平均3人産めば人口は増える

少子化問題については、いい加減な知識に基づいて書かれた記事が多い。

この記事(⇧)では、25~35歳や30~40歳の女の既婚率(=1-未婚率)から「おそらく日本の若い夫婦が子どもを3人ずつ産んだとしても、人口は増えません」と結論しているが、計算が雑過ぎる。

2015年の既婚率は25歳は23%だが35歳は73%と全く違うので、25~35歳や30~40歳の集団全体の既婚率を「女性のうち結婚する人の割合」とするのは正しくない。

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2015年時点では、34歳以上の女の既婚率は2/3を上回っているので、既婚者が平均3人以上産めばコーホート出生率は人口置換水準を超え、長期的には人口減少を止められる。

元記事には「たぶん中学生の数学力でも分かる」とあるが、人口予測の基本知識がなければ数学力があっても意味がない。

こちら(⇩)ではその他のいい加減な記事について検証しているが、いい加減な記事の方が反響が大きいようなのが困ったことである。

参考:既婚率の推移

出生率低下には40代までの未婚率上昇(非婚化)に加えて、身体的に出産に適した20代の未婚率の大幅上昇(晩婚化)が寄与している。未婚率上昇の主な原因は、大学進学率の上昇と、男女の労働の同一化である。

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賃労働と出産にはトレードオフがあるため、女の社会進出(≒賃金労働者として働くこと)と人口維持もトレードオフになる。安倍政権の「すべての女性が輝く社会づくり」は少子化の克服ではなく促進政策である。

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