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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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#MMT

MMTは財政金融政策ではなく雇用政策の理論

現代貨幣理論(MMT)がわかりにくい/紛らわしいのは、その本質が労使の勢力均衡と「インフレなき完全雇用」を実現する雇用政策の理論であるにもかかわらず、財政金融政策の理論のように見せかけていることが一因ではないかと思われる。 MMTでは、企業は労働者を安く雇いたいので、売り手市場にならないように常に失業者のプールが存在する状態を保とうとするとされる(→恒常的なデフレギャップの存在を含意)。 しかし、失業は本人にとっても経済社会にとっても損失なので、公的セクターが社会的に有益

中野貨幣論の問題点~貨幣の価値と国家権力

反緊縮・反構造改革の代表的論客である中野剛志の「害」の一つは、現実からかけ離れた貨幣論を精力的に広めたことである。 (以下、引用部分の強調は引用者) MMT の貨幣論は、金属主義あるいは商品貨幣説を否定し、表券主義を支持する。 金属主義とは、貨幣と貴金属の実物的な価値との関係を重視する立場であり、商品貨幣説とは、貨幣が商品から進化して成立するという主張である。商品貨幣説において、貨幣へと進化する商品とは、受領性の高い貴金属のような実物的な価値を有するものが想定されているた