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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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#マネー現代

MMTは財政金融政策ではなく雇用政策の理論

現代貨幣理論(MMT)がわかりにくい/紛らわしいのは、その本質が労使の勢力均衡と「インフレなき完全雇用」を実現する雇用政策の理論であるにもかかわらず、財政金融政策の理論のように見せかけていることが一因ではないかと思われる。 MMTでは、企業は労働者を安く雇いたいので、売り手市場にならないように常に失業者のプールが存在する状態を保とうとするとされる(→恒常的なデフレギャップの存在を含意)。 しかし、失業は本人にとっても経済社会にとっても損失なので、公的セクターが社会的に有益

MMTに抱きつくリフレ派

これほど堂々と噓八百を並べられる図太さにはある意味感心する。 先に言っておけば、欧米諸国の経学界界では、「MMT」は新たな経済理論として認識されていない。 理屈の中身はケインズ、シュンペーターらが残した標準的な経済理論を原型に、会計論など様々な理論を加味して導かれたもので、そこに何ら新鮮味はないからだ。 経済学界で新たな経済理論として認識されていないのは、標準的な経済理論が原型になっているからではなく、まともな理論とはみなされていないためである。MMTは主流派経済学と違っ

中野本の「貨幣とは、何か」を検証

中野剛志の信者ビジネス本の問題点を検証する2回目。1回目はこちら。 貨幣とは、何か。これについては大きく分けて二つの説があります。 一つは、貨幣が物々交換によって発展したという「商品貨幣論」です。しかし、この「商品貨幣論」は間違いであるということが、歴史学や社会学あるいは人類学の研究によって判明しています。 もう一つの貨幣の考え方は、「信用貨幣論」というものです。「信用貨幣論」とは、貨幣を「商品」ではなく、「負債の一種」と考える説で、結論から言えば、「信用貨幣論」が正しい

金の裏付けのない「現代貨幣」が人々に受け入れられる理由

現代の貨幣に関するよくある誤解について取り上げる。 通貨制度というものは元々不安定なものだ。現在の金などの裏付けがない、言ってみれば「無担保通貨制度」は、1971年のニクソンショック以降に発展したから、50年ほどの歴史しかない。ニクソンショックとは、同年8月15日に米国政府が、それまでの固定比率(1オンス=35ドル)による米ドル紙幣と金の兌換を一時停止したことを指す。 その影響もあって、MMT理論のような馬鹿げた説が登場するまでになった。 お金(貨幣)とは共同幻想にしか過