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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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#東洋経済オンライン

MMTは財政金融政策ではなく雇用政策の理論

現代貨幣理論(MMT)がわかりにくい/紛らわしいのは、その本質が労使の勢力均衡と「インフレなき完全雇用」を実現する雇用政策の理論であるにもかかわらず、財政金融政策の理論のように見せかけていることが一因ではないかと思われる。 MMTでは、企業は労働者を安く雇いたいので、売り手市場にならないように常に失業者のプールが存在する状態を保とうとするとされる(→恒常的なデフレギャップの存在を含意)。 しかし、失業は本人にとっても経済社会にとっても損失なので、公的セクターが社会的に有益

「知の巨人」のお粗末な財政金融論

「知の巨人」の知識不足を検証する。 その前に権丈だが、高資産家・高所得者は中・低所得者に比べると、低リスク・低リターンの国債よりも高リスク・高リターンの株式や不動産等の保有ウェイトが大きいことや、増税も累進課税の選択肢もあることからは、国債費が「高資産家・高所得者を助けて中・低所得者を挫く」ものとは必ずしも言えない。 なんらかの理由で金利が上昇した場合、財政を持続させるためには、政府は増税か給付のカットを行い、そこから得たお金を国債費(元利払い費)に振り向けることになる。

低い国債金利と高い企業のROE

新型インフルエンザ等対策有識者会議「基本的対処方針等諮問委員会」の構成員に起用された財政再建論者の小林が、約1年前の記事で頓珍漢なことを言っていた。 意図してやっているわけではないだろうが、結果としては低金利のもとで政府債務が膨らみ続けている。私は、何らかのバブルによって、謎の状態が起きているのだと思う。 日銀が国債を買い続けたとしても、それを上回って民間の投資家が売れば金利は上がる(債券価格は下がる)はずだ。日銀が全部買って市場から国債がなくなったとすれば、今度は貨幣の価