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社会

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2019年10月の記事一覧

「男はゲタをはいていた」というリベラルのデマ

リベラルが「女は被害者/男は加害者」の証拠として喧伝していた「オーケストラのブラインド・オーディション」の論文の結論がミスリーディングなものだったことを、Christina SommersがWSJに書いている。 ブラインド・オーディションとは、純粋に演奏の実力だけで評価するために、審査員には音は聞こえるが演奏者は見えないようにしたもので、最近までは「実力だけで選ぶと女の合格率が上がる→女は不当に評価されていた」が定説になっていた。 偏見(バイアス)は私たちの能力の見方に影

育児中の妻の幸福度は低くなって当然

現代ビジネスにはリベラルのプロバガンダが目立つが、このいい加減な記事もその一つである。 この幸福度の大小関係だが、当たり前であって何ら興味深くない。 統計的な手法を用い、さまざまな個人属性の影響を除去した結果、幸福度の大小関係は以下のとおりとなった。 子どもがいない専業主婦>子どもがいない働く妻>子どもがいる専業主婦>子どもがいる働く妻 この結果には興味深い点が3つある。 ほとんどの哺乳類では母親が自活しながら子育てするが、ヒトは直立二足歩行するようになった関係で未熟な

平均3人産めば人口は増える

少子化問題については、いい加減な知識に基づいて書かれた記事が多い。 この記事(⇧)では、25~35歳や30~40歳の女の既婚率(=1-未婚率)から「おそらく日本の若い夫婦が子どもを3人ずつ産んだとしても、人口は増えません」と結論しているが、計算が雑過ぎる。 2015年の既婚率は25歳は23%だが35歳は73%と全く違うので、25~35歳や30~40歳の集団全体の既婚率を「女性のうち結婚する人の割合」とするのは正しくない。 2015年時点では、34歳以上の女の既婚率は2/

女医を増やして医療崩壊

「ゆるふわ女医」が増えることの弊害を50代の女医が指摘している。 現状、女医は眼科・皮膚科など「マイナー科」と呼ばれる「軽症で急変の少ない患者が主で、定時帰宅しやすい」専攻を選ぶケースが多いようです。 女医は都会志向が強い。その理由は「都市部の大病院は医師が多く、休みやすい」「地方の男尊女卑な空気がイヤ」「地方には(高学歴、一流企業社員など)ハイスペック男が少ないので婚活に不利」……と様々ですが、「女医は地方勤務を嫌がる」傾向は昔より強まっています。 女医率上昇とあいまっ

「少子化じゃなく少母化」はフェイクニュース

著名(?)ジャーナリストが誤った内容の記事を拡散していた。 既にこの記事で検証済みだが、別の統計で再確認する。 元記事では15~44歳の女と同居する未成年の子供の数から「結婚した女が産む子供の数は減っていない」と結論しているが、産んだ子供の数は産み終わる年齢にならないとわからないので、時系列で比較するのであれば、産み終わりに近づいた年齢での累積出生率を比べなければならない。 コーホート出生率の低下は高度成長期に生まれた世代で生じているので、1957年生まれと1970年生

解放された女の子はSTEM分野に進まない

OECDがこのような情報を発信しているが、男女平等先進国とされる北欧でもノルウェー16%、デンマーク20%、スウェーデン21%と少ない。 男女平等とされる国ほどSTEM分野(生物学・医学系を除く)の女が少なくなる傾向があるがパラドクスではない。自由に選べるようになるほど、環境要因よりも遺伝要因の差が強く表れてくることの反映である。解放されていないからSTEMに進まないのではなく、解放されているから興味が乏しいSTEMに進まなくなるのである。逆に、女の経済面での自由度が乏しい

出生率低下の半分は「結婚しても産まなくなった」から

結婚した女が産む子供の数は減っていない、という見解についてファクトチェックするが、結論は「誤」である。 それは、結婚したお母さんたちだけに限れば、ちゃんと2人の子どもを生んでいるという事実です。 世代を超えて、ぴったり子どもの数の比率は同じなんです。 今の若い女性たちが子どもを生んでいないなんてことはないんです! 出生率には、ある年に生まれた女の集団(コーホート)が産んだ子供の平均数(コーホート出生率)を用いる。 高度成長期初期までに生まれたコーホートの出生率は約

「フェミサイド」はリベラルが仕掛ける心理戦

西洋のアイデンティティ・ポリティクスを輸入して国民の分断と対立を煽ることを繰り返してきた日本のリベラル勢力が、今度は「フェミサイド」なる概念を流行らせようとしているようである。 しかし、この記事は結論先にありきで事実誤認が甚だしい。 これらのデータ上の数字からは、女性が被害者となる殺人事件の加害者における男性の割合まではわからないが、少なくとも殺人による被害者は女性の方が多い、つまり日本は男性にとっては安全な国かもしれないが、女性にとっては危険な国なのかもしれない、という

女尊男卑社会が持続できない理由

WSJに高学歴女の結婚難の記事が掲載されている。(イラストの見下し感はうまく描けている。) 書き手は女尊男卑のリベラルのようだが、 筆者の娘たちがまだ幼かったころ、お気に入りの下手な詩があった。フェミニストの兆しがうかがえる詩だ。 女の子は実際、男の子より賢く、その他の点でも大いに優れていた。 娘たちは今、リベラル教育という、見た目は立派なエスカレーターを優雅に、成果を上げつつ上っているところだ。 この現実は直視している。 女性が自分の相手としてふさわしいと考える

出生数90万人割れは社会のリベラル化の帰結

10月7日の日本経済新聞の1面トップ「出生数90万人割れへ」は、相変わらず的外れな内容である。 まずファクトチェックだが、 出生数を回復するためには、若い女性が出産しやすい環境づくりが課題だ。日本の出生率を年代別にみると30歳代後半については、1.7~1.9台と高いフランスやスウェーデンとも差はない。各国を大きく下回るのは20歳代だ。 2017年と2018年の合計出生率(Total fertility rate)はフランスが1.86と1.84、スウェーデンが1.78と1

#KuTooとパンドラの箱

ハイヒールをネタに騒いでいるフェミニストがいるが、 これが馬鹿馬鹿しいのは、こちら(⇩)の6:35~で言及されているように、ハイヒールは女が性的魅力を強調するためのものだからである(効果があるかは別問題)。 このインタビューはDouglas Murrayの新著に取り上げられている。 Peterson explained to him that the purpose of putting on lipstick and rouge is to stimulate sex

中年男は社会の敵

西洋でリベラルが中年男を標的にしていることを示す記事が二つあった。 この記事では根拠もなく批判されている。 グレタさんを批判する大人は多いが、本当の変人は、力強い世界的ムーブメントを自力で始めた活動家ではなく、安全なコンピュータのスクリーン越しに、アスペルガー症候群の子供をあざ笑う中年男性のほうではないかとしている。 原文はこの通り。 But who’s the real freak – the activist whose determination has sin