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経済

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2020年7月の記事一覧

「命の選択」と若者のQOL

この人(⇩)のことはよく知らないので本音がどうなのかは判断できないが、議論を喚起するための挑発的な発言を「優生思想的」「ナチスも顔負け」とレッテルを貼って封殺するのはおかしいのではないか。 今その介護の分野でも医療の分野でも、これだけ人口の比率がおかしくなってる状況の中で、特に上の方の世代があまりに多くなってる状況で、高齢者をちょっと、とにかく長生き、死なせちゃいけないと、長生きさせなきゃいけないっていう、そういう政策を取ってると、これ多くのお金の話じゃなくて、もちろん医療

国土保全費を半減して「災害に弱い国づくり」

毎年のように大雨による水害が発生しているが、国と地方の国土保全費は一向に増えていない。金額ベースでは1990年代の半分近くに減り、1980年代前半と同水準である。 対GDP比では半減している。 「国土強靭化」を掲げた安倍政権だが、防災・減災よりもプライマリーバランス黒字化を優先するらしい。 災害が起こる度に、民主党政権を犯人扱いする人が出てくるが、グラフからも明らかなように、国土保全費の大幅削減は国民が圧倒的に支持した小泉政権から本格化したものである。戦争と同じで、公共

地方債の日銀担保活用の効果は期待薄

これ(⇩)を日本銀行が地方債を引き受けて地方公共団体の財政支出をファイナンスすることと早とちりした人がいるようだが、内容を読めばわかるように、全く別の話である。 金融機関が保有する地方公共団体向けの証書貸付債権(証書形式の銀行等引き受け地方債)を日本銀行担保として積極的に活用するよう、総務省が金融機関や地公体に対して働き掛けを始めたことが分かった。 地公体向けの証貸債権は、2019年6月の金融政策決定会合で担保要件が大幅に緩和されて以降、担保残高は着実に伸びているものの、

"Defund the police"の日本版

アメリカのBLM運動では"defund the police"がスローガンの一つになっている。警察は構造的人種差別の温床なので、予算を削減して差別解消につながる部門に回すことが社会全体にとって有益になるという主張である。 多くの日本人は、警察の縮小・解体が人種差別解消につながるというロジックは飛躍し過ぎており、むしろ治安悪化を招く恐れがあると考えるのではないだろうか。 しかしながら、日本人もアメリカ人の集団ヒステリーを笑えない。日本では"defund the police

反緊縮・俗流MMTのエコーチェンバー

ニセ科学やニセ医学にはまる人は、標準的な科学や医学の知識が足りないことが多いが、主流派経済学や財務省を罵倒する反緊縮派やMMT信者にも同じ傾向が見られる。 例えばこの本(⇩)だが、素人が偏った知識に基づいて書いていることが丸わかりである。一例を挙げる。 国の予算規模は一般会計約100兆円、重複等を除いた特別会計約150兆円、計約250兆円です。 これに対して税収はわずかに約60兆円です。 残りは政府による国債の発行と日銀当座預金への単なる書き込みによって支出しています。