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心理的安全性に関するかけ声が空虚な号令に終わる理由

エイミー・C・エドモンドソンが提唱した「心理的安全性」という概念。Googleのプロジェクト・アリストテレスにより有名になり、多くの組織人が一度は聞いたことがあると思います。

“心理的安全性の高い組織ほど生産性が高い”ことが先のGoogleの調査によって示唆されたので、組織変革を推進したり、チームを率いる立場の方がこぞって、自社や自身のチームを心理的安全性の高い場にすることに注力していることと思います。
また、「ウチの組織は心理的安全性が低くて、、、」なんていう発言もしばしば耳にします。

一方で、数年前から心理的安全性の重要性について語られているにも関わらず、大きく心理的安全性が改善し、生産性も向上したという事例をあまり聞きません。(僕が知らないだけかもしれませんが。)

組織変革に携わる方、労務問題などを扱う社労士の方、実際に組織の中で違和感を覚えている方などとお話をさせて頂く中で得たヒントをもとに、“なぜ心理的安全性の確保が進まないのか”について考えたいと思います。

まず、大前提として、心理的安全性を考える上で肝になるのが、「組織として成果を上げるために、構成メンバーが率直に意見を言えること」「それによって、生産性が上がる」ということです。決して、優しいだけのぬるま湯体質を目指すことではないことは多くの書籍や記事で喚起されています。

で、あるとするならば、まずは組織を構成するメンバーの大半が、組織の目標を達成することや、事業を通じて社会にどういった影響を与えたいか、この点に純粋にコミットしている状況を作ることが重要です。
ですが、“働く”ということに求めるインセンティブは人によって様々です。「なるべく楽をしてお金を稼ぎたい。」や「波風を立てずに、なるべく今のポジションに居座りたい」なども立派なインセンティブであると思います。このような、状況であれば成果を上げるために率直に意見を言うことよりも、何も言わずにやり過ごす、違和感を覚えても上位のポジションの方の意見に迎合する方が合理的、という構図が成り立ってしまいます。

理念やMission/Vision/Valueの浸透が大切というのはこのあたりに理由があると思います。また、評価と報酬の制度をその組織が望むものと合致させるなどの対策が必要ですね。また個人に目を向けると、決してぬるま湯体質を目指すものではないと書きましたが、適切に厳しい指摘がなされるということは、心理的安全性が確保されている状態にとって最も重要であると思います。人を批判するのではなく、問題となっている事象に焦点を当てて改善策を立てることが必要です。
例えば、営業のプロセスの中で、テレアポの架電件数が目標値に達していないのであれば、その人の怠惰性を責めるのではなく、どうすれば目標値に達するかをシステムで解決しようとする姿勢が大切でしょう。ここでも、評価と報酬を厳密に定義しておくことも有効でしょう。
さらに、事象について指摘されているのに、自身の人格を否定されているように感じる方も一定数いるように思います。事象と人格は別であるという意識を浸透させる必要がありますね。

様々なインセンティブが錯綜し、生殺与奪の権を握られている組織人に心理的安全性を浸透するには、組織の力学や、個人の感情(特に恐怖心)を精緻に捉えた上で、ボトルネックにアプローチしていくことが大切です。

上席者が上辺だけで「何でも思ったことは言っていいよ。」「何でも言い合えるチームにしようよ。」などと声高に叫ぶだけでは、ただのスタンドプレーに終わってしまうことでしょう。

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