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経済

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#日刊ゲンダイDIGITAL

日本が貧乏国に転落したのは日本人がエコノミック・アニマルだから

日本が貧乏になっているという言説が増えている。 実のところ、1人当たり実質GDP成長率は他の主要先進国と比べて低くなかったのだが、賃金が上がらない+円安のために、国民の購買力が相対的に著しく低下している。プラザ合意後によく聞かれるようになった「内外価格差」という言葉も、いつの間にか「高い日本」から「安い日本」の意味に逆転している。 その急速な貧乏化の原因だが、日本を敗戦からわずか23年後(1968年)に世界第二位の経済大国へと成長させ、1979年にはアメリカ人に"Japa

賃上げ不足と人口減少

賃上げ不足で岸田首相が責められているが、賃上げの主導権は企業にあり、政府は「お願い」しかできないのだから、ちょっと気の毒ではある。 賃上げ不足が日本経済の問題の核心であることと、政府の施策には限界があることについては、ポール・クルーグマンも1年前にこの👇ように言っていた。なお、同書では、他の三人の経済学者(ヤニス・バルファキス、ランダル・レイ、ラグラム・ラジャン)も、温度差はあるものの、賃上げ不足について言及している。 企業が賃金を抑制する根底には人口減少がある(この👇辺

可処分所得は過去最高水準

「家計は所得減少と物価上昇に苦しんでいるのに政府は増税に前向き→殺される」との政府批判をよく聞く。 しかし、家計部門全体では雇用者報酬と可処分所得は名目でも実質でも過去最高水準にある。2020年の定額給付金はコロナショックのカバーに効果的だったことも見て取れる。 貧困に喘ぐ庶民が増えているとすれば、経済全体での所得の減少ではなく、所得の偏りに原因があることになるが、それは庶民が熱烈支持した構造改革が目指していたものである(自業自得)。 雇用を増やす(⇔賃金を下げる)

消費税減税なら年金3割カット

茂木発言が反発を買っているらしいが、3割は大袈裟だとしても、収入が20兆円も減れば(恒久減税または廃止で)、支出も減らさなければならないのは当たり前ではないか。 社会保障を維持と消費税の恒久減税/廃止を両立させるなら、代わりに何を増税するかを明確にするべきである。

消費税廃止

消費税の廃止は現実的か。 消費税は一般会計の租税収入の中で最も多くなっている。 2020年度には26兆円(一般会計分は21兆円)に達しているが、それでも社会保障費の国庫負担の増加には追い付いていない。 消費税廃止→経済活性化→20兆円以上の税収増とはならないので、当面は公債金で穴埋めするとしても、いずれは20兆円以上の増税and/or歳出削減が必要になる。それを具体的に示さない限りは、無責任と批判されても仕方がない。消費税が社会保険料よりはましな財源とされていることには

「日本銀行は国の子会社」ではない

先日の記事を書いていたらこのニュース👇を思い出したので、繰り返しになるが書く。 日本銀行のwebサイトにはこの👇ようにある。 日銀が政府の「子会社」であるためには、最高意思決定機関の政策委員会が政府に支配されていなければならない。しかし、政策委員会の金融政策決定会合では、政府の代表者は意見を述べる/議案を提出する/議決の延期を求めることができるだけで議決権はない。意思決定機関を支配していないので子会社ではない。 在任日数が憲政史上最長だった元内閣総理大臣が中央銀行のあり