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2022年10月の記事一覧

日本は土建国家ではなく福祉国家

既に書いた内容だが、日本の為政者や一般国民の多くが現実認識ができていないことを示す好例なので再度取り上げる。 これ👇を読んでおかしさに気付かない人は認識が25年以上前で止まっている(認識がアップデートできなくなるのは老化の特徴)。 1963年生まれの泉市長が大学生だった1980年代前半には国と地方の国土保全及び開発費(公共事業)の対GDP比は約5%で、民生費(子どもや福祉)はその2/3だった。泉市長はこの時代の認識に基づき、2011年5月に市長に就任すると「過剰な公共事業

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明石市長の実績を誇大宣伝するインフルエンサー

前の記事でも触れたが、明石市の泉市長が過大評価されるようになった一因に、一部のインフルエンサーが「実績」の脚色と誇大宣伝に加担したことがある。 「7年間で30億円もの増収」とは、2012年度→2019年度に個人市民税、固定資産税、都市計画税の三税の税収が+30億円という意味だが、泉市長のツイートにあるように、これが2020年度には「8年間で+32億円(+9.3%)」になっている(この三税は景気変動等によるブレが少ない)。 しかし、これは「人口30万人規模の自治体としては異

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明石市長を「制御不能」にしたマスコミ報道

前の記事のコメント欄の内容をこちらに移動。 明石市の泉市長が増長したのは、市職員への暴言をマスコミやインフルエンサーが「市民を思うが故の発言」と受け取れるように報じたことが大きい。「口は悪いが市民思いの熱血漢」「強引は有能の表れ」のようなイメージが世間に広く定着したために、数字や事実関係に基づく客観的評価が行われなくなり、熱い正義の人・泉市長の一方的な言い分が事実として報じられるようになった。 山本一郎は「明石市役所の担当者が7年近く放置してきたので、市長がブチ切れている

明石市長が有能で「結果を出している」ように見える理由

結論から言えば、市長に就任した2011年5月が絶妙のタイミングだった――全国的な景気回復と明石駅周辺再開発の成果が泉市長の政治的手腕によるもののように見える――ためで、本人も「時の運」を自分の手柄のように喧伝している(運も実力のうち?)。 全国的な景気回復 「2011年に市長になった頃は」世界大不況~東日本大震災直後の日本経済の最悪期だったが、「就任3年目の2013年から」急速な景気回復が始まったために、「泉市長が就任→景気が良くなる」の時間的前後関係が「泉市長の子ども施

明石市長の40年間アップデートされていない思い込み

最近の記事の繰り返しになるが、大切なポイントなので、あらためてお伝えしておきたい。 日本の家族向け社会支出(子ども予算)は40年前はOECD平均の半分どころか1/3だったが、2000年代末から急増してほぼ平均並みとなっている。 公共事業費として、一般政府のgross fixed capital formation(GFCF)を比較する。 「ほかの国よりも、ほぼ倍近く公共事業にお金を使っている」が事実だったのは1990年代半ばまでで、2000年代半ばには平均的な水準にまで