

実際のところ、子ども施策の成果とされているものは泉市長の誇大宣伝に過ぎない。実績と言えるのは「タダ」を餌にした人集めで人口を増やしたくらいで、泉市長が力説する「子どもに力を入れれば、経済が良くなるということ」はデータでは確認できない。税収増は全国的な景気拡大、街の賑わいは中心市街地活性化計画の進展によるもので、子ども施策とは直接の関係はない。

「まちの好循環」の虚構について詳しくはこちら👇を。

大都市圏の自治体ではコンクリートから子供へ支出をシフト(やりくり)すれば、出産・育児世代の転入による人口社会増とマスコミや大衆からの高評価が得られるので、地方政治家の短期的な人気取りとしては有効、というのが明石市から学べることである。

春日部市|各年10月1日現在
明石市|各年10月1日現在
非連続は推計元の国勢調査人口の切り替えによるもの


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