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2020年1月の記事一覧

「結婚したところで最期は一人で死ぬ人が大部分」ではない

大手広告代理店の自称「独身研究家」が例によって「結婚しても人生は豊かにならない」とのプロバガンダを発信している。 このグラフの数字は「75歳以上」ではなく「65歳以上」のものである。75歳以上では、未婚・死別・離別の割合は 男:9%・78%・13% 男:6%・88%・6% となっている。 配偶者がいない人のデータから「結婚したところで最期は一人で死ぬ人が大部分」と言っても意味がない。有配偶も含めると、男に関しては「結婚したところで最期は一人で死ぬ人が大部分」は誤りであ

「既婚女性の出産数は減っていない」はデータの誤用~実は減っている

「既婚女性の出産数は減っていない」という分析がデータの誤用によるものであることを示す。 『国勢調査』に、既婚女性が同居している児童数(20歳未満)の分布が分かる統計表がある。25~44歳の既婚女性を取り出し、同居している児童数(子ども数)の分布を、1985年と2015年で比べると<表1>のようになる。 既婚女性の子ども数(結婚した女性が産む子ども数)はほとんど変わっていないようだ。 2015年は同居児は20歳以下だが、1985年は15歳未満なので、そのまま比較できない。

自称独身研究家の間違いだらけの少子化分析

また大手広告代理店の自称独身研究家が間違いだらけの記事を書いているので検証する。 出生の98%弱は嫡出子なので、出生数の減少は3つの要因に分解できる。 ❶出産適齢期の女の減少 ❷未婚率の上昇(既婚率の低下) ❸有配偶出生率の低下(結婚した女が産む子の平均数の減少) このうち❶と❷は自明で、問題は❸の真偽である。 1960年代以降から第2次ベビーブームだった1970年代前半も含め、現在に至るまでの約60年間にわたって、第1子から第3子の構成比はほぼ変わりません。 出生

土木学者のデタラメ消費税分析

土木工学が専門の藤井聡がこの番組で出鱈目だらけを喋っていたので、特に目立った点を指摘する。 経済成長率まず、この記事(⇩)の2ページ目の実質民間最終消費支出のグラフを示して、 「日本経済は2014年4月の消費税率引き上げによる落ち込みから2014年3月の水準に戻るまでに8年かかる」 「2.61%→1.14%→0.41%の三つの関係から数学的に外挿すると、2019年10月の消費税率引き上げ後の伸び率は0.21%に低下する」 「日本経済は2%落ち込むので、2019年3月の水準

消費税とデフレ

消費税率改定の物価への直接的影響を除いた消費税調整済消費者物価指数を用いて、消費税率引き上げがデフレの原因ではないことを確認する。グラフの赤マーカーは1997年4月、2014年4月、2019年10月である。 1997年4月の消費税率引き上げから消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)が下落基調に転じるまでに約2年半が経過している。 2014年4月の引き上げは消費者物価指数の上昇基調に影響を与えていない。2014年4月→2019年10月の年平均上昇率は総合が+0.

島根県江津市の人口社会増は若者の起業促進の結果?

安倍首相の施政方針演説の内容の杜撰さが指摘されている。 「島根県江津市の人口の社会増は若者の起業を積極的に促した結果」についてファクトチェックする。 東京から鉄道で七時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。二十年以上、転出超過が続き、人口の一割に当たる二千八百人が減少した町です。 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。 「若者の起業を積極的に促した結果」なら、転職・転業や就職が理由