【大学生向け】人工知能（AI）を学ぶにあたって大事なこと
機械学習をはじめとする人工知能（AI）技術について学ぼうとしている（学んでいる）学生向けに，実際に機械学習について研究している大学教員の私から，学ぶ上でのアドバイスをいくつか贈りたいと思います（適宜更新します）．
この記事では，人工知能（AI）＝機械学習と捉えて下さい（現在優れた性能を発揮しているAI技術は，深層学習（ディープラーニング）と呼ばれる機械学習手法の一種です）．
数学の基礎体力をつける
まずは，これに尽きます．数学なくして現在の機械学習は成り立たないので，機械学習について理解するためには数学の素養が必要です．具体的には，線形代数，確率・統計，微分・積分に関する最低限の知識は必要です．
世の中のデータは，一般的に多数の高次元変数で表現されるため，それらを扱うための道具が必要です．その道具が線形代数です．そのため，機械学習に関する論文や解説記事では線形代数という道具を使用して，何をやっているのかを説明します．ゆえに，線形代数の素養がないと理解（解読）するのがつらくなります．
確率・統計，微積も同様で，現在の機械学習ではこれらの道具を使って，アルゴリズムの設計を行ったり，その特性を説明したりします．例えば，現在AI技術の代表格になっている深層学習手法を使って，画像に写っているのがネコなのかイヌなのかを見分けるタスクを考えましょう．深層学習では，出力が確率で表現されます（この画像にネコが写っている確率70％，イヌが写っている確率30％のように）．優れた性能を示すためには，この確率をもとに深層学習のパラメータを最適化する必要があります．最適化には，微積を使用します．
逆に言えば，これらの数学の基礎知識があれば，特別なことを勉強しなくても現在のAI技術はある程度理解することが可能だと言えます．そしてこれらの数学は，高校や大学の講義で扱っているため，それらを真面目に勉強することが理解への1番の近道です．
以下に初学者の人におすすめだと思う書籍を紹介しておきます．
英語はできるに越したことはない
基本的に，最先端で質の高い情報は英語で発信されることが多いです．AIについても同様で，最先端の結果は英語論文の形でまず発信されます．そのため，英語の情報をインプットできるように，最低限英語が読めることが望ましいです．また，上記の数学の学習にも通じるのですが，有名大学の質の高い数学の講義資料や解説動画は，ネット上で無料で手に入れることができます．これらを活用することで，お金をかけずに効率良く数学を勉強することができます．
また，AIに関して言えば，十分なスキルと英語ができれば，世界中で働くことができ，かつ給料も日本と比べてだいぶ高額です（現状では）．自分のキャリアの選択肢を増やす観点からみても，英語はできるに越したことはないと思います．
英語の学習方法としては，これといった正解はなく，人それぞれ最適な学習が存在すると思います．大前提として，日本に住んでいる限り，継続して学習する必要があるため，楽しく継続できる勉強方法が良いです．映画やドラマが好きな人は，これらを英語でみながら学習するのが良いでしょう．おしゃべりが好きな人は，実際に話しながら学習するのが良いでしょう．今は安くて便利なオンライン英会話などもあるので，海外の友達がいなくても話す機会は作れます．または，自分で独り言をぶつぶつ言うのも効果的だと思います．今思ってることを喋っても良いですし，自分でシチュエーションを妄想して喋ってもいいと思います．
プログラミングはできるようにしよう
AIをやっていく上でプログラミングは避けられません．数学の素養をつけ，AIについて理解できたとしても，プログラムが書けなくては何もできません．現状で深層学習を扱う場合は，Pythonと呼ばれるプログラミング言語を用いることが多いので，まずはPythonを学んでみるのが良いかと思います．書籍などを購入して学習しても良いですが，Web上に多くの学習サイトがあるので，それらを見ながら学習するのも良いと思います．あとは，以下のようなプログラミングコンテストの過去問などを解くのも効果的だと思います．
Pythonと深層学習を関連づけて学ぶ場合は，次の書籍がおすすめです．
文章を書けるようにしよう
学生をみていて思うのが，ちゃんとした文章を書ける人が本当に少ないということです．社会に出たら，文章でアウトプットする機会が増え，それらの文章で評価されることも増えるため，適切な文章を書けることが重要になってきます．
また，研究者を目指す場合は，論文を書く必要があるため，より文章を書く能力が重要になってきます．学生のうちに勉強しておくことをおすすめします．
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