マガジンのカバー画像

社会

714
主要国・地域の出生率一覧はこちらから
運営しているクリエイター

2020年8月の記事一覧

アメリカのエリートが安倍首相をべた褒めする理由

アメリカのエリートが安倍首相をべた褒めしている。 こちら(⇩)は1~28まである。 べた褒めしている理由は簡単で、安倍首相が国際標準ではリベラルあるいはプログレッシブだからである。 当初はアメリカが押し付けた歴史観や戦後体制を見直して対米従属からの脱却・自主独立(日本を取り戻す!)を目指すナショナリストではないかと危険視されていたが、蓋を開けてみれば軍事面でも経済面でも対米従属を一段と深化させる事大主義者で、リベラリズムの教義の基本の男女平等と移民にも積極的だったので、

ムガベ+極左=?

BLM運動では略奪も賠償だとして正当化されているが、 この「白人に不当に奪われていたものを取り戻す行為は正当である」という発想は、ジンバブエ経済をハイパーインフレーションで破綻させたムガベ大統領のものと同じである。 BLMのウェブサイトの"What We Believe"には、その目的が黒人差別解消にとどまらないことが明言されている(強調は引用者)。 We are guided by the fact that all Black lives matter, regar

フィンランドの労働時間短縮/ニュージーランドの"pay equity"

このような信念(⇩)を持つフィンランドのマリン首相が、 労働時間の短縮に取り組むことを表明したが、 早速、産業界からは非現実的と批判されている。 ETLA said shorter working hours would drive up prices, cause bankruptcies and hike up taxes. "This sounds like utopia, but as it's coming from the prime minister wi

日韓の上半期の出生数

速報値は前年同期比2%減なので「少子化加速か」は大げさで、減少トレンドにおける小休止局面と言える。 速報値、概数、確定数の違いについては厚生労働省の解説(⇩)を。 速報の数値は調査票の作成枚数であり、日本における日本人、日本における外国人、外国における日本人及び前年以前に発生した事象を含むものである。 そのうち、日本における日本人についてまとめたものが人口動態統計月報(概数)であり、この月報(概数)に若干の修正を加えたものが人口動態統計年報(確定数)である。 より深刻な

活動家の科学界乗っ取り

科学界が非科学的イデオロギーに支配されつつあることを示すエピソードである。 「特定のグループを平等に扱うよう勧めたり、義務づけたりする登用制度が台頭し、強調されることは、最も有能な候補者を逆差別することになるのであれば、非生産的だ」などとする内容だった。 2017年には同様の内容の社内討議用メモを作成したGoogleの社員(男)が解雇され、 2018年にはイタリアの物理学者(男)がCERNから追放された。 主要メディアはこれらを「差別」として報じるがそうではない。

科学vsフェミニズム

フェミニズムが有害なことは、男女対立を煽るために科学の常識を平気で覆すことからも明らかになる。 コレージュ・ド・フランス教授の人類学者フランソワーズ・エリティエは、男性支配的な社会の成り立ちに関して、次のような仮説を立てている。 エリティエは、身体・体力の差ですら、後になってできたもの、つまり差別の結果ではないかと主張する。旧石器時代初頭の男女の体型に大差はなかったが、食物に違いがあったことが研究からわかっており、狩猟採集社会の中で、男性はたんぱく質を、女性はその残り物と

ドイツの出生率回復の実態

この記事にはドイツは「1歳以上のすべての子が保育を受ける権利を保障したほか、父親の育児休業の取得など両立支援に力を入れた」ことで近年の出生率(TFR)が1.5台を維持しているとあるが事実誤認である。 ドイツのTFRが上昇した要因の一つが、シリアなどドイツより出生率が高い国々からの人口の大量流入で、ドイツ国籍に限ると日本と大差がない。移民でもドイツ国籍を取得すればグラフの青線(⇩)に含まれることにも注意。 もう一つが、共産主義体制崩壊後の社会混乱で急落した旧東独地域の出生率

少子化対策の30年が失われた理由

少子化の原因と対策や海外事情に関する主要メディアの記事はほぼすべてが事実誤認かフェミニストのプロパガンダだが、8月16日の日本経済新聞の「少子化対策 失われた30年」もその一つであった。 自民党のプロジェクトチームで「この30年は一体、何だったのか」との意見が相次いだとのことだが、答えは簡単で、少子化を促進する男女共同参画を国策として推進してきたためである。 「男女共同参画社会は、新自由主義的なベクトルとフェミニズムとの妥協の産物だ」というのは、100パーセント正しいと思

女性解放と賃金低下

参考になる記事を見つけたので紹介。 これは単に需給と価格の関係だけではなく、賃金決定における暗黙のルールが変更されることでもある。ロナルド・ドーアも「女性運動とジェンダー革命」にこの(⇩)ような効果があることを指摘している。 「一家の稼ぎ手モデル」が組織内での賃金決定における要因として持っていた規範的な力を失わせ、一般効果として市場個人主義の推進力として働きます。 「一家の稼ぎ手モデル」を労使が共有していた時代には、使用者側にも「労働者の家族が生活できる給料は支払わなけ

韓国の恋愛ドラマの高齢化

データを集計して確認したわけではないのだが、近年の韓国の恋愛ドラマの登場人物が「高齢化」しているように感じる。 30代にもなって「純愛」とか「胸キュン」とかやっていることにはヤバさを感じてしまうが、ヤバいと言えば止まらない少子化である。昨年は0.92の合計出生率は、今年は先進国では前代未聞の0.8台に低下すると見られている。 少子化と直接的に関係するのが平均初婚年齢の上昇で、2019年には女30.59歳、男33.37歳(ソウルでは31.55歳と33.72歳)になっている。

「使えない奴は切ればいい」と「仲間以外は皆風景」

「使えない奴は切ればいい」は、自称広義のリベラリストの宮台真司が熱望したリベラルな成熟社会において必然的に生じる心性ということができる。 宮台によると、成熟社会では国家社会を論じるような連中は時代錯誤のバカであり、関心の範囲を仲間集団にまで縮小させて日常をまったりと生きることが適応的な生き方になる。「仲間以外は皆風景」であり、コミュニケーション力が低い「異物」は仲間集団から排除される。 自由化→自己決定→自己責任なので、救済を求める意識も、脱落した人を救済しようとする意識

フェミニズムが求める自由と猿の惑星

上野千鶴子の評価できる点は、フェミニズムの本質を言語化してくれるところである。 私はフェミニズムが男との平等を求める思想である以上に、自由を求める思想だと思っています。平等より、私は自由がほしかった。性的な身体の自由はとりわけ重要なものだと思っています。それを結婚によって手放すなんて、考えただけで恐ろしいくらいです。 恋愛はエゴイズムの闘いですよね。独占欲をあからさまに示すのは、人間らしいエゴイズムかもしれません。男はそれを無邪気に見せますね。男が不倫をするのは無邪気なエ

命の選別・医学部人気・日本の没落

この件(⇩)で大西つねきに向けられた非難の問題は、病人や障碍者と老人を同一視していることである。 工業製品にたとえると、病気や障碍は初期不良や通常の使用時の故障に、老化は経年劣化に相当する。初期不良や故障についてはメーカーに対応を義務付けたとしても、経年劣化については期限を設定するのが適当だと多くの人が考えるのではないだろうか。 もし、メーカーに無期限の補修対応を義務付けたとすれば、メーカーは新製品の開発よりも製造終了製品の補修に注力するようになる。優秀な人材は新技術の開

男の性欲は汚い性欲、女の性欲はきれいな性欲

この疑問の答えは簡単で、女の主観では男の性欲は汚い(正しくない)性欲、女の性欲はきれいな(正しい)性欲ということになっているからである。 15年前に「論理より情緒」と訴えた本がベストセラーになったが、フェミニズムも女の情緒=猿的本能の寄せ集めであり、論理的整合性とは無縁である。したがって、(雌猿に)なぜ?と問うこと自体が無意味なのである。 女は男よりも上の存在であり、女には男を一方的に品定めして性的に消費する権利があるが、その逆は女が許可しない限り「犯罪」扱いされるという